「こころの枝 〜ぶどうの実〜」3 投稿者: 美咲萌え紫陽
BGM:溝口 肇「PERFECT WORLD」でどぞ!

「こころの枝 〜ぶどうの実〜」

4,マルチ編

 いつのまにか葉っぱが散ってしまった…。
 わたしのこころもその度に“しん、しん”と何かが落ちていった。
 何だろう?人間のみなさんも、感じるのだろうか!?
 “しん、しん”“しん、しん”“しん、しん”
 その度に、涙が出るのをこらえなければならない。
 “しん、しん”“しん、しん”“しん、しん”
 その度に、思い出にすがり付きそうになってしまう。
 “しん、しん”“しん、しん”“しん、しん”
 その度に、みなさんのやさしさが恋しくなる。
 “しん、しん”“しん、しん”“しん、しん”
 その度に、誰かの温かさが欲しくなる。

 わたしがこんな風になった理由、本当は知っている。
 でも、そんな事言えない、とても言えない。言っちゃいけない。
 浩之さんはやさしいし、琴音さんもやさしい…
 あかりさんは、最近悩んでるみたいだけど、それでもやさしい。
 みんなみんなやさしい、そんな気持ちを……

 「浩之ちゃん…」
 あかりさんが近づいてきた。
あかりさん、泣いてたね。ベッドにうずくまって泣いてたね。
 髪がぼさぼさなのは、その証拠。
 目が腫れているのは、その証拠。

 「なんだ、あかりか…どうし…」

 「浩之ちゃん!…うっ…うっ、うわぁぁぁん」
 そのまま青空の中に、落ちていきそうな勢いでへたりこんで、
あかりさん、そのまま泣いてしまった。
 一粒、また一粒落ちる涙は、光を吸って…頬で星になる。
 頬にあった星はやがて地面に落ち、その一生を終える。
 地面は、星のお墓、たくさんの人の星のお墓。
 喜び、苦しみ、哀しみ
 それらをすべて地面は知っている。
 だから、地面に触れば解るよ、あかりさんの気持ち。
 冷たい、冷たい地面。
淋しかったんだね、わたしが浩之さんの事、あかりさんから取り上げてたもんね。
 「う…う…う…馬鹿!馬鹿!!馬鹿!!浩之ちゃんの馬鹿!!!」
 「あかり…」
 浩之さん、何も言えないよね、何も言えないよね、何も言えないよね…。
あたしのせいかな…メイドロボ失格だね。
 あかりさんの事立ち直らせることが出来るのは、浩之さんだけだよ。
もし、よければ抱きしめてあげて…

 「わた゛し、わた゛し、ずっと゛、ずっと゛淋し゛かった゛んだから…」
 「あかり!!」
 通じたね。
 そのまま、浩之さんはわたしを挟んで、あかりさんを抱きしめた。
二人の優しさが、私の両頬から、伝わってくるような気がした。
 星。わたしの頬に降り注ぐ星…やがて、わたしの星も加わって、
3つの星はひとつの天の川になって、地面でその一生を終える。

 …琴音さん
 不幸の予知は駄目だよ。
 不幸の予知は駄目だよ。
 不幸の予知は駄目だよ。
 不幸の予知は駄目だよ。
 不幸の予知は駄目だよ。
 不幸の予知は駄目だよ。
 不幸の予知は駄目だよ。
 不幸の予知は駄目だよ。
 不幸の予知は駄目だよ。
 不幸の予知は駄目だよ。

 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
 「琴音ちゃん!!」

次回に続く…