ホワイトアルバム第4話(噛み合わない歯車) 投稿者: しもPN
 <<注意事項その他>>

 すいません今回はネタばれを含むかもしれませんので、
ある程度、プレーし終えてから見るようにしてください。
 とりあえず僕は、由綺、由綺BAD、マナ、美咲を
クリアーしています。
 あと英二さんファンの方すいません。
これは由綺好きな僕から見た英二像ですので…。(爆)
 あっ、もうひとつ、本文に出てくる夜中は、
やちゅうと読んでください、お願いします。

第4章 噛み合わない歯車

 由綺と約束したあの時からもう3週間が過ぎようとしていた。
 だが俺はあの後の光景から目を離せないでいる。
 それは由綺の有名プロデューサーの英二と言う男が
車で公園に乗り付けたところから始まる。
 まあ由綺の嘘ならそんなに長い間、人を騙せるとは
思っていなかったのだが、
マネージャーの報告で気づいた英二さんが素早く対処した
というのが真相だったらしい。
 その時の状況は…とりあえずこういうものであった。

「由綺くん、何をやっているんだ、さあ早く車に乗りたまえ」
「あっ、え、えっ」
 白い髪をしたちょっと細面な男が由綺を
車に乗せようとしている。
「誰だか知らないけど由綺をどうするつもりだ」
「君は誰だ。もしかして彼女の貴公子とでもいったところかい」
 男は非常に洞察力が良いようですぐに
俺と由綺との関係を把握して、
「すまない、どうやら襲われていたとかじゃなかったらしいな」
 と言いながら、名刺を胸のポケットから取り出し…。
「実は私はこういうものなんだ」と俺に差し出した。
「えっ、あの有名プロデューサーの緒方英二さんですか」
 彼は少しうなずき、そういうことだといいながら由綺をなだめ
車に乗せようとする。
「ちょっと待ってください。だからってなぜ…」
 彼は少しの間、怪訝そうな顔をしていたが…。
「まあ、いいだろう、由綺くん、ちょっとそこで待っていて」と
彼は由綺を車の中に入れて少し俺と話をしようとやってくる。
 その光景を由綺は喧嘩でもするのかと勘違いして、
「やめて…」と少し泣きながら俺と英二さんに言っていた。
 それを英二さんは、彼女に大丈夫だからと安心させ、
俺に少し歩こうかと誘ってくる。
 そして車から少し離れたところで、彼は話し出した。
「ああ、空が綺麗だね。君もそう思わないか…青年」
「えっ、ええ」
 確かに空は、さっき由綺と見上げていたようにここ数日の間で
最高の景観を醸し出している。でも、それが…。
 俺の気持ちを察したのか英二さんは話をこう切り出す。
「森川由綺を君は好きかね」
「えっ」
 急に言われ今一つ意味が飲み込めず俺は聞きなおす形に
なってしまっていた。
「だから君は森川由綺を愛しているのかと聞いているんだ…」
「あっ、はい」
「そうか」 
 それから英二さんは、タバコに火をつけ空を見上げながら。
「君の愛すると言うのは、
自分のエゴのために彼女を連れ出すことを言うのかい?」
 俺は答えが出なかった。
 確かにこれは俺のエゴだったのかもしれない。
 森川由綺はもう俺だけのものではなく、
多くの人たちに囲まれ、その人達1人、1人が彼女に対して
俺と同じくらいの愛をもって応援しているのだ。
 ただ俺が彼らに勝っているとすれば…。
「由綺は、俺を必要としています」
 自信なんて無かった、でも英二さんに負けたくなかった。
 ここで負けてしまえば一生由綺と会えなくなるような気がして…
「ふむ、確かに今の由綺は君無しでは寂しいだろう。
ただ、それは今まで君が傍にいたからじゃないのか」
「………」
 俺は答えられなかった。
 なんか答えてしまうと由綺が俺の傍からいなくなって
しまいそうで…。
「まあ、いいだろう君の愛が彼女にとって必要なものか
そうでないのかは、すぐにわかるだろう」
「それまで由綺を苦しめないでくれよ」
 そう言って彼は由綺の待つ車まで戻って行ってしまった。
 一人取り残された俺は、敗北感で一杯だった、
俺は由綺にとって本当に必要とされているのだろうか。
 一時の寂しさを紛らわすための清涼剤のような役割
しかしてないのじゃないだろうか。
 だがいくら考えても良い答えは思い浮かばず、
ただ考えは考えを生み出すだけだった。
 そうしているうちに夜中の月は西の空にゆっくりと沈んでいき、
たくさんの星達にまじってさっき由綺が名前をつけた
淡い星達も太陽の強い光のために見えなくなってしまった。

 それから3週間の間俺はたまに由綺と電話で
連絡を取ってはいる。
 ただ、それはすべて彼女からの電話ではあったが…。
 今でも心の中にあの時の言葉が蘇る。
「由綺を苦しめないでくれよ」と。
 俺はいつから由綺の重しになってしまっていたのだろう。
 そして彼女は俺をどれだけ必要と思ってくれているのだろうか。
 由綺に今必要なのは俺なんかじゃなく、
英二さんのように本当に彼女の内面を分かってくれている人
なのかもしれない。
 俺は…悔しかった、ちょっと前まであんなに近くにいた由綺が、
俺の手の届かないところまで行ってしまったような
感じがしていたから。
 俺はあの時以来バイトに行っても手につかず、
大学に行ってもなんか空虚な感じを感じていた。
 スキーまで後1週間、それまでにある程度答えを出して
おかないと…
いやそれ以上に由綺はあの時の約束を守れるのだろうか。
 俺は気弱になるとふとそんな風に考えてしまう。
 今回もそんな考えをしてしまっていた時のことだった。
「トルルル」いきなり電話のベルが鳴り出す。
 俺は何かにすがるかのようにその電話を取っていた。
「ゆき、由綺か」
「え、えっ、う、うん、そうだけど」
 由綺は電話の向こうからいきなり自分の名前が
告げられたので、ちょっと驚いたようにして…
そして…。
「冬弥君、どうしたの」
「えっ、いや、なんでも…」
 ひさしぶりの由綺の明るい声だった。
 まるで一片の曇りすらないそんな風に感じる声だった。
 その後、由綺は自分の話を楽しそうに始める。
 そこには俺の入り込める余地すらないかのように…。
 由綺が楽しそうであればあるほど俺は苦しくなり、
なぜか悲しかった。
 そしてその後、由綺はあの約束の話をする。
「冬弥君、行けるようになったよ。英二さんが、
行っていいって」
 俺には信じられなかった。
 なぜ彼は行かせようとしたのだろうか。
 もしかしたらこれが俺を試そうとしている
ということなのだろうか。
 俺が彼女に相応しい男か見極めるために…。
 彼女が本当に俺を必要としているか調べるために…。
 ただ、俺がこれからどうなろうと行けるという由綺の言葉は
彼女から、俺への少しばかり早い大きなクリスマスプレゼント
ではあったが…。
(つづく)

 終わりませんでしたね、はい…すんません^0^;
ということで後2話は最低続きますのでもうちょっと
付き合ってやってください。

 痕(^^;) Koujiさんアドバイスありがとうございます。
 うーん とうやちゃんじゃなかったんですね。
(すんません確かにあれじゃあ、あかりだわ<爆>)
 ちなみに今回の小説の感想ですが
 読みやすくて良いですね。
 理奈の気持ちがでているというか…
原作と違う理奈を読ましてもらいました。
(って俺、理奈やってへんやん(爆))

 追伸
 設定ですがゲームとの関連性を排他してやっております。
 要するに平行世界の話くらいに捉えてもらえれば良いですね。
(^^;)