アイドル・ファイト! 投稿者:戦艦冬月
とっさに思いついたものです。できれば読んでやってください。
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此処ではない、何時か、何処か。
とある町に名のあるゴーレム職人の親子がいた。
父親の名前を「藤井 某」
息子の名前を「藤井 冬弥」といった。

え?なぜ親父の名前が「藤井 某」なのかって?
そりゃもちろんわからないからに決まってるでしょ。(笑)


そして、同じ町には人気を二分するアイドル達がいた。
一人は名前を「森川 由綺」といい、もう一人は名前を「緒方 理奈」といった。
二人は仲のいい友人だったが、同時にトップアイドルの座をねらうライバルでもあった。
でも、周りに言われているよりかは二人はとっても仲良しだった。

「今度は私が1位をもらうからね。由綺」
「ううん。私だって負けないよ、理奈ちゃん」

そんなある日、二人のアイドルは町の大通りを仲良く並んで歩いていた。

「由綺ちゃーん!こっち向いてー!!」
「わーっ!!理奈ちゃーん!!」

二人はとっても人気者だ。

そこに現れた二人の男。
もちろん冬弥とその親父だ。
「由綺」
「あっ、冬弥君」
「こんにちは、冬弥君」
なにげに親父を無視している二人である。
しかもこう見えても冬弥と由綺は恋人同士だったりする。
もちろん理奈とも知り合いだ。
「何か用?冬弥君」
かわいく小首を傾げて冬弥に訪ねる由綺。
その横では理奈が複雑な表情をしていたりする。むろん、二人は気ずいていないが。
「ああ、実はね・・・・・・」
冬弥が話し始めたそのとき、
「実は、こいつとゴーレムのコンセプトの件で意見が対立してな」
いきなり恋人同士の空間に割り込んで話し始める親父。
無視されたのがよっぽど堪えたらしい。
「は、はあ・・・・・」
冬弥との会話に水を差され思いっきり引く由綺。
そんなことはお構いなしに親父は話を続ける。
「こうなったら、この際どちらがゴーレム職人として腕が上かお互いに白黒はっきり
と決着をつけよう、ということになってな。あんた達にはわしらの作るゴーレムのモ
デルになってもらいたい」
「へえ・・・・・・。面白そうじゃない」
「り、理奈ちゃん・・・・・」
「あんた達だってこの際だ。どっちがトップアイドルにふさわしいか決着をつけるの
に丁度いいと思うんだが・・・・・」
「・・・・・それもそうね」
「理奈ちゃん?」
「引き受けるわ、この依頼。由綺もいいわよね?」
「えっ?う、うん」
「じゃあ、由綺は僕のモデルになってくれる?」
話の合間を縫ってやっと冬弥が口を挟む。
「えっ、えっ?う、うん。私はいいけど・・・・・。理奈ちゃんは?」
困った顔で理奈の方をみる由綺。
「私もいいわよ。本当は私も冬弥君の方がいいんだけど、お父さんの方しかもう残って
ないしね?」
涼しい顔できつい事をさらっと言う理奈。親父のこめかみに青筋が浮かんでいたりする。
「ご、ごめん・・・・・。理奈ちゃん」
「いいのよ」
「話は決まったな。じゃあ、理奈さんの方はワシについてきてもらおうか」
怒りを押さえ込んだ親父が言う。
「じゃあ、由綺は僕の方へ」
「負けないよ、理奈ちゃん」
「私だって」
がっちりと握手を交わす二人。
その横でそっぽを向く親子。
『ふんっ!!』
かなりの仲の悪さだ。
大通りの真ん中で四人はしばらくそのままだった。

なお、今までの様子を見ていた町の人々は、
「いいぞー!!やれやれーー!!」
「面白くなってきやがった」
「おい、どっちが勝つか賭けようぜ!!」
まるっきり人ごとのように騒いでいた。

こうして町全体を巻き込んだゴーレム決戦が始まったのだった。

数日後。
町外れの丘の上でゴーレム職人の親子が対峙していた。
しかし、モデルになったはずの二人のアイドルの姿がそこにはなかった。
いぶかしんでざわざわと騒ぎ始める町の人たち。
「よく来たな、親父!今日という今日こそは俺の実力を認めさせてやる!!」
「ふん、青二才が!それはこっちのセリフだ!!後で吠え面かくなよ!!」
「いいやがったなぁ!いでよ!!俺の『ユキン・ゴッデス』!!!」
冬弥のかけ声とともに冬弥の背後から灰色の由綺の形をしたゴーレムが上ってくる。

う・・・・・、うおおおおおおおおおっっっ!!!!!!
見物客から歓声が上がる。
「みろよ、あの造形の深さ。由綺ちゃんにそっくりじゃないか。」
「ああ。色が付いてなくても売ってたら俺、絶対買っちゃうよ」
「冬弥も腕を上げたねぇ・・・・・・」
などと町の人たちが騒いでいると、突然由綺の声がした。
『きゃぁぁぁぁぁっっ!!??ここどこぉぉぉっっ!!??冬弥くぅぅぅぅぅん!!!』

ざわっ・・・・・・・・・・。

あわてて手元の通信機に向かってしゃべりかける冬弥。
「あわてるな、由綺!!そこは俺の作ったゴーレムの中だ!この勝負が終わるまでの辛抱
だからおとなしくしていてくれ!!」
『なんでぇぇぇぇぇっっ!!??何で、中にいなくちゃいけないのぉぉぉ!?』
「完全な完成には間に合わなかったんだ!由綺が中にいることによってそのゴーレムはス
ムーズに動くことができるんだ!!どういう理由かは、はぶくけど・・・・・」
『わかったわ!!あたしがんばるね、冬弥君!!』
いきなり納得してしまう由綺。
「ありがとう、由綺!!」
咳払いをした冬弥は親父に向き直り、
「見たか親父ぃぃぃぃぃ!!!!これが俺のゴーレム、『ユキン・ゴッデス』よお!!」
「くっ・・・・・。や、やるじゃねえか・・・・・」
わずかにひるむ親父。
「だが!!このワシのゴーレムを見てもそんな態度がとれるかな!!??『キュポキュポ
理奈ちゃん』!!発進だ!!!」
こんどは親父の背後から「キュポッ、キュポッ」という音とともに二頭身(!)にディフ
ォルメされた理奈の顔をしたゴーレムが上ってくる。

うおおおおおおおおおおおっっっ!!!!!?????
またもやどよめく観客達。
「かっ、かわいいっ!?」
「うーん、相変わらずファンシーなゴーレムを作るねぇ」
「ママー、あれほしいー!あれほしいーー!!!」

「くっ、ち、ちょっとかわいいかなって思ってしまった・・・・・」
今度は冬弥がひるむ。
いろいろな声が飛び交う中、今度は理奈の声がした。
『こっ、ここはいったいどこぉぉぉぉぉぉ!!??』

ざわざわざわ・・・・・・・・・・・・・・。

あわてて冬弥と同じような通信機に話しかける親父。
「あわてるな!そこはワシの作ったゴーレムの中だ!!完全な完成には間に合わなかったん
でな。どういう原理かはさておいて、あんたの力を借りることにしたんじゃ!!」
『・・・・・・私の力?』
訝しげな声で訪ねる理奈。
「うむ。あんたがいないと『キュポッ、キュポッ』っという音がしなくなるんじゃ。」

「じゃあ、しょうがないよなー」
「ああ。足音がしないんじゃ、かわいさも半減しちまうからなぁ」
などとのたまう見物客達。てめーら、絶対人ごとだと思ってるだろ。

『なによそれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!』
「ま、勝負が終わるまでの辛抱じゃ。しばらく我慢してくれい」
『だいたい万が一にも私の乗っているゴーレムが負けたら中にいる私はどうなるのよ!!そ
こんとこの説明は!!!???』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
『なぜそこで黙るのよぉぉぉぉぉぉっっっ!!!???』
『・・・・・・冬弥君?』
「・・・・・・・・・・・ごめんよ、由綺」
思わず視線を逸らしてしまう冬弥。
『冬弥君・・・・・・・・・・(泣)』
「さあ!!気を取り直して、行くぞ!!冬弥!!!」
「きやがれ!!!くそ親父!!!!!」
『ち、ちょっと、ちょっと、ちょっと!!!』
「アイドル・ファイト!スタンバイ!!」
「レディィィィィィィィッッ!!!!!」
『えっ?えっ?ええっ!!??』
「「ゴオォォォォォォォッッッッッ!!!!!」」
『いやあぁぁぁぁぁっっ!!やめてぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!!!!』×2

こうして当人達が望む望まないに関わらず、最高のゴーレム職人の座とトップアイドルの座
をかけた決戦は幕を開けたのだった・・・・・。





決戦の結果はうやむやのうちに引き分けとなった。
町は半壊したが、奇跡的にも由綺や理奈、冬弥達は無事だったようだ。
町の人たちにも死人はなく、軽い怪我人だけですんだ。
しかしなぜか親父だけは大怪我をおったようだが。(笑)


了
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何とか公約どうりに7月中にアップすることができました。
駄文ですが読んでやってください。なんせ自転車に乗っている最中に思いついたやつ何で・・・・・。
それじゃ、いつもどうりご意見、ご感想、苦情等はここや、書き込み伝言板の方までお願いいたします。
それから、UMAさん、dyeさん、無駄口の人さん、感想ありがとーございます!
Foolさん、「滅殺あかりさんのうた」、ありがたく頂戴しておきます。(笑)私も負けてたまるか。(笑)
「タイム・ボカン・シリーズ」でまた何か作ろうと思いますのでお楽しみに。(笑)
それでは今回はこの辺で。であであ〜。(^_^)/~