命(みこと)・・・第4章 投稿者: 紫炎
第4章『謀略の渦』

来栖川グループの専用回線を使っての来栖川バイオニクス開発へのハッキングした綾香と浩之…そしてそこに映し出されたものは…

「おいっこれって…」
「『プロジェクトTo Heart』…魂のリンクを目的とした計画…まさか実践段階に入ってたなんてね…」
モニターには俺を中心とし、円形状に何人かの名前が書かれていた…俺に近しく親しい人物たち…当然あかりと雅史の名前もあった…
「これってどういうことだよ?」
「あなたを中継として意志を通じさせようとしているみたい…」
「意志を通じ…?」
相変わらずこっちのことも考えずにしゃべってくれる…
「取りあえずなんなんだよ、その『プロジェクトTo Heart』ってのはさ…?」
「えっ…ああ、そうね、説明しなきゃね」

「説…明……?」
「…どうしたんですかイネスさん?」
「ううん、何でもないのよ…」

「なんだ今の…?」
「気にしないで…あのね、魂のことはさっき言ったわよね?」
「マルチに装備したってやつだろっ」
「あたりっ!!そーいや浩之っ、余談だけどね、魂を装備させるってことは人工的に魂を造り出す技術もあるってことなんだけど…分かる?」
「まあ、無い物をいれるこたーできないからな、どっかから持って来たりでもしたら犯罪だし…」
「そういうことっ、多分あとで必要になる知識だから覚えておいて!そんでこの『プロジェクトTo Heart』はね、同じ規格である魂をもった人間同士、機械同士、そして人と機械がコミュニケーションするためのシステムなのよ!」
「テレパシーみてーなもんか?」
「そのまんまよ…増幅波みたいなものによって造られた一種のフィールドの中でなら言葉を交わさず、思うだけで情報を交換できるらしいわ」
SFから超能力もんに変わったようだ…
「もう、何がでても驚けねーな……それでなんで俺達の名前が…?」
「実験ね…あんたあの時、テントのなかであかりの声が聞こえるっていってたでしょ?」
そういえば…あの時、俺はいるはずもないあかりの声が聞こえてきたんだ…
「学校を中心にフィールドがはってあると思っていいんじゃないかな…多分、偽雅史の中にいた偽あかりの声にあんたが反応したんでしょ!」
「本物のあかりだと思ってたんだけど…」
「思いは本物だったってことでしょ…」
「……」
「ねえ浩之……クローンが否定されたわけ…分かるでしょ…」
「……ああ……」
…辛すぎるんだな……偽者だなんて…自分の命を軽いと感じさせるには十分だ…
「それにしても葵やあたし、姉さんの名前まである…来栖川の後継者まで実験として使うなんて…いったい誰がこんなこと…」
……
「そーいや俺を中心にって…俺、サーバーみてーなもんか?」
「えっええ…浩之を中心に…そっか、ねえ浩之…あんた個人的に来栖川バイオニクス開発に知り合いとかいないの?」
はあ…?
「ばかいえっ、来栖川関係で知ってる人間なんてお前や先輩、あの長瀬って人にセバスチャンくれーだぞ!」
「そう…ね…長瀬さんが来栖川バイオニクス開発に絡んでることはまずないわ…あの人、あそこ嫌ってるのよ……あの人が気にいってたマルチも結局来栖川バイオニクス開発に回収されちゃったし」
「マルチが…?」
「あたしや姉さんはまずないとして…セバス…?」
「おいおい…あのジジイがかよ…?」
そりゃちょっと飛躍しすぎじゃあ…
「と言うことは…しまったっ、姉さんがあぶないっ!!!!」
いや、だから……
ガチャッ
「!?」
「くくくっ」
「なっあんたはっ!!?」
「あーらセバス…人の部屋に入るときにはノックをしろっていつもいっているでしょ?」
無遠慮にもドアを勝手に開け、中に入ってきたのは気味の悪い薄ら笑いをしているセバスチャンだった…
「綾香様…いけませんぞ、御自分の会社の秘密を探ろうなどと……」
「うっさいわね、あんたいったい!?」
ガッシャァァァァンッッッッッ!!!!
「なっ窓がっ」
「ちっ思ったより早かったか!?」
「あああっ私の部屋がぁぁぁぁぁぁっ!?」
スチャッ
窓を突き破り、中にはいってきたのは……
「危ないから…しゃがんでて……」
「お前…まさか………あかり!?」
「撃つよ…」
「雅史っ?」
窓を突き破り、中にはいってきたのは……あかりと雅史っ!?
ガンッガガンッ!!!!!!
「うぐっ!!!!」
雅史の手にした拳銃から放たれた銃弾はセバスチャンの胸に全弾命中した…
「雅史っお前なんてことを…」
「………」
「おいっ雅史っっっっ!!!!」
「まって浩之っセバスチャンがっ」
「!?」
胸を銃で三発、致命傷であることは間違いない…だが目の前のセバスチャンはまったくお構いなしに突っ立っていた…
「まさかお前も…」
「Hoss−07…バイオロイドといわれているものだよ…」
あかりは一言つぶやいた
「ただの人形…」
「ふんっ少し遅かったな…本物はもういないぞ…」
「うるさいんだよ…」
ガンッ
「うぐっ!?」
雅史の銃弾が額に命中し…セバスチャンは沈黙した…
「処理終了までに58秒…まずまずね…戻ろう…」
「うん…」
「おいっ待てよっ!?」
立ち去ろうとする二人の足が止まった…
「なあ、説明してくれんだろ…どーしたんだよっ…なあ、あかり生きてたんならなんで連絡の一つもくれなかったんだよ…」
「必要…なかったから……」
「あ…あかり?」
パンッ
「!?」
綾香があかりの頬を叩いていた
「あんたねっ、この二ヶ月間浩之がどんな気持ちで…」
「いいんだ…綾香…」
「浩之…でも…」
綾香はまだなにかいいたそうな顔をしていたが、黙っていることにしたらしい…
「雅史…お前は…?」
「……君の知っている佐藤雅史は死んだ……」
「!?」
「さようなら…浩之……」
そして二人は去っていった、俺との間に見えない壁を造って……

続く…………

おまけ

雅史「ふーーーーーー、疲れた…いやーあんな緊張したシーンなんてやるもんじゃないや、ねっあかりちゃんっ!!」
あかり「えーーーーーん雅史ちゃーーん!!!」
雅史「うわっなに、あかりちゃん?」
あかり「私たち絶対浩之ちゃんに嫌われちゃったよねっ!?」
雅史「うっ!?」
あかり「もー駄目よ、絶交っていわれるの目に見えてるわっ!あーーーーん浩之ちゃーーん」
雅史「いや…ほら…浩之もきっと分かってくれるってば…」
あかり「ううっ雅史ちゃんには関係ないもんね、もーほーとか薔薇族系の人間なんだから!絶対に結ばれないのは目にみえてるんだから!そんで断られた途端に襲って強引に肉体関係を結ぼうとするんだわ!!不潔よっ、雅史ちゃん不潔だわっ!!!!!」
雅史「あ…あかりちゃん……」
あかり「なによその目っ、あーーー本当のこと言われたんで私を犯して口止めするつもりねっ、いいわよっやりなさいよっ!!どーせ浩之ちゃんに捨てられた身の上…なんだってくれてやるわよっ!!!!!!」
雅史「………あのーー…」

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はろはろー紫炎ですっ
あかりと雅史登場しました、雅史ハードボイルドすぎますね…でも俺的にはかっこいい感じなんでOKです!!マルチ、どーやら囚われているようです……このお話のキーワード的存在になることと予想されております…(ストーリーまったく考えてませんので…『プロジェクトTo Heart』…TV化計画の一端でしょうか?謎です…)
今回、私は「……君の知っている佐藤雅史は死んだ……」を言わせるために書き上げたんですよ…くう…見た途端に思わずにやっとしてしまいます…いいなあアキトは…おいしすぎ(この一言のためにシナリオも変更し、路線すら変わりました)…次回はいよいよ志保&マルチの登場となります…そしてあかりと雅史を操っている謎の人物も登場します…実はもう出てるんですが誰でしょう?…それではっ!!!