TO-HEART 第1章 虚構 投稿者: しもPN
TO-HEART 

 えーと マルチのストーリーです。
 続き物です…^^;

第1章 虚構

「はあ、はあ、はあ…」
 走っても走ってもその差は開こうとしない。それでも少女は、
走った。 
「追いかけてこないで…」
 少女は泣きながら叫ぶ。
 どうしてこんなところまで…どうして私を追いかけるの…。
 逃げても逃げても後ろから男が追いかけてきた。
「君はもういらなくなったから、処分するためにだよ」
 追いかけてくる男の声が確かにそう言った。
「わたし…いらない…人間なの…必要無い…人間なの」
 少女は泣きながら必死になって訴える。
 涙がどんどん溢れてくる…止まらない…。
 もう少女は逃げる気力すら失っていた。しばらくすると、
目の前の男は少女に近づき、彼女を捕まえようとする。
「いやあああっ」

 少女は跳ね起きた。
「あれ…ここは…」
 彼女は周りを見渡し自分に何も起こっていないことを認識する。
 そう彼女は今までベッドの上で一人寝ていただけだったのだ。
「夢…だったの…」
 まるで今起こったかのように心臓はどきどきとすばやい鼓動を
打ち、体中汗で一杯だった。
 だが、冷静になっていく心の中で昨日までの記憶が蘇って来る。
 それは、両親と今までアメリカで暮らしていたのだが、日本の
大学への進学のために夏休み中に彼女だけ単身帰国して
くるというものだった。
 そう彼女は、一人暮しをしているマルチと言う名前の
普通の女子高校生なのだ。
 ただ普通の娘と違うところを探すとするならば、緑色の髪の毛
を持つということがあったが…。
 まあこれも、染色体の緑色の色素が強いからということだ。
「さあ、今日から学校、転校早々遅刻なんて嫌だから、早く
行かなくちゃ」
 マルチは掃除、洗濯などを済まし、彼女の住むマンション
302号室から出て歩き出した。

「マルチちゃん、おはよう」
 階段から降りて、正面玄関から出ようとした時、ふいに声がする。
 ここのマンション管理人の源三さんだ、一応鈴木源三と
言うのだが、マルチは源三さんと名前だけ呼んでいる。
 これは彼女の人懐っこさというのもあるが、彼女がこの
マンションに引越する時から、いろんなことをやって
くれたからでもあった。
 ちなみにマルチの両親とも遠縁の親戚に当たるらしく、
仕送りなどは、彼女が不良にならないようにと心配する両親の
ために彼が代わりに受け取っておいて必要な分だけ毎日
彼女に渡している。
 まあそれでも、最近彼女は源三さんと仲良が良いので、
彼が夕食をご馳走してくれる時には、お小遣いにして置きなさい
と言って渡してくれるのだが…。
「おはようございます、源三さん」
「マルチちゃん今日からだろ学校がんばって勉強してくるんだよ」
「はい」
 彼女はその言葉を聞いてにっこり微笑みながら学校への道を
歩き出す。
 燦燦と照りつける太陽がちょっと眩しく、しかしその光は、
なんかマルチを祝福しているようにも感じられた。
(つづく)

 設定が違うだろうとか人間じゃないぞマルチはというのは今は、
無視してやってください…そのうちわかるから…(爆)

 後で感想書きますね…

後AEさん、久々野さん感想ありがとう^0^