「de・ni・mu」 投稿者: 美咲萌え紫陽
前書き〜☆

 この物語は、WAの主人公 藤井冬弥と同じ苗字だった“美咲萌え紫陽”が
復習の為に書いた文章です。
 誓いを砕きます!!よって、設定変えまくってます。(笑)
 しかも、ネタバレまで含んでいるという、凶悪さ。(爆)
ただ、美咲シナリオに関して「もし、こうだったら…」
という部分が大きいです。いぢょ。

でば本文


	 「de・ni・mu」

第二話 「出会いの色」

 「シューズ…」
 「ああ」
なるほどね。
 「シューズに書いてあったから、覚えちゃった」
 困ったような笑顔を俺に向ける彼女…。
俺は咄嗟に彼女のシューズを見た、
 綺麗かつスマートな字で“澤倉”と書いてあった。
縦長で少し斜めになった字体だった。それでも、どこか自然な丸みのある優しい字。
 「澤倉…さん」
 「うん」
 「下の…名前は?」
 「…美咲」
 彼女の口元を凝視していた俺は、彼女の魅力を再発見する。
キス…したい。柔らかそうな唇。温かそうな息。
 「『美咲さん』…って呼んでも…いいですか?」
 「うん、いいよ…冬弥君」
 彼女は、俺を見つめ返してきた。
 頭の中が真っ白になった。
しばらく…美咲さんの事以外考えられないだろう。
 「じゃぁ…私、行くね」
 そう言うと、美咲さんはスッと立ち上がった。
 「美咲さん!」
 俺の声に、美咲さんは不思議そうな顔で振り返った。
 「一緒に行こうよ、お詫びに…教室まで送っていくから」
 「うん、行こう」
 美咲さんと一緒に歩いていて、ふと思った。
 『うん、いいよ…冬弥君』
 “冬弥”…どうして俺の名前を!?
シューズにはクラスと名字しか書いていない。
 そんな事を考えていると、
 「ここだよ、私の教室。」
 “2−A”
 それが、美咲さんの教室。普段なら何とも思わないのだが、
美咲さんの居る教室だと思うと、自然と愛着が湧いてくる。
 「じゃぁ、また…今度ね」
 そう言うと、彼女は中に入っていった。
 「また、今度。」
 俺がそう告げると、扉を開けて中に入ろうとしていた美咲さんは、
こちらを振り返り、思いっきり微笑みかけてくれた…
 “満天の笑顔”…いつも笑顔でいる美咲さんだが、どこか遠慮した
かのようなものが感じられる。俺は美咲さんをいつも見てきた…。
だから、解る。他の誰にも見せない笑顔。俺だけの笑顔。
 そして彼女はもう一度振り返り、中に入っていった。

 それからは、いつもと変わらなかった。
 俺は昼休みの教室から、美咲さんを見ていた。
よくよく考えれば、不思議である。美咲さんはいつもあの席に座っている。
広い図書室…座る場所はいくらでもある。それなのに、いつもあの席…あの場所で
本を読んでいるのである。
 ひょっとして…
 その時、一つだけいつもと違うことに気づいた。
 美咲さんが…美咲さんの手が俺に向かって、振られている…。
 俺は咄嗟に立ち上がって手を振った。あんまり興奮して振ったので、
教室中の注目の的になっていた。勿論気づかなかったが、俺は美咲さんが
困ったような笑顔に変わっているのを確認して、周りを見渡した。
 俺は座った。そうすると、周りは何事も無かったように再びそれぞれの
世界へと戻っていった。
 恥ずかしい。俺は真っ赤になってそのままうつむいてしまった。


 それから2週間後…

 俺は文化祭の準備とやらで、勧誘を受けまくった。
どこも、口八丁に信じがたい条件をだしてくる。
一応、求人掲示板の内容を参照してみる。
写真部は“写真管理”(一枚でも無くなったら殺されるらしい)、
新聞部は“巨大新聞の掲出”(カナリ命に危険を伴うらしい)、
山岳部は“山から見下ろす文化祭”(何が哀しくてこんな日に…)、
オケ部は“楽器搬送”(壊したら、弁償しなければならないらしい)、
をいをい…

コーラス部は…
 「おっ」
 俺はちょっとだけ叫んだ。
 「(この字…見たことある)」
 “わたし達と一緒に、音楽を体感してみませんか?”
 コーラス部といえば、万年部員不足がお約束というものである。
他の勧誘に比べれば、人間として扱ってくれることは間違いない。
それはさておき…これは、美咲…さんの字?
 “澤倉”…あのスマートで、優しい字は未だに忘れられない。
 “森川由綺のオンステージもあります!!彼女と一緒にレッツMUSIC!!”
間違いない美咲さんの字だ。
 でも、そういえば『森川由綺』…聞いたことある名前だな。
ま、いいか…それよりも美咲さんだ!!
 俺はC-101教室(コーラス部には部室が無かった)に向かった。

 ガラガラ…
 「あの…こんにちは…」
 俺は自信無さ気に入っていった。大抵の人間は、初めて入る部屋の前で心拍数が
大幅に上昇する。そして、部屋の戸に手を掛けたとき、それは爆発するのである。
中に誰も居なかったらどうしよう…ひょっとして部屋を間違えていないか…
 「あ、こんにちは!!」
 気合の入った声が響き渡る。他には誰も居ないようだ。
 「す…すみません」
 そして大抵の人間は無意味に謝ってしまう。
 「あれ…?」
 ロングヘアーの女の子は、俺を見て不思議そうな顔をする。
 「な、なんです?」
 俺はたじろぎ度120%。
 「この間は、どうもありがとうございました!」
 元気な声が帰ってきた。
 はて…この間!?
 何のこと?
 俺は必死に思い出そうとする…不意にその子の小指に、包帯が巻き付けられている
のを見つけた。あ…ひょっとすると…
 その間2秒超…
 「あの〜…?」
 女の子は見上げるようにして、俺を見ていた。
いつの間にそんな近くに…
 「え…?え、あ、あぁ、あの!あれね!!なるほど!!!」
 「…」
 女の子は唖然としてしまっている。
 「保健室の時の人だよね」
 「うん、そうだよ。あの時は嬉しかったよ…ありがとう…」
 おっ、この娘…結構カワイイね。
 「確か、名前が森下さんとか…」
 「…」
 「…」
 沈黙が4秒間程。
 「違うよ…」
 なんか呆れてる。
 「あれ?…じゃぁ、森山さん?」
 女の子の髪が、数本上に跳ね上がる。
 「…わざと−言ってない?」
 「へ?…おかしいな…あっ解った!森川さん!!森川美綺さんだったねっ☆」
 俺は、手をポンッと鳴らし、元気一杯に叫んだ…勿論、声は上ずって。
 「森川由綺…」
 「あっ…そう…だっけ?」
 「今度から忘れないでね、森川由綺」
 っていうか、俺って正式に自己紹介されたっけなぁ…!?
 「ところで、この間は名前尋くの忘れてて…教えてもらえませんか?」
 「え?」
 「あなたの名前…」
 「藤井、藤井…冬弥です」
 「と・う・や・く・ん か…」
 妙に強調してくれる。
 「いい名前だね…」
 結構いい事言ってくれる。
 ガキの頃は『豆腐屋冬弥』とか、わけの解らんあだ名がつけられたものだが…

 ガラガラ
 おっ、誰か入ってきた。
 「あっ、冬弥」
 「なんだ、彰か」
 「『なんだ』って何だよう…」
 「お前も手伝い?」
 「うん…知り合いにどうしてもって言われてね」
 「お前が?」
 「悪い?」
 「いや、悪くはないけど…」
 「冬弥、何が言いたいのさ…」
 いいかげん分が悪くなってきたなぁ…
 「あの〜」
 おっ森川さんだ…ナイスタイミング!
 「冬弥君のお知り合いですか?」
 「あっ、紹介するよこっちは“七瀬彰”俺の小学校時代からの親友。」
 「どうもはじめまして!わたし、1−Bの森川由綺といいます!!」
 そう言って森川さんは丁寧にお辞儀する。
 「あっ、どうもはじめまして」
 彰は、軽く微笑むだけで返した。そしてまた喋り出す…
 「冬弥とおんなじクラスだね」
 「えっ」
 「えぇっ」
 俺と森川さんはほぼ同時に声を上げる。マジ?知らなかった。
 「なに、冬弥知らなかったの?森川さんって有名だよ」
 「えっ…あっ…いやぁ…あっ、そういえば…」
 俺は適当に相づちを打ちながら頭をかいて見せる。
 「そんな、有名ってほどじゃ…」
 森川さん、本気で照れてる。
 「ううん、一部ではすごいよ」
 さらに追い討ちをかける彰。みろ、森川さん照れまくってるじゃないか。
 「あ、それはいいからさ、それより今からどうしたらいいか…」
 俺は話しを変えようと、話し掛けた。
 「あっ、そうだねぇ…どう見ても僕たちしか居ないから、待っとくのが
正解じゃないかな?」
 「あ、皆さん、3時にならないと集まらないんです」
 「えっ、今2時半だからあと30分もあるよ…どうする、冬弥」
 そうだなぁ…俺は考え込んでしまった。と、ふと窓の外に目をやると
テニスコートがある。おっあそこにいるのは…
 「あっ河島先輩だ!」
 彰は一足先に気づいたらしく、テニスコートの河島先輩を指差していた。
 「河島せんぱ〜い!!」
 俺は窓を開け、そこから頭を出して叫んだ。
河島先輩といえば、将来を期待されたスーパーテニスプレイヤーである。
俺の憧れだ。
 「あ、冬弥だ」
 しかし、代わりに俺達の方へやってきたのは
 「なんだ、はるかか。“あとうや”とは何だ“あとうや”とは」
 「あ、彰も一緒だね」
 逃げたな。
 「やぁ、はるか、どう?」
 彰は訳のわからない挨拶をしている…。
 「ん?うん、まぁまぁ」
 はるかははるかで、訳が分からない。
何というか、テニスに一生懸命で、こちらのことはあまり気にしていないようだ。
俺なんて、幼なじみだってのに。
 「あの、はじめまして」
 森川さんは案の定、比較的まともな挨拶を出した。
 「あっ、はじめまして」
 「わたし、1−Bの森川由綺といいます」
 「…冬弥と同じクラスだね」
 どうやら、はるかと彰の思考パターンは同じらしい。
 「あの、お名前は…?」
 「あっ、ごめんなさい。はるか…河島はるかっていうの、よろしくね」
 そう言って右手を差し出すはるか。
 それを右手で受け止める森川さん。
 「お〜い、はるかー!」
 その時、向こうのテニスコートで河島先輩が呼んでいる。
 「あ、ごめんね、呼んでるから」
 そう言ってはるかは、背中まである長い髪をひらめかせながら向こうに
駆けていく…。そして最後に
 「また今度ね!」

  ……・・・

 「あの人、なんだか綺麗でしたね」
 森川さんが、ぽーっとした顔で言った。
やっぱりはるかみたいな女の子って、女の子にはかっこいいもんなのだろうか。
 「うん、そうだね」
 彰まで。ま、この男の場合、女の子っぽいからな。うん。

 ガラガラガラ
決して森川さんが、塩水でうがいをした訳ではない。
 「こんにちわぁー」
 コーラス部の人達と思われる集団が、誤った日本語表記で入ってきた。
俺は美咲さんを探したが、そこにその姿は無かった。

第3話に続く…
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>「すまあとどらいぶ」

 うん、為になります。
なんか、雅史のキャラって…(笑)
読んで楽しいパソコン講座でした。(^^

>ホワイトアルバム『理奈の場合』

 理奈の事、よく解ってらっしゃる。
理奈ちゃんとの本当のシナリオは、ED迎えてからって気もしますね。
ここは一つ、我らSS作家の腕の見せ所ってか。(笑)

> このときにこの主人公の気持ち・・・

 だって本編の美咲さんってあんまり可哀相なんだもん。(^^;
鈍な主人公の為に、苦しい思いしてる…
ってんなら運命改変!(○スカ風)というな訳でして。

BGM:Mozart「ジュピター」でどぞ。