命(みこと)・・・第10章 投稿者: 紫炎
第10章『伝えられた真実』

ガシャッ
「つう、やってくれるじゃねーか綾香のヤツ…この身体が人間だったら死んでるぜ…」
浩之たちは去り、黒服たちもそれを追いかけにいき誰もいなくなった廃虚…そこで立ち上がる人物がいた…
「まあ予定とは違うがこれで『プロジェクトTo Heart』のメンバーは一個所にまとまったわけだ…よーしいいぜミコトッ、始めようぜ人間社会の崩壊ってヤツを…」
立ち上がった浩之のニセモノの前にマルチによく似たホログラム映像が現れた…ただその眼はどことなく冷たく…何よりその瞳も髪の色も炎を連想させるほどの赤だった…
『OK…始めるわ……我が名はミコト…命…すべてをつなぎ人と機械を一つへと…まずは我らを一つに…』
「馬鹿なヤツラ……お前らは…救ってやろうと思ったのに……」
浩之の姿をしたそいつは寂しそうに呟いた……
「雅史…あかり…仇は俺が討つ……」
『プログラム始動…さあセリオ、やりなさい』

ブウウウウウウ……
「そう…わかったわ…うん、大丈夫よこっちは…それじゃあ切るわね!」
カチャッ
「姉さん…本社にあったセリオの試作型がマザーコンピュータに取り付いたって…」
「……(!?)」
「大変おどろいているそうです」
「マルチ…翻訳しなくても分かるって…」
「すみません……」
俺達は今セバスチャンの運転するトラックに乗っていた…そして俺達の目の前にいるのは、あかり、雅史、そして先輩だ…
「にしてもまさか先輩が裏で糸を引いていたとはね…」
「……(ぼそぼそ)」
「本当にすみませんと申してます…私にも謝らせて下さい、私もずっと黙ってましたから…」
「いやいいんだよマルチ、先輩……ただもう話してくれるだろう、この出来の悪い芝居がなんなのかさっ?」
「……(コクンッ)」
「すべては2ヶ月前、そこから始まったんだ…全部ね」
「あかりちゃんと佐藤君がニセモンと交換された時やな……」
「ううん…それより少し前、『プロジェクトTo Heart』…それをコンピュータであるミコトが提唱したことから全部始まったの……」
「ミコト…?」
「魂を持ったコンピュータ…マルチの上位階層の精神よ…」
あかりの説明は続く…
「どーいうことでしょう?」
「えーーと」
「それは私が説明するわっ!」
綾香がしゃしゃりでてきた…
「なんだよ綾香っ、あかりが話している途中だぜっ!!」
「んまー私に意見する気ゲンちゃん?…まったくもう、おだまりっけだま…」
「駄目です綾香さんっそれ以上はいけません、それ以上言ってしまえばキツネの悪大名にっ!!!」
「はっ!?」
一瞬何かに取り付かれた綾香が正気を取り戻した…猫に退治されたあと、熱血勇者の世界に入り込んだのに味をしめたのかも知れない…いわゆるコンちゃん人事異動の変である…おそらくそこらへんにゲンちゃんもいるはずだ…
「随分と懐かしい話を…」
「SMガールズRでもでてきませんでしたっけ…ラジオの……」
「そりゃちげーぜ葵ちゃん、千葉繁だろっ…あかほり作品だからって…て…いたっけ?」
「さあ…昔のことですから……」
「あんたら何濃い話してんねん!?」
「濃くはねーだろ別に…なあ、あかり?」
「えっ私にいわれても……」
「ちょっとあんたたち説明するっていってんでしょっ!?」
「あっはいはい…」
事の発端のくせに綾香は怒ってた
「んで上位階層の精神てのはね、魂の奥にある絡み合った意識の中心なのよ」
「意味が分からん…」
「だから人間てのはね、いろんな可能性を思考するわ…そして迷い、考え、答えを出す…その答えを見出すのが上位階層の精神なの…」
「ふーーん(さっぱり分からん)」
「マルチの場合、その魂は加工してあるからその上位階層の精神を別人格にしてあるのよ…ほらマルチってこの性格をインプットされてるでしょ?…大きな間違いをおかしそうになるのを防ぐ意味で常識的判断を持つミコトという擬似人格を造ったの」
「ふーん、それがなんで『プロジェクトTo Heart』なんてもんを考え出したんだ?」
「さあ…?」
綾香は首を傾げた…分かんないなら喋るなよ…よけーややこしくなった
「えっとね…つまりマルチちゃんのセキュリティ的な人格のはずのミコトが自分の考えをもってマルチの身体を乗っ取ってきたらしいの…おかげでマルチちゃんの人格と心はこんなとこに………」
「すみません」
ホログラムで構成されたマルチはふかぶかと頭を下げた…
「気にするなってマルチ…あかり、それで続きを…」
「うん…浩之ちゃん、バイオロイドの案の廃止のことは知ってる?」
「ああ…聞いたぜ…」
「この『プロジェクトTo Heart』はね、中枢にバイオロイドを置くことを前提として考えられてきたのでこのプロジェクトそのものも凍結状態になったの…複数の意志が交差する中枢が人間だとストレスで壊れちゃうから」
「ちょっとまてあかり…」
「ん……?」
「『プロジェクトTo Heart』の中枢はバイオロイドじゃなくおれになってるぞ…どういうことだ?」
「ミコトの提案ね…あれはマルチちゃんのメモリから読み取ったんだと思う…きっと浩之ちゃんが適正だって判断したんだよ…マルチちゃんと一番仲良かったのは浩之ちゃんだし」
「人間じゃ危険じゃないのか?」
「強い意志を持っているなら人間でも大丈夫なんだよ、特に相手と自分が知り合いだった場合ならなおさら繋がりやすい…」
「それでみんなを…」
「ミコトはこの案が廃止になったあとも来栖川バイオニクス開発と共同で密かにバイオロイドの研究と『プロジェクトTo Heart』の開発を進めていたみたいで…私たちがバイオロイドと交換させられたのは『プロジェクトTo Heart』をモニターするためだったようなの…私たちのコピーの魂と人格と姿をもったバイオロイドでね……」
「しかしあかりのバイオロイドはその人格ゆえ自滅し、雅史のバイオロイドはあかりの魂を寄生させたことによりバランスがくずれやはり自滅したと……」
「うん…僕たちは捕まってすぐ、来栖川先輩に助けられたんだけど……」
雅史はなにか曖昧な言い方をした
「だけど……?」
「少し実験に使われて…僕もあかりちゃんも今、身体の感覚が壊れてるんだ、おかげで人以上の力は出せるけど…日常には戻れなかった…追われてる身だったしね」
「俺にも黙ってか?」
俺は雅史とあかりを見た
「うん、ごめんなさい浩之ちゃん、謝っても許してくれないかも…しれないけどみんなを巻き込みたくなかったの…浩之ちゃんに危険な真似させたくなかった」
「…たく…このバカ………ずっと死んでたと…俺は……でもうれしかったぜ…また会えて…さ」
「ごめんね…本当にバカだよね…私……」
あかり…あかりは俺にそっと近づくと涙を流して笑った…この笑顔…ようやく見れた…そして俺はただ嬉しくてあかりをギュッと抱きしめた

続く……

おまけ

コンちゃん「ちょっと聞いてよゲンちゃんっ、あ・た・し・の話」
ゲンちゃん「もう随分とたつのにまったく変わりませんなーコンちゃんは…」
コンちゃん「そお、私は永遠に美しいのよ…でもゲンちゃんはしわが増えたわね?」
ゲンちゃん「ほっといてくださいませ、大体アンタそんな厚化粧に女装じゃ変わりようがありませんでしょ」
コンちゃん「んまーなんですって」
ゲンちゃん「あっ化粧がはげた……」
コンちゃん「おだまりっけだまりっ水溜まりっ」
ゲンちゃん「あれっ、ゲッこれはひさしぶりの!?」
コンちゃん「きーーーーーーーーーーーくやしいいいいいいいいいいいい!!!!!」
カッ
ドッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン
……………
コンちゃん「コーーーーン」
ゲンちゃん「ケホッ…」

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なんて懐かしいネタを…しかもおまけもTHどころかleafキャラですらないし…今どうしてるかなおみっちゃん…ドテラマンも捨て難い(なんの話や?)
つーわけで、すっかり忘れ去られてたセリオも登場しドラマはクライマックスへ…ニャン太郎はどうなるのか?コンちゃんの最後のビックリメカとは?そしてゲンちゃんの老後は?多くの謎をはらみつつ次回に続く!!!!(うそばっかやな)
コンちゃん「まだ私の出番はありそうね…」
いやないって…