命(みこと)・・・第二章 投稿者: 紫炎
2章 『声』
「浩之ちゃん…ずっと好きだよ」
大切なのは時間ではなく、思い…
必要なのは身体ではなく、心…
そう信じてもいいよね?
私の大切な……

「雅史…どうしたんです?」
「頭部を撃たれてる…狙撃銃で……」
!?
「そんな…」
「だが…まだ生きてる…」
頭を撃たれて生きてる?…どういう……
「 それって…」
「なんにもわかんねーよ!警察だってなーゾンビを捕まえる訓練なんざ受けちゃいないんだよ!!…ましてやあっちにゃ人質もいる!もう3日もたってて中の生徒は脱水症状だって起こしかかってんだぞ…一刻も早く助けなきゃやべーんだ!!」
「………!?」
「…ふう…狙撃銃は最後の手段だった……ヤツはすでに5人殺してる…いやあの腕の持ち主を入れて6人か…今、強行突破すればあと何人犠牲がでるか分からん…まして俺たちにあいつを捕まえられるのかさえ……」
雅史…お前…いったい……
ドクンッ
「えっ」
今のは…声…?…あ…か…り……?
「あかり…あかりかっ今の声っ!??」
「浩之…あんたどーしたの…?あかりって…その子…この間……」

二ヶ月前…晴れてはいなかったけど風の気持ち良かった日…そんな日にあかりはビルから飛び降りた……即死だったから苦しくはなかっただろうってまわりはいっていたが俺にはそんなことどうでも良かった……ただ心が欠けたような奇妙な感覚だけが残った……そんな頃だったか…俺が学校をさぼりだしたのは……雅史もその頃から何か変わっていったのかもしれない…

「ああ、死んだよ…確かに…遺体は…見れなかったけどな…損傷が激しいからっていわれて、でも……聞こえた、今確かにあかりの声が聞こえたんだ!」
「ちょっと浩之…あんたまでおかしくなっちゃったの?」
…………
「かもな…でもあれはあかりだ!あかりの声だっっっ!!!」
俺には分かる……あれは…あの声は……
ダッッッッッッ!!!
「おいっお前…待て…だっ誰かあいつを止めろぉぉ!!」
「浩之っあんたっっ!!??」

来たよ…救い主だ……待っていた…タマシイ…二人をつなぐもの…それは………
ヒロユキチャン…マッテイタ…アナタヲズット……
時間…もうないから……僕らは指し示すだけしか出来ない…狂気に僕らは勝てない……だから浩之……これから消え去る僕らを……
タダワスレナイデ……アイシテイル…ズット…タトエワタシガ………デモ
行こうよあかり……どんな罪を犯そうと…どんな罰を受けようと…狂気は残さない……

ガチャッ
「雅史っ!!!」
教室には雅史がいた…たった一人で……
「来たね…浩之……待ってた……ずっと…」
「人質の奴等は?」
「隣にいるよ…浩之と二人で話したかったから……」
………
「お前……変わったな」
「そーだね、世間じゃ有名な殺人狂だから」
雅史……その頭…いったい……
「お前、どうして…こんな……」
「生きてるよ…みんな……」
えっ!?
「あいつの狂気を満足させるには演出が必要なんだ……殺したふりをして警察を惑わす…あいつはそれを見て笑う……それであいつは満足した……ほらさっきの腕は僕のだよ…ははは…片腕しかないでしょ」
あいつ……?
「まっその代償がこの穴あき頭だよ…なんかすーすーするよ…はははは、おかしいね…」
「笑えねーよ…なんでお前こんなことを…どーして銃で撃たれて生きてんだよ?」
「うん、まっいろいろあるんだけどね…時間がなかった…もう僕じゃ狂気を押さえ切れないんだよ…気づいたときにはこうなってたんだ…ただこのまま消えるわけにはいかなかったんだ…浩之に話しておかなきゃいけないことがあったからね」
狂気…あいつ…俺に話すこと…何を言ってるんだ雅史のヤツは?
「くわしくは話せない…プログラムに違反すれば僕もあかりも消えてしまう…」
「あかり…?あかりが生きているのか?」
「うん…浩之には悪いことをした…二ヶ月前…あの子は狂気に耐え切れず自滅してしまった…あかりになり切れなかったんだ……浩之が好きなのは本物のあかりだから……自分は違うものだから…でもその魂は残ってしまった…未練だけが…残って僕に寄生し狂気を強めたんだ……」
あかりになり切れない…?寄生…?それっていったい…
「あの子はさっき狂気に食われた…唯一残ってた良心も消えかかって出てはこれない…僕ももう持たないよ……浩之…悪いけどもう行かないと浩之も殺して…しまい…そうだ…あいつも浩之のことが好き…だからね……表に出たがって……るんだよ」
「雅史…お前は……」
「大丈夫…雅史もあかりも生きている……浩之…本当の僕によろしくっていっておい…てね…それじゃあ……」
「雅史っ!!!」
ガシャンッッ!!!!!!!

「警部っ、犯人が窓を突き破って外にっ」
「マスコミはっ?」
「塞いであります!いけますっっ!!!」
「よし狙撃班、撃てえええ!!!!」

ただね…分かってほしかったんだけどね…浩之…ぼくたちはたとえ偽者でも君がとても好きだってことが……
ワカッテクレルワヨ…ヒロユキチャン……ヤサシイカラ…
うんそうだね…僕もそう…思うよ……じゃあ行こうか…天国……

ィイヤ…ワタシハ…キエナイ…キエタクナイ…ワタシハ…ワタシハ…ヒロユキチャンノコトガ……

ガァァァァァァァァンンンンン!!!
………………
………………
ドサッ
………
「雅史……」
雅史はもう動かなかった…

「浩之…いつまでそこにいるの?」
俺は教室のなかで突っ立っていた……もう何も考えられなかった…ただ心の中の空白がさらに大きくなっていったような気がした……
「雅史も死んじまったよ…綾香……」
「……」
俺は……
「………浩之…率直に言うわよ…あれ…佐藤雅史じゃ…いや人間ですらないわよ…」
「!?」
綾香……?
「認めたくないけどね……多分、私あれ知ってる……」
「知ってる…?」
「うん…いっしょについてきてくれない浩之?…どーもきな臭いにおいがするの……」
「行くってどこに……?」
綾香はただ一言呟いた…
「来栖川バイオニクス開発…」



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2章『声』でした…かなりハイペースで書き上げましたね…もー頭いっちゃってます
あかりと雅史…フォローできてるかな?なにせ本人たちはまだ出てないんだから…
んってことは出てきたキャラ浩之と綾香だけじゃん!次からはもっと出そうっと……警部さん…長瀬刑事にしよーと思ったんだけど考えてみたら痕やってないから性格分かんないんだよね、はははは!!
今回1章だけ先にだそーと思ったけど、あまりにも救いようのない内容だったんで2章もいっしょに出しました…小説自体書くのこれが初めてなんで読みづらいかもしれないけど笑わんでくださいね、つーか怒らないで…にしても俺遠慮を知りませんね・・・困ったもんです
んでは紫炎でした