−遊撃宇宙戦艦セリオン・第一話『そいつの名は矢島』− 投稿者: 紫炎
2237年…人が宇宙に進出を果たし、太陽系全土を行き来している時代

カツカツカツ…
「きた、この日が…」

だが人の間に争いが尽きることはない…その証明に惑星間では様々な小競り合いが続いていた

カツカツカツカツカツ…
「ついに来たんだ、この日がっ!!!この俺が…俺がっ」

そんな時代、ここに非道を行う犯罪者たちを撃破するための組織が生まれた

ピッ…ガチャアアアアァァァ
「俺が主役の」

その組織の名は『アクア』…ここにある戦艦はアクアの誇る最新型戦艦HMX−13セリオン、
そして艦長の名はっ

「矢島だあああああああああ!!!!!」


−遊撃宇宙戦艦セリオン・第一話『そいつの名は矢島』−


「艦長…」
「はっ!?」
「うるさい」
ここはセリオンのブリッチ、そしてこの新型の戦艦の艦長に就任した矢島は浮かれまくっていた
「あれ、綾香さん…」
「しっかりしてよね艦長…セリオの機嫌が悪くなるから」
セリオとはこの戦艦セリオンのAIつまり人工知能である
「いやーすんません、ついつい…それで綾香さん現在の状況は?」
「作業は順調、発進準備完了まであと20分てところかしら?」
「そっか…それで戦況は?」
矢島の声に真剣味が帯びてきた…それだけマジなのだろうが矢島なのでいかせん迫力が…
「現在守護艦隊が応戦中、けど時間の問題ね…突破されるわ」
「間に合えばいいが…」
「心配はいらない…来たのならば俺が出ればいいだけだ」
いつの間にか二人の横に男が立っていた
「柳川さん!?」
彼は柳川裕也…このセリオンの有人ロボットであるクマデバリスの部隊のパイロットである
「随分な自信ね…柳川さん、でもそういう人にかぎってすぐ死ぬものよ」
「フン、この私が殺られるハズがない、余計なことは言わず君はオペレーターに従事してれば
いい…」
「くっ…」
二人の間に険悪なムードが漂っていた
「あのーーー」
「なんだ?」
「なによ?」
「い…いや(恐い)」
艦長として止めようとした矢島だが二人にびびって何も言えなくなった…情けない
「まあいい…それじゃあ出撃の準備に取り掛かろう」
「せいぜい気を抜かないことね…エースパイロットさん」
「気を抜く?…それはありえない、儚く燃える生命の炎を消す楽しみを…気を抜いてやるなんて
馬鹿ことするものか」

カシャア…シュッ…カチャン
柳川は去っていった
「変なやつ…艦長、なんであんなのいれたのよ?」
「人格はともかく能力だけで選んだから…」
「ふーーーーん」
ちょっとジト目で矢島はにらまれた…あっ矢島びびってる
ピッ
『綾香様…』
突然モニターにセリオが写る
「なに、セリオ?」
『守護艦隊が全滅しました…後5分37秒で来ますっ!!』
「えっ!?」

ここは宇宙、守護艦隊の残骸と一つの戦艦、3機のロボットがそこにはいた
ズウウウウウウウン
『獲物、ハンティングする獲物はどこですか!!!』
その戦艦のブリッチ内にキンとした声が響いた
「もーー宮内さんは静かにしとけやっ、藤田君この先のドッグに超高エネルギー反応がでてるで…
やっぱあの情報は本当やったんや」
オペレーターの保科が艦長席に座っていた男の方を見た
「この俺たちを落とすための船か…出させるわけにはいかねえな」
「どうする浩之?」
「聞く必要はないだろ雅史、消えてもらうさ…この俺たちの邪魔となるものはな、
あかり、レミィ、琴音ちゃん!!!」
『なーに浩之ちゃん?』
『殺りマスか?』
『なんです藤田さん?』
「フォーメーションを組んでマルチザードの前方にて護衛してくれ、これより目の前の
ドッグ及び戦艦を落とす、これからが本番だぜっ!!」
『『『了解』』』
『宇宙海賊ToHeart』…それは藤田浩之が率いている、この火星圏内最強の海賊である


「来た、くっまだ準備も終わってないのに!?」
「綾香さん発進は?」
「後8分、もうエンジンは稼動始めてるわっ」
ブリッチは慌ただしく動いていた
「吉田さんっ桂木さんっそっちは?」
「は…はい、乗員はすべて収容、各配置に着いてます!」
「こっちもOKだよっ主砲含め全145砲門、エンジン稼働率48%を超えた時点で使用可能
になるわ!!!」
「分かった、それじゃあ各パイロットのみなさん、ドッグの入り口にジャミングを張りつつ潜伏、
突入してきたら奇襲を仕掛けてください!!」
『ふふ…簡単にいってくれるね矢島君、ん…香奈子、ジャミング波のレベルを下げるんだ、
そこまで気配を消すと逆に気取られる』
『はっはい…』
『ふん、さっさと始めないか…』
「パイロットは各自OKみたいね」
「はい綾香さん…後は…敵の出方次第」
ピッ
『綾香さま…』
「なにセリオ?」
『これから始まるんですね…私たちの戦いが』
「そうよ、長年脇役と虐げられてきた私たちの恨みのための…いや宇宙の平和のための戦いが
ここから始まるのよ!!!」
(てめーらは十分目立ってんだろ…)
そんな矢島の心の叫びは無視して綾香と無表情ながらセリオは盛り上がっていた
(やられ役でも名前が売れてるならそれでいいじゃないですか…)
(やられ役ってだけは私たちも同じだけど…別の意味で…ぷっ)
その裏では内気な桂木と陽気な吉田がそう思っていた

カツーーン
「ここどこ?」
ここはセリオンの倉庫室前…通称『セリオンの奥の奥』と呼ばれるところ…副艦長である高橋は
迷っていた…

続く…

−次回予告−
ついに出撃する宇宙戦艦セリオン…矢島は戦いのさなか、親友と初恋の人を見る…
はたしてセリオンはToHeartを撃退できるのか?
そして謎の古代ガチャピン文明とは?
次回『セリオン発進』をお楽しみ下さい

−ウンチク−
leaf級独立戦闘型宇宙戦艦HMX−13
名称:セリオン
主砲含め全145砲門を装備し、反エーテル作用を促しあらゆるエネルギー波、実弾をはじく
バリア、ヴィジョンクリスタルを発生させることができる最強の戦艦…
それによりたった戦艦1機で艦隊と互角に渡り合えることから『独立戦闘型』と呼ばれる
またこの戦艦のAIはセリオといい、艦のバックアップを完璧にこなし、きわめて小人数の人間
だけで動かすことが可能…
だがこの艦の最大の特徴はこの艦の許容量をフルで補えるエンジンにある…
これだけ通常の戦艦よりもはるかに高いエネルギーを出力させられるエンジンは類がなく
現時点での科学力では不可能だともいわれている
そしてこの艦の主砲『ブランニューハート』は現時点ではあらゆる戦艦のなかで
最大出力を誇っている

東鳩級強襲型宇宙戦艦HMX−12
名称:マルチザード
セリオンと姉妹艦、なぜ海賊がセリオンとの姉妹艦を所有しているのかは謎だがその攻撃力と
スピードは驚異的である…
この艦の所有は宇宙海賊のToHeart 、現在までに沈められた戦艦は軽く100を超すという
またこの艦の最大の驚異は3機いる無人戦艦HM−12マルチRにあるといわれている
俗にいうビット兵器と呼ばれるものだがその大きさは巡洋艦に匹敵し、動きは無人艦のため
凄まじい速度で移動する…この操作は操舵手1人とAIのマルチのみで運航される
ただこの艦は扱いにくく、乗り手の腕によっては通常の戦艦以下の能力しか出せなく
なってしまう…その意味でもToHeartのクルーは優秀だといえるであろう
この艦の主砲は『ブランニューハート・プロト』…セリオンには及ばないまでも協力な兵器には
違いない代物である

戦闘用人型機動兵器KOD−09
名称:クマデバリス
セリオンに積んである人型の兵器、全長が19Mあり、この時代の標準サイズのロボットである
もっとも最新型の上、コスト自体も並の兵器とは比べ物にならない…当然その能力も格段に高い
ヴァリエーションも豊かでパーツ変換によりあらゆる環境に適応する
なお形式番号のKODが『クマさんおいたはダメよ』の略であることはあまり知られてはいない

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なんとなく最近考えていた話を書いてみました!…おかしいなあ、ギャグのははずだったん
だけどいつのまにかシリアスに…まあ自分としては最近じゃ一番気に入ってる作品です!!
なんと脇役たちのみの戦艦セリオンを舞台に主役を矢島…メインのキャラはすべて敵です!
でも脇役って性格も分からんし、主役の矢島にいたっては下の名前が分からん…オペレーター
の綾香は某ナデシコのルリルリ役…かなりイメージ違うけどまあ、セリオの相手は彼女しか
いないし…あと吉田さんに桂木さん(雫の生徒会の人)の性格は設定集から!
他にどんな脇役がいたっけ?…んーと…痕はやってないからキャラの性格が分かんないし
誰か良かったら教えて!!
て…なんか戦艦のウンチク書いてるときが一番面白かった…これからも馬鹿なことを
真面目くさった科白で解説していきます…
そんなわけで紫炎でした!!


あ…そういやまた続くって書いてある…
BCマルチと愛の架け橋シリーズを忘れたわけではありませんので…えーーと
マルチの次のタイトルは『敵の名は…ガチャピン編』
それと愛の架け橋シリーズは後2回で終わりです…最後のタイトルは
森川由綺・愛の架け橋シリーズ『我悪鬼羅刹なり−最後のあがき−因果応報変−』となります
最終回の犠牲者ははるか…になるはずですが、あのはるかですからはたして由綺の思い通りに
なるのかどうかお楽しみに…てーかその前に美咲さんだっ!!!