ホワイトアルバム2章です 投稿者: しもPN
第2章)回り出す歯車

 大学の学食では、はるかの話で渦まいていた。
 まだ授業中と言うこともあって数人の生徒がいるだけである。そこにはむりやり言いくるめられたのか彰と美咲さんの顔もあった。
 彼女の話は、その風貌通り男っぽくだいたいはスポーツの話に終始している。
 今回は今年スキーどこに行こうかという話題だった。
 毎年冬になるとこの話が始まるのだが、まあ俺には恒例のことだったが彰や美咲さんには、初めてなので少しとまどっている。
 そしてちょっと困り顔をした美咲さんが話しの間に口をはさんだ。
「すいません、私滑れないんです…。」
 そう言うとはるかは俺の方を向き。
「冬弥滑れるよね、私と結構行ってるもんね。教えてあげてよ。」
「えっ。」ちょっと俺は困った顔をしたようだった。
「あーそうか、冬弥には、由綺ちゃんのことでそれどころじゃなくなるよね。」
「いやあ、今年はわからないけど…なるべくなら行かせてあげたいなあとか思っているんだけどね。」
 俺がそう言うとはるかはしばらく考え、よしという顔をした。
「じゃあ美咲ちゃんは、私と滑ろう女同士の方が良いよね。」と言う。
 肩口まで髪を伸ばした彼女は行けるのがうれしいのかにこっとしたようだ。
「まあこれで後は由綺ちゃんが来れるかだね。それでいつにしようか?」
そう言っているといつも暗そうな顔がもっと暗くなりながら彰がすまなさそうにこう言う。
「あの俺も…滑れないんです。」
 その後、突然笑いの渦に包まれた、その向こうで笑わないでという顔が2人あった。        
 彰はともかくとして美咲ちゃんはどこまでやさしいのかと思う…もちろんそれも彼女の良さだったが。
 だがそれと同時に俺はこいつ本当に滑れないのかなと疑問に思っていた。確かに運動神経は、鈍い方だがあいつは東北の育ちで一回滑れるという話を聞いた覚えがあるから、どっちかというと美咲さん目当てじゃないかなと思ったりもする…もしそれなら嘘などつかずに教えてやりゃ良いのに。それが言えないのも彰らしいと言えばそうなのだが…。
 はるかも気づいたのかちょっと怪しいなあという顔をしてこうはっきり言う。
「滑れないのなら仕方がないけど…本当…滑れるのなら彰君が一番適任かな。」
 結局、彰の恋愛に関して知らないのは、恋愛対象の当人だけだった。
「えーと。」こう言われた彼の方がこんどは悩んでしまったようだ。それからちょっとしてから…。
「すこしだけどそれでも良いのかな。」
「すべれるんじゃない。もう…。」はるかはすこし不服な顔をして、そう言い彼女の方を向いた。
「美咲さん、それでいいかな。」
「え…う、うん。」
 分かりやすいと言うかなんというか彰は、その言葉でのぼせ上がってしまったようだ。
 それからの時間はあっと言う間に経った。
 結局スキーの予定はどんどん決まり、クリスマスイヴの日から1泊2日で行く事になった。
 その日なら由綺も今のところはスケジュールが無いということを聞いていたからである。
 今から1ヶ月後、そしてその日はいままでとは違う日のような気もしていた。なんというか久しぶりに由綺と一日過ごせる日というのか。

 そして、はるかと2人で帰る時スキーの話題でいっぱいになったのだが、その後…。
「由綺ちゃん来れるよね。」
「うん、はるかも来てほしいと言っていたっていっておくよ。」
「うん、言っておいて。」そう言ってからショートカットの彼女は突然心に決めたようにこう言った。
「ねえ、さみしい…かな。彼女がアイドルになってしまうのは…。」
「そうかもな。」
「そんなの本当の恋愛じゃあないよ。」
「えっ。」
「どちらか一方が全て相手に合わせつづけるのは…。」ずっと前から親友だったはるかだから言ったのだろう。小さい頃からの親友だったから。
「でも、あいつの幸せが俺の幸せだから。それにあいつ仕事で忙しいし…。」俺は本心なんて言えなかった。心から辛いと思っていたがそれを口にだせば止まらなくなってしまいそうだから。
「ねえ、由綺ちゃんに予定があっても今回は連れ出しちゃえば。女の子そういう強引なことして欲しいと思っているときもあるから…今の由紀ちゃんがちょうどそうかもしれない。」そう言ってから、ちょっと間をおいて…。
「これ私のおせっかいだから。気にしなくて良いよ。ごめん今日の私ちょっと変だよね。」
そう言ってはるかは、立ち止まり。
「それじゃあね。」と言った。話していて気づかなかったが、もう彼女の家の前まで来ていたのであった。
 その後、一人で考えていた。由綺が、そういうことを望むだろうか。あいつ前から俺を中心にして物事を考えているからそう言えば自分がどうなっても俺に合わしてくるとは思うけどそれであいつは幸せなんだろうか。
 だがいくら考えてもこれ以上答えはでなかった。方程式でもあればすぐに答えがでるんだろうが、今は由綺がその日仕事にならないことを願うしかなかった。
そして、その夜由綺からの電話を待った。一人暮しの部屋はテレビをつけないと静かすぎて、すごく長い時間に感じたけど電話の音を聞き逃してしまいそうで…。
「トルルルル。」突然部屋に電話の音が鳴り響く。俺は心を落ち着け電話を取った。
「あのお…森川というものですが…藤井さんはいらっしゃいますか?」この可愛いようなとぼけたような声は間違いなく由綺だ。
「由綺何格式ばった挨拶しているんだ、もっと普通に話そうよ。」
「えっと…あの…とうやちゃんだよね。良かった他の人がでるかドキドキしながら掛けているんだから。」
「あのなあ、俺以外誰がでるんだよ。」
「えっと…ごめん。あのね今車から掛けてるんだよ。だからちょっとしか電話できないんだけど…ごめんね。」
「あやまるなよ。別にいいって気にしてないから。」
「うん…それで変わったことなかったかなあ。あたしがいない間に。」そう言いながら楽しそうに由綺は話し始めた。
 そして由綺の話がとぎれたころで俺はこう聞いた。
「あっそうだクリスマス空いてたっけ…その日もしよかったら1泊2日で泊まりに行こうと皆で言ってるんだけど。」
 しばらく、由綺の声が途絶える。
「ごめんとうやちゃん、私ね…その日用事ができたの…その日歌の録音があるようになったから。」由綺の声は、その時すごく寂しそうだった。すれ違い、埋められない時間、心の隙間、ほんのちょっと前までは何でも2人でやってきたのに今はなんか距離が離れてしまったような気がする一瞬だった。
 俺は分かったの一言が言えないでいる。あいつに優しい言葉のひとつでもかけてやりたい。でも、いつまでこんなことを続けていけばいいのだろうか?
 ずっと、ずっと俺は由綺を見ていけるのだろうか。
「連れ出しちゃえば…。」はるかの言葉が心に響く。
 それでいいのだろうか。あいつの気持ちも考えずに…俺のために犠牲にしてしまうかもしれないのに。
 しばらくして俺は彼女にこう言っていた。
 いつでもいいから一緒に過ごしたいと…。
(つづく)

 2回目終わりました^0^
 今回は、3−4時間掛かっています(爆)
 いやあそう言えばネタばれになると思い急遽話しを変更しました。(そのまま話しをやろうとおもってたから…由綺との距離を中心に<爆>)
 ちなみにはるかを活躍させたのは単に解いてないからだけじゃないけど別に何もありません。(うーん)
 シナリオの影響との意見も。(爆)
 とりあえずゲームと設定がまったく違うので…。
 ゲームではみんな同じ高校だったけど違いますよね。後、はるかの家の位置すら違うし(すまんです)

では