「せめて、パチンカーらしく(笑)」 投稿者: 紫陽
【せめて、パチンカーらしく(笑)】

 「こ、この台は…」
 とりあえず、意味深なセリフを吐く浩之。ふふふ、乗ってきた証拠だな。
 「マジカルランプだ。この機種は、大当たり中でも、デジタルを回せる」
 俺様紫陽は、手を広げて説明モードに入った。
 「そうそう、しかも3連荘は軽く出てしまうんだよな」
 「そうそ、ダブリで…って浩之、てめぇ」
 「ふふふ、俺だってそこそこ打ち込んでるんだよ」
 「ちっ…最近はいつ打ったんだ?」
 「そうだな〜先週の土曜が最後だったっけな」
 「……浩之ちゃん、もしかして、あの時デートすっぽかしたのって…」
 今まで後ろで話しを聞いていただけのあかりが、おそるおそる尋ねてきた。
 「なに…なんのことだ…」
 明らかにたじろいどる。こりゃあかんわ。
 「まぁまぁ、そんな話しはいつでも出来るでしょうが…」
 「そ、そうだぞ、あかり。今は勝負の時だ!!」
 「…」
 「…」
 う〜む、二人ともヤバイ雰囲気だぞ。あかりなんて目がすわってるし。(^^;
 「はいはい、それじゃ、始めましょ〜。まず基本的に店のルールに従い、
☆、3、7だと無制限継続可ってことで。交換までに3回当てられなかったら
その時点で失格。交換絵柄でも、ダブって継続出来ればオッケーね。
ただし、通常モードに戻ってからの保留ランプ当たりは認めない。」
 俺はサクサクっと喋った。お陰で場がちょっと回復したように思える。

 俺と浩之は、それぞれの台に座った。客付きの良い機種なので、自分の好みの
台に座るのには、そこそこ苦労する。
 「よ〜し、始めますか…と」
 俺様は酔っ払いのような手つきで、千円札を入れた。こんなにヘロヘロなのは、
すでに脳内麻薬が回り切ってる証拠だろうか!?(笑)

 ジャラジャラジャラジャラジャラ…

 チャチャチャチャチャチャチャチャ
 チャチャチャチャチャチャチャチャ…テン、テン、テン

 ぴろりろぴろりろ

 「おっ」
 俺様は声を上げた、隣の台がリーチだ。しかも“笑いながらドロン”って奴。
 「おぉ、そのリーチは…」
 って喋りかけて隣をよく見たら、あかりでやんの…しかし、いつもの彼女では
無い。目がさっきよりもマジだ。デートすっぽかし事件の恨みだろうか!?
全身に紫色のオーラが漂っているように見える…。
 「…浩之ちゃんの馬鹿…こんなもの、こんなもの…」

 ☆・☆・3………☆

 ぐぅいん、ぐぅいいん、ぐぅいん、ぐぅいん、ぐぅいん
 五個の玉が次々と電チューに吸い込まれていく…

 チャララッチャチャッチャララチャッチャラッチャララチャーラ
 チャララッチャラッチャラッチャララチャー

 「うっ、すげぇ…再抽選しやがった…しかも最後はスローで」
 俺は思わず感嘆の声を漏らした。そのまた隣で打っていた浩之もマタ、
あかりの台に見入っている。
 「うそだろ、おい…あかりは初心者な筈だぞ…」
 今日のジンクス:初心者は、強引な無制限を引きやすい。

 気がつくと、俺様の台にもリーチが来ていた
 『あなたの願いを叶えてあげましょう アーブラカタブラ・チチンプイプイ』
 「ふふふ、高確率リーチだ〜☆」
 俺様は親指を立てて浩之にウィンクした。
 「ヘン、こっちだって『目が回る』リーチだぜ!」

 ぴろりろぴろりろ

 二人のデジタルがぐるぐる回る…

 ピタ…

 俺様は、0・0・0。無制限を引けないのは、ここ4ヶ月間毎日のことだが、
この0…実はその後連荘する確率は40%(本人調べ)はあると見ていい。

 ピタ…

 浩之の奴は…2・2・2。奥村の機種で2っていうのは、どうも分が悪い
ような気がするんだよね。これは…いただきかな…うふふ。

 それから、1時間後…

 「ちくしょう、バッ○クランめ!!」
 頭を抱えて叫んでいたのは俺様だった。唖然。
 俺が大当たり中のリーチ…待望の3か!?って所で
ランプに再抽選され、嫌な当たり。その後はショックから立ち直れず、
回転数ダウン…そのままリーチすら拝めなかった。

 「なんだかな〜、俺ももう少しだったんだけどな〜」
 一方の浩之は、あの2の後、☆リーチ出しまくったが、最後の出目が5とか、
一周違いばっかりで、誰がどう見ても勝てる気はなかった。

 「…(ぶつぶつぶつ)」
 あかりは、もう既に4箱積んでいた。マジカルランプでは、
良い方ではなかろうか!?
 よく見ると、ほとんどの玉がスタートチャッカーを通っている。
常に保留ランプは全灯だ。興味が出たので、データ・ロボで調べてみると…
 「うぞ…」
 とんでもない回転率をはじき出していた。
 「これは、まさか!?」
 「そんな…信じられません!!」
 「どうしたの、○ヤ?」
 「あかりさんと台とのシンクロ率がっ、400%を超えていますっ!!」
 「そ…そんな!?」
 どこからともなく現れた伊○マ○と、猫好きの女がマニアックに分析してくれた。
こういうとき、マニアは楽である。と、それは置いといて…
 俺も浩之も、なんとかあかりとコンタクトを取ろうとしたが、
台と深くシンクロしている為、それはかなわなかった。

 「んじゃ、次の勝負」
 俺は、サクッと切り出した。
 「あぁ、受けて立つぜ!!」
 浩之も、さっきのマジランの成績が気に入らなかったのか、快諾モードである。
 「これ」
 俺は台の前に立ち、それを指差した
 「名人戦かよ、ジジくせー」
 「平和と羽根物を馬鹿にするな!!」
 …と言ったところで、見たことある女の子がひとり…
 「琴音ちゃん!!」
 俺と浩之は思わず、ハモってしまった。
 何せ、意外だとかそういう問題ではない。琴音ちゃんのパチンコ…といったら
やはりアレしかないのだ。
 「あ…っ藤田さん、こんにちは」
 案の定、もう既に2箱目。(因みにabout2箱(4000発)で打ち止めね。)
 「い、い、いよう、琴音ちゃん」
 お約束のセリフを吐く浩之。
 「はじめまして、あなたが姫川さんですね」
 琴音ちゃんと言えば、ゲームの中で良く知っている。
それでも、実際に会うのは初めてなので、そういう口調で話した。
 「あ、あなたもしかして紫陽さんですか?」
 ところが、琴音ちゃんは意外なセリフを投げかけてきたのだ。
 「え…姫川さん、私の事知ってるんですか?」
 「えぇ。プレイヤーの方ですよね。浩之さんが話すとき、
いつもいらっしゃいましたよね?」
 さすがは超能力者、たまげたもんだ…みえる筈の無いものまで見えてるなんて。
 「あ、姫川さん、それじゃ…」
 ピー、ピー、ピー
 「な、なんだ!?」

次回 「ホールの中心でアイを叫んだジグマ(笑)」