命(ミコト)・・・最終章『月の雫』 投稿者: 紫炎
−この作品は命(ミコト)・・・最終章『心』と連動しています…そちらを先にお読み下さい−

命(ミコト)・・・最終章『月の雫』

もう止めてくれ…僕はもう眠りたいんだ……
「起きたか…君を起こしてやったのは私たちだ…感謝してくれよ」
居たくなかった…ぼくが瑠璃子を殺したこの世界に…
瑠璃子のいない世界なんて無意味だ…なのにこいつらは笑ってる…
瑠璃子がいないのに笑ってる…

『だから世界を壊そうと思ったんだ』

ここは白い部屋…ぼくが生み出した罪の子が死んだ場所
「てめえがミコト…てめえが全部っ!!!!!」
目の前にい少年…藤田浩之…彼は感情が表にでやすい…まわりの電波も暴走しかけてる
じゃないか
チリ…
「えっ!?」
ほら…すぐ近くのあの子にまで影響が出ている
「うっいやああああああ」
「なっなんだっ」
「駄目だよ浩之君…ここで感情をむき出しにしちゃあ……彼女も苦しがってる」
「これもお前がっ?」
なにか勘違いをしているな…
「違うよ…君さ…君がやったんだよ、ここで生の感情を出さない方がいい…これは忠告だよ」
「なんの…?」
「もう一度言うぞ…」
チリ…チリチリ…
駄目か…電波の存在もしらないこいつでは回りも巻き込んでしまう…せっかく殺さなかった
バイオロイドの浩之まで危険になってしまう…目の前のこいつが死んだ場合のスペアは
確保しなければな…
「んっ、いや君には無理か…場所を移そうか?」
場所は…あそこでいいか
「行こう…」
「おい…ちょっと待てよ!!」
ついてこい…浩之

ガシャンッ
「ここは?」
「ようこそ僕の部屋へ…」
コードだらけの無機質な部屋…ここは僕の部屋…僕のかつての一部が機能している部屋
「ここがお前の部屋…?」
「そう…ほらこれが本当の僕さ」
僕は部屋の中心のカプセルを指した…その中にあったのはグロテスクな脳みそだった
「!?」
チリ…チリ…チリ
「ふふ…電波を感じるだろう…ここは一番電波の濃い領域だからね、君にももう使えるハズさ」
チリ
「何を?」
「電波だよ、『オゾム電気パルス』…ここではそう呼ばれてるらしいね…『プロジェクトTo Heart』も
この電波によって形成されてるんだ」
チリチリチリチリ…
「それで…?」
浩之の電波が強大になっていく
「この電波は人の精神に影響を及ぼし、操ることも可能となる…もっとも普通の人間には不可能
なんでね…こうして電波を発生させる媒体を用意して、使用者に波長をあわせた電波を放出させる
のさ…つまり今は君に合わせてある」
チリ……
「人と人を繋ぐ『プロジェクトTo Heart』…そういうことか、俺がその電波で互いの意識を
繋ぐ役目ってことか……それで?」
「はっ?」
「それでてめーは何をしようってんだ!!」
私が何を?…決まっているじゃないか、瑠璃子がいないのに笑っているこの世界を…
「消滅…かな」
「…えっ?」
「終わらせたいんだ…全部……消したいんだよ、このザラザラした世界を……」
「お前…何を?」
「それで安心して眠れる…知ってるかい?…電波の影響範囲は人の生死すら操る…そして
セリオのハッキングによって僕は世界中に電波を振りまくことができる」
チリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリチリ……
「お前は…」
「世界は終わる…僕は世界に巨大な足跡を残して眠りにつくんだよっ!!!!
ははははははははははあははははははははははあははははあははははは!!!!!!」
チリチリ…バリッ
「てってめえええ!!!」
「はははは…は…ん?…どうやら電波が安定してきたようだね…よかった…君にも手伝って
もらうよ、世界は広いからね…だがその前に」
チリッ
僕は電波を放った、ここでなら…この魂のみとなった僕でもこいつを操れる…この電波に満ちた
空間なら
「うぐっ!!?」
「君にも狂気の扉を開いてもらう…そして僕の人形になってもらうよ」
そして僕と同じ存在となれ
「そして、ともに終末を造ろう…さあ…」
そのとき…浩之の電波が急激に強まった
「負けてたまるかあああああああああああああ」
ドゴッ
「なっ!?」
ズササササササササッ
「うあああああああああ!!!!」
ガッ、ドガッ、バキッ、ドゴッ…
あいつのパンチが僕にヒットしていくっ!徐々に電波を操りだしている…マズイな!
パンッ
「えっ?」
そして僕は浩之のパンチを止めた
「痛いよ浩之…パートナーだろ」
「うるせええええええ!!!!!!!!!!!!」
ガァァァァァンッ
「!?」
なんだっ今の銃声はっ?
ザッ
「今だ浩之っ、さがって!!!!」
「雅史っ!!」
マ・サ・シ…雅史…だと…あいつとここでやれば…相打ちの可能性もある…ならば先に
「ちいっ!!!」
ダッ
電波を先にばらまくっ…やつの妨害にあう前に少しでも多くの人間を道連れにっ
「待てっミコト!!」

ギイイ…
この扉を開けるのに少しは時間がかかろう…
作業を…
「あっ…」
僕は目の前のカプセルを見上げた
「瑠璃子…」
そこにはただ生きている肉塊があった…妹の姿をしているが魂がないため…動くことも出来なかった
「もうすぐだ…もうすぐそっちをにぎやかにするよ…そうすれば僕を許してくれるよね?
…そしてまた一緒に暮らそう…」
僕は電波の出力先を世界のすべてに指定した…そしてエンターキーを押す
「……して今の僕も普通とは違う…」
ん…彼らがきたようだ…だが少し遅かったな
ガチッ…
ギッギイイイイイ
「まっ雅史…!?」
「電波の力で…僕の身体のリミットは外されてしまった…」
ガシャンッ
「そうだろう…ねえ月島さん」
そして扉は開き、彼らがいた…僕は彼らに言葉を紡ぐ
「君がここまで来るとは思わなかった…電波の通じない君と神岸君が僕の唯一の
誤算だったからね…いろいろと細工したんだが」
「案内がいたんでね…引っかからずにこれたんだ」
案内…来栖川のお嬢さんたちか何かだろう
「ふふ…だがもう遅いよ…今電波を世界中の送ったから…後は命令を下すだけださ」
「くっ浩之…電波を呼び戻して!!!」
「えっ俺が…」
「佐藤雅史…貴様!!」
「あんたの相手は僕だよっ!!!」
ガッ
雅史の回し蹴りが僕にヒットした
「くっ…」
「行くよっ」

「そもそもなんであんたは世界を壊そうなんて考えたです?」
ガッ
雅史の猛攻は続いた
「うるさいっ、死んでいた僕を呼び出したのはお前たちだぞっ!!好きにやってなにが悪いっ?」
ズシュッ
「うぐっ…なにいってるんですか、結局は妹さんのためでしょうっ!!」
「瑠璃子はっ」
こいつの口から瑠璃子の名前だと
ズカッ
「ぐっ!?」
「妹さんが死んで、みんな死んで…自分だけ生き残ってる…それがあなたには許せなかった、
同時にのうのうと生きている僕らも許せなかったんだ」
「ぐっうああああああ」
ガシッ
雅史は僕の手を掴んだ
「あなたなりの贖罪のつもりですか?…でもあなたの妹はそんなことしても許してはくれませんよ」
お前に何が…
「お前に瑠璃子の何が分かるっっっっ!!!!」
バシッ
「くっ…まだ分からないんですか?…電波とは魂を形作るもの…だからマルチちゃんたちも
この存在によって生まれることができた…そして電波に満ちた空間内ならたとえ死んだ人間の
魂も存在できる、僕は彼女に導かれた」
何をいってるんだ…まさか
「!?」
「瑠璃子さんはいつだってあんたのそばにいたんだっ!!!」
ガタッ
「瑠璃子…?」
(ようやく気付いたねお兄ちゃん)
そして僕は振り返った…そしてそこにいたのは…白い髪の女の子…この世で一番大切な…
(ずっと近くにいたんだよ)
「瑠璃子…僕は……」
(もう止めよう…私…お兄ちゃんが傷つくのも他の誰かが傷つくのもいやだよ)
「僕を許してくれるの?」
(始めから許してたよ…私怒ってなんていなかったんだよ)
「瑠璃子…」
(だから…もう止めよう…お兄ちゃん!)
「うん…瑠璃子…」
(なあに?)
「ごめん…そしてありがとう……」
(うん)
そして僕は涙を流した…ようやく暗い部屋から…抜け出せたんだ……一人ぼっちの
あの部屋から…

『じゃーな』
それが最後に藤田浩之と交わした…言葉
もうすぐ…ここは爆発して消える…その前にやらなければならないことが僕にはあったんだ
(良かったの…お兄ちゃん……?)
「これでいいんだ瑠璃子…愛してるよ…だから」
(お兄ちゃん…私は……)
「だから生きてくれ…それが僕が生きていたという証になる……」
(……お兄ちゃん)
「泣かないで…笑っておくれ……僕はずっとそばにいるよ」
(お兄…)
「さようなら…瑠璃子…さよなら僕の大切な………」
カッ
そしてすべての音は消え、僕の最後の言葉は途切れた…
涙が

ポチャンッ

雫となって消えたような気がした


キンコンカンコーーーン…
「ふああ、退屈…」
新学期、俺達は日常に戻っていた
あかりと雅史ももうじき退院できるそうだ…世界の歯車がようやく動き出した、そんな感じだ…
「それにしても…暇………」
「……つ…気を付け…礼…着席」
いつものように朝のホームルームが始まる…いやいつもとは少し違うようだ
クラスがざわついている…なんだっ?
「今日は新しく入ってきた転入生を紹介する…仲良くするようにっ!!」

おおおおおおおおおおおおお……

男子から一斉に喝采が起こる…女の子だな…この歓声はそうとうの美人だ…どれどれ…
俺は顔を上げた…そしてそこにいたのは……
「それじゃあ転入生…自己紹介を……」
その子は明るく笑って名前を言った
「はい、月島瑠璃子です…みんなよろしく」

ここからまた新たなるドラマが始まる

END…


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私の最初の投稿はこの命(ミコト)でした…ようやく終わりましたね…って『心』が二つも入ってる…
ミスだ…
とりあえず最終章はこの2つです…途中のセリフには一切変更点はありません…
アナザーではなく2つの視点から見たストーリーいわゆるEVEみたいなザッピングシステム的な
ことをやってみたかったんです
ちなみにこの月島兄妹のバックストーリーは雫の長瀬君が捜査をしなかったヴァージョンの
エンディングです…体育館の乱交パーティのあれですね…

というわけで(どーいうわけだろう?)
BCマルチのボード募集…誰か送ってくれーーー

むう…
んでわっさいならーーーーー