命(みこと)・・・第9章 投稿者: 紫炎
第9章『割れた鏡像』

「来たか…」
薄暗い部屋…浩之と琴音はそこにいた…窓の外には一台の車が見えた……
「藤田さん…本当に?」
「ああ…俺の偽者…あいつは2ヶ月前、あかりと雅史の偽者と一緒に俺に化けやがったんだ…」
「藤田さん……」
「琴音ちゃん…みんなを助け出そう…」
「はいっ」
浩之の言葉に琴音は頷いた…

「おーーしここが西村居病院かって…なあ綾香?」
「何よ?」
「これが病院かっ?」
「昔は病院やったんかもしれんが…こりゃ廃虚やな…」
俺達が着いた場所…そこは古ぼけた建物があるさびれた場所だった
「おかしいわね…データ検索したらここだって出たんだけど…」
綾香は首をかしげていた…無論綾香が検索に使用したのは来栖川のコンピュータ、そうそうこんな間違いがあろうはずがない……
「あれっ綾香さん、今建物の中に誰かいませんでしたか?」
「何っ?」
俺達は建物を見回してみた…誰かがいるようには見えないけど…
「いないぜ葵ちゃん…」
「おかしいなあ、今確かに……」
「ま、誰かはいるんとちゃうか…?誰だか知らんが私らをここに呼び寄せたのがおるんやろーし…」
「問題は誰かよね…本物の琴音ちゃんなのかしら…?」
「本物ですよ…」
「あれっ琴音ちゃん…?」
建物の入り口から琴音ちゃんが現れた…
「みなさんこんにちは…」
どうやら元気のようだ…良かった……
「こ・・琴音ちゃん無事だったんだ…よかった俺…琴音ちゃんに何かあったらどうしようかと…」
「白々しい…」
「えっ…?」
琴音ちゃんは俺に向かって敵意を込めて呟いた…
「ちょっとあんたいきなりなによっ?」
「いい加減みんなを騙すの止めたらどうです…藤田さん?」
「はあっなに言ってんねん、あんた?」
俺が騙す…なんのことだ?
「琴音ちゃん…それってどういう……」
「こういうことだぜニセモノ…」
ジャッ
!?
「おっお前は……」
そこにいたのは
「よっニセモノ…俺が本物の藤田浩之だっ!!!!」
そこには俺がいた…俺が…?
「お前…誰だ……?」
「俺は藤田浩之…お前こそ誰だ…?」
「藤田さん…これは?」
「どういうことや藤田君……?」
葵ちゃんも委員長も混乱していた…どういうことだよこれは?
「どういうことも何も委員長、葵ちゃん、まだ気付かないのかよ…そこにいるそいつはっ、その藤田浩之を名乗ってるそいつはっ、ニセモノだってことだよ!!」
な…なんだと……?
「なんやて…本当か藤田君?」
「藤田さ……ん?」
「おい委員長、葵ちゃん…おれはっ…」
「ちょっといい…自称本物の藤田君」
綾香があっちの浩之に声をかけた
「よー綾香、久しぶりっ何だよ納得したか?」
「久しぶりはまだ早いわね…あなたが本物っていう証拠もないんだし、それに仮にこっちの浩之がニセモノだったとしてもあんたが本物だっていう確証はないんだから」
「あなたっ来栖川先輩の妹さんですね、この藤田さんがニセモノだっていうんですか?」
琴音ちゃんが綾香に食って掛かった…
「そーんなこと言ってないでしょ…ただ疑問だっただけよ、浩之のバイオロイドなんて金さえかけりゃいくらでも造れるっ、よーするにニセモノは別に一体じゃなくてもいいわけよ…それになぜ浩之が葵すらも倒したヤツラに姫川さんを誘拐させたのかっ、なぜその本物の浩之は2ヶ月も姿を隠してたのか…背後関係は?……他にもまだあるけどね…答えてくれる浩之?」
さすが綾香、言うねえっ
「俺は…今、来栖川の一派に匿われてる…あかりや雅史も一緒だ、琴音ちゃんを連れてきたのは相手が琴音ちゃんの超能力に目を付けたのが分かったからだ…俺自身もヤツラに追われてるんでね…日常に戻るわけにはっ」
「ストップッ!」
「はっ?」
俺は浩之に向かって叫んだっ
「あかりや雅史がそっちにいるのかっ?」
「ふんってめーに答える義務はねーがな…二人とも元気だっ、安全に守られてる…」
あかりと雅史が安全に…それって……?
「なるほど大体分かったわ… それであんたを狙ってる相手ってのは誰?」
「来栖川バイオニクス開発……」
「そう分かったわ…」
「それじゃあこっちの藤田さんが本物だって…」
「葵っ!!」
「はいっ!」
カッ
瞬間、あの浩之に、綾香のローキック、葵ちゃんのかかと落としが決まった…
「うっがあっ」
ドサッ
浩之は崩れ落ちた……
「なっ浩之さんっ……えっ!?」
「とどめよっ!!!」
綾香はスカートの中からナイフを取り出し浩之の額を突いたっっっ!!!
バチッ
「きゃっ」
貫いた途端、電光がほとばしり、綾香が吹っ飛んだっ
「綾香っ!!!!」
俺は綾香に駆け寄った
「痛ううぅぅ!!!大丈夫よ浩之っ、電子回路を粉砕したときにちょっと感電しただけだから…それより」
「あっああっ……藤田さん…」
俺を名乗ったあいつは額から妙なコードと血に似た液体を流し倒れていた……
「琴音ちゃん…そいつは……」
琴音ちゃんは泣いていた
「はい…分かってます……ニセモノですよね……でも…私には優しかったんです…私には…」
「琴音ちゃん……」
「…姫川さん…悪いけど泣いてる暇はないわよ……」
「え……?」
「なっなんやあんたら?」
ズラッ
気が付くと俺達は10人ばかりの黒服に囲まれていた…
「綾香さんっこの人たち…私を倒した……」
「へえこいつらが葵を倒した相手か……」
ザッ
綾香がかまえた…だがその表情には余裕が感じられない
「藤田さん…」
「藤田君どないする?」
こいつらが葵ちゃんを倒したヤツラ…しかも10人…この間のとはまるで危険度が違う…綾香と葵ちゃんでも全滅させるのは難しいだろう
「浩之…狙いは多分あんたよ…気を付けて」
「へっ俺?」
「あのね…忘れたの?…あんたは『プロジェクトTo Heart』の中枢なのよっ、多分、今回の姫川さんのこともあんたを誘うエサだったのよ…」
「!?」
「おしゃべりはもういいかな?」
黒服の一人が喋りかけてきた…
「おとなしく投降しろ藤田雅史…身の安全は保証する」
くっ…どうする…ここでみんなを危険にさらすわけには……
「従っちゃ駄目だよ浩之っ」
「なにっ?」
ガッッッ
黒服が数人吹っ飛んだ
「雅史っ!?」
「逃げるよ浩之ちゃんっ!!」
「あかりっ!!」
「なっなんだお前らっうわああああああああああ!!!!」
キキイイイイイイイイ!!!!!
突如、現れた雅史とあかりの裏にトラックが突っ込んできて急停車した…そしてトラックに乗っていたのは…
「綾香お嬢様っ小僧どもっ早く乗らんかいっ」
「セバスチャンッ!?」

続く……

おまけ

マルチ「今回はお休みです、すみません」
浩之「修行が足らん…修行が!」
マルチ「あううううう…ぐすん」


* *********************************
どうも紫炎です…!!このシリーズもそろそろ大詰め!!!
あと少しで終わりにしようかと思ってます…次はパロ物にいきたい…CCさくらをやって見たいと思ってるんやけどさくらはやってる人がもう何人もいそうな気が…
ちょっと考えてるキャストを紹介
さくら=マルチ・ケロちゃん=委員長・お兄ちゃん=浩之・お父さん=雅史・雪兎=芹香・知世=理緒・李=志保・観月先生=あかり・園美=綾香・お母さん=くま
で行きたいと思います
んでわ今回疲れてるんでこれにて終了…さいならーーーーーーー