「ホワイトアルバム」その後 投稿者: 沙司
「ホワイトアルバム」その後

司会「最優秀賞は・・・森川由綺さんです!」
由綺「!(・・・冬弥君・・・私・・・!)」

 音楽祭から3ヶ月過ぎたある日。
冬弥「やっと、ゆっくり逢えたね」
由綺「うん、ごめんね。」
冬弥「いいって、まったく逢えなかったわけじゃなかったんだし」
音楽祭の後、最優秀賞を受賞した由綺は新人が受賞したこともあって、マスコミの取材攻勢がすごかった。
ふたりは冬弥がADのバイトで少し逢えるぐらいだったのである。冬弥は由綺のマンションに行くのは控えていたし、なにせ由綺は「エコーズ」にすら行けなかったぐらいだった。
そんな中でも、冬弥の存在が表に出なかったのは奇跡に近かった。恐らく、英二さんと弥生さんのおかげだろう。また、マスコミも男性関係についてはほとんど書いていなかったのだが・・・・・
冬弥「でも、あらためて・・・最優秀賞おめでとう」
由綺「うん、ありがとう。冬弥君のおかげだよ」
冬弥「ちがうさ、。理奈ちゃんも祝福してくれてたよ。でも来年は私よって言ってたけど」
由綺「うん、私も言われたよ。でもまだまだだよ。私なんか」
冬弥「そんなこと、言っちゃだめだよ、由綺。理奈ちゃんやほかのエントリーしてた人に失礼だ。由綺は実力があったから最優秀が取れたんだよ。由綺のがんばりが実を結んだんだよ。自分の努力を信じなきゃ」
由綺「うん・・・でも、ほんとに冬弥君のおかげもあるよ。音楽祭の前の日、冬弥君が来てくれなかったら私・・・どうなってたかわからなかったよ」
冬弥「・・・俺にもう少し自分に自信があったら、もう少し由綺の心をわかっていたら由綺につらい思いをさせずにすんだと思う。ごめんな」
由綺「ううん、そんなことはないよ。でも、おかげであの日冬弥君と・・・・・」
冬弥「由綺、顔赤いぞ・・・。ところで由綺は明日もオフなんだよね」
由綺「そうだよ?」
冬弥「それじゃ、明日までずっといっしょにいれるね。・・・ぼっ(顔が真っ赤)」
由綺「そうだね・・・えっ・・・ぽっ(さらに顔が真っ赤)」
まだ、うぶなふたりである。


 さらに、4年が経った。
大学を無事に卒業した冬弥は「エコーズ」のマスターの紹介で、来栖川電工に就職し開発部に勤務している。紹介とは言えかなり厳しい入社試験があったようだ。
由綺は、歌手としてまさに絶頂の時期にあった。音楽祭は毎年エントリーされ、最優秀も2回受賞した。
理奈は、由綺と交互に音楽祭の最優秀を2回受賞した。4年前の音楽祭の後、理奈はマネージャーが替わったのだがこのマネージャーが弥生クラスの優秀さを持った男で彼の存在が大きかったようだった。現在は公私共に理奈をサポートしているようである。


 そして・・・
由綺「冬弥君・・・私・・・いいの?・・・歌手を辞めなくても?」
冬弥「なんどもいったろ?由綺は歌手をまだ続けたいんだろ。それで良いさ、今まで通りだよ。変わるのは一緒に住むということさ。」
今日は由綺と冬弥の結婚式である。
冬弥は前の年の由綺の誕生日にプロポーズした。クリスマスイブ恒例の由綺のコンサートの後だった。

早めに打ち上げを抜け出した由綺は、マネージャーの弥生の車で急いで自分のマンションに戻った。
弥生は由綺を送った後、約束があるらしくあわただしく走り去った。過去の呪縛を解き放ってくれた人のところへ。その事を知っている由綺は自然と笑顔で彼女を見送った。
そして、部屋に戻ると冬弥が由綺の帰りを待っていた。
ケーキを食べて一段楽したとき、
冬弥「由綺、これ受け取って」
小さな包みだった。
由綺「クリスマスプレゼント?ありがとう!あけるね!」
冬弥「・・・クリスマスプレゼントであって、誕生日プレゼントであって・・・・・・」
プラチナのかわいらしいリングだ。
由綺「・・・?・・・!」
冬弥「由綺、結婚しよう」
由綺「えっえっえっ!・・・いいの?本当にいいの?私でいいの?迷惑かけちゃうかもしれないよ?」
冬弥「俺は、由綺と一緒にいたい。由綺を見ていたい。由綺を支えていたい。それだけだよ」
由綺「冬弥君・・・ありがとう」
涙があふれてとまらない由綺は満身の笑みを浮かべ冬弥に飛びついた。

その結婚式は身内と親しい友人のみを招待したつつましいものだった。
その中には、去年結婚した美咲や相変わらずのはるかや彰、マナの姿もあった。
そして、由綺の投げたブーケを受け取ったのは・・・理奈であった。

由綺と冬弥に後れること2ヶ月、理奈はマネージャーと結婚した。

マスコミはこの2組の結婚の情報はつかめなかったようで、緒方英二の隠蔽工作の巧妙さが功を相したようだ。


 3年が経った。
マスコミは連日のように理奈の引退の話題で持ちきりだった。引退の理由は明らかにされておらず、憶測のみが画面や紙面をにぎわしていた。

冬弥「由綺、理奈ちゃんはどうして引退するの?」
由綺「うん、その前に私の話を聞いてくれる?」
冬弥「うん」
いつになく真剣な表情の由綺である。
由綺「あのね、私も引退する。」
冬弥「そう・・・って!どうして、由綺はいま絶好調なのに・・・これからだって・・・まだだま人気はあるのに!」
由綺「冬弥君、聞いて。理奈ちゃんがね、引退する理由はね、赤ちゃんが出来たの」
冬弥「!そうなんだ!」
由綺「で、次は私の引退理由・・・なんだけど・・・私のね・・・おなかにも・・・いるの・・・赤ちゃん・・・」
冬弥「!!!!!」
由綺「冬弥君、パパだよ」
冬弥「由綺・・・ありがとう・・・」

由綺と理奈は二人のジョイントコンサートが引退の場となった。英二も妊娠したら引退させる気だったらしく、その引退コンサートは英二が以前から企画していたらしい。ただ、計算違いはふたりが同時期に妊娠し引退することだった。

そして、由綺には女の子が、理奈には男の子が生まれた。
由綺は芸能界に復帰することは無かったが、理奈は子育てが一段落した後、夫と共に復帰した。


 そして・・・
由綺「あかり、お弁当持った?せっかく自分で作ったんだから忘れちゃだめよ」
あかり「うん、もったよ。忘れたら浩之ちゃんに怒られるもん」
冬弥「あかり、今日からメイドロボの試験があかりの高校であるからな。見たら友達になってやってくれ」
あかり「わかった、じゃお父さん行ってくるね」
ふたりの娘はいま高校2年生である。由綺と冬弥は娘に「あかり」と名づけた。
あかり「ひーろゆーきちゃーん、がっこいこー」
浩之「あかり、小学生じゃねーんだぞ」
迎えにきたあかりに答える浩之。
あかり「浩之ちゃん、おばさんとおじさんはお仕事?」
浩之「ああ、昨日から全国ツアーが始まっちまった。」
浩之は理奈とその夫の息子である。浩之が10歳のときに両親は芸能界に復帰してしまったために、一人で家にいる事の多い幼馴染の浩之にあかりは何かと世話を焼いていた。浩之のほうもまんざらでないようである。
あかり「今日は浩之ちゃんのお弁当も作ってきたからね」
浩之「おお、サンキューあかり」
並んで歩いていく二人だった。

由綺「浩之君が本当にすきなんだね、あかりは」
冬弥「そうだな、浩之君のパパとこないだ話したとき、浩之君もあかりのことを意識してきたらしいぞ。異性としてね」
由綺「パパは大変ねぇ、ふふふ」
冬弥「こら、由綺!」
でこピンをする冬弥。平和なふたりである。


そして、季節は巡り、新しい二人の物語が始まる。

<終>

こんにちわ、沙司といいます。
今回はホワイトアルバムの由綺Endingからです。
ご不満な点も多々あろうかと思いますが、感想など聞かせていただくとうれしいです。
今度はToHeartもので行こうと思っていますので参考にさせていただきたいと思います。 

感想関係はまた次に書きますのでご容赦を。(実はまだ読んでいないのが多くあるので)

余談:実は、ゲーム談話室でLeafゲームのベストエンディング投票があり、そこで妄想編(要は各人のオリジナルのエンディング)というのが有りまして、そこにカキコしたものをベースに新たに書いたものです。一部GSRさんのネタを使用しております。

沙司でした。