「鍋」 ACT 5 投稿者:マイクD


・・・は今回はなし。だってめんどくさい、じゃねえ、書きようがないんだもん。
      
      梓「おい、マイクD」
         はい。
      梓「てめえ、殺すぞ」 
         そ、そんな事言ったって、いつもあらすじ書くのだけでも大変なんすよ、梓さん。
      梓「そういうのタイマンっていうんじゃないの?読み切りもののはずだったこの
          アホな話が、連載ものするという墓穴を掘る行為にしたのは自分じゃん。連載
          ものにした以上、あらすじ書くっていうのが筋ってもんじゃないの?
          股間にタマついてんだったら最後まで責任持ちな!」
         まあなんて下品な。でも今回の話はACT4の延長だし、前回は盛り上がりに
         欠けてる大した話じゃないし、あらすじなんて書きようがないんですよ。梓さん。
      梓「「様」と呼びな。フン、大した話じゃないってACT 1からずっとそうじゃない。
     ほんとにちゃんと考えて話書いてんの?B型特有の行き当たりバッタリ方式じゃないでしょうね?」
         ZZZZZZZZZZZZZZZZ・・・・・・・・
      梓「寝んなー!お前は吉本新喜劇の井上竜夫か!」

   ・・・・after 10 minutes・・・・

      梓「はあはあ・・・・一応読者の皆さんにかわって、この柏木梓様がマイクDを
          ぶち殺しておきました。でもほんとにぶち殺すと続きが書けなくなるので、
          ややぶち殺しておいた、ということでご容赦を。でわ、ACT 5、ご覧ください」
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「んじゃさ、まずは材料の吟味から始めようか」
食台の上に並べられた材料。俺と楓ちゃん、初音ちゃんが朝早くから朝市に行って手に入れ
た新鮮な材料がずらりと広がっている。
「初音、魚の鱗むいといて」
「はい」
「楓は野菜類を洗っといて」
「・・・・・・・」(コクン)
「俺は?」
「耕一は・・・・・・そうだねえ」
「味見係なんてどうだ?」
「殺すよ」
にっこり笑いながら、梓のドスのきいた一言。
「じょ、冗談に決まってるだろ」
「こういう時に冗談言わないでね。んじゃさ、とりあえず耕一は私の横にいて、あれこれ
私の言うように動いて」
「それって要するに、ていのいい「パシリ」のことだろ」
「ビンゴ!」何がビンゴだ。
「しょーがねーな」しぶしぶ承知する俺。

「あのう・・・・・・」台所の影から覗き見ていた千鶴さんが、つぶやくように梓に声をかけてくる。
「なに、千鶴姉?」振り向きもせず、白菜を切りながら返事する梓。
「私も、何か、手伝うことない?」
「ない」即答。間をつかせず氷のように冷ややかに言う梓。
千鶴さんはがっかりしたように、肩を落してとぼとぼと台所を出てゆく。
梓は気にもとめず、鼻歌を歌いながら白菜を切っている。
「梓、なんだか千鶴さんかわいそうだな」俺。
「そう?」
「だって千鶴さんは千鶴さんなりに、何かを手伝いたいと思って台所のぞいたんだろ?
それをあんな言い方して」
「だって千鶴姉が顔つっこみゃ、うまい料理も某安田病院の病院食や某老人ホームの食事
みたいなアレになっちゃうでしょ」そのネタは止めろ、ヤバイから。
「でもだからってあの言い方は」
「いいのよ。甘い顔してたらつけあがるだけだから」
「そうかなあ・・・」

確かに千鶴さんに料理をさせるなどという行為は、チャッカマンと呼ばれる長い
ガスライターを手に持ち、そのままガスタンクへ直行して火をつけて周辺を大破させ、
さらにその場で「たーまやー」とかいいながら自分も一緒にふっ飛ばされるという行為、
要するに何がいいたいのかというと、自殺行為。そうそう、自殺行為に等しい。ふう。
この言葉を思い出せず、必死こいた。ちなみにマイクDの近所には、大阪ガスの巨大な
ガスタンクが立っており、これが引火したら間違いなくもう確実に絶対的に最終的に、
ええと他にまだ何かあったかな、次の日の朝刊の顔写真に載ることは確実という場所に
住んでいる。またこれを引火させたらどこまで燃え広がるかなあなどと、人なら誰
でも一度は連想してしまう様な事を、いつもいつも見るたびに一人ほくそえんで想像した
りしておる、なんてそんなことはどうでもよろしい。
何の話だったかな。そうそう、千鶴さんに料理を作らせる事は自殺行為に等しい、だった。

「でもあの言い方はちょっとキツイと思うんだけど」俺。
「耕一は千鶴姉の料理の本当の恐ろしさを、まだ知らないからそんなこと言えんだよ」
「知ってるさ。3ヶ月前に千鶴さんが作ったリゾットの事件のことだろ。一番苦労したの
はこの俺だったんだぞ、あの時」例の裏シナリオの話の事である。ご存知だと思うが。
「あれだけしか知らないなんて、まだまだ甘いね耕一」
「他にも何かあったのか?」

「あれは私が10才の時のことだよ」
たん。包丁で白菜を切る音。切りながら昔話をする梓。
「TVでホットケーキを作る料理番組やってたんだけどさ、それを私たち一緒に観てたんだ」
たん。
「初音がさ、観ているうちにホットケーキ食べたいって言いはじめて。その時千鶴姉が
ホットケーキ作ってやるって言い出してさ」
たん。
「で、千鶴姉に作るのまかして、待っていたんだ。3時間」3時間も?
たん。
「で、出来上がったのをみると・・・」
たん!
「お好み焼きの出来損ないみたいなホットケーキが!」
たん!!
「しかも中華皿にのせて! 箸つきで!! お箸だよお箸!!」
だん!!
「それでおいしかったら文句はないんだけどさ。恐る恐る食べてみると、めっちゃ粉っぽ
くって、しかもバターで焼かずにサラダ油かラードで焼いたのよ!!」
ダン!!
「牛乳も入ってない、卵もない。しかもしかも・・・・砂糖の代わりに塩胡椒。おまけに
ガーリック入りの最強最悪のヤツを!!! 」
ガン!!!
「さらにご丁寧に、上にかかっているやつはシロップじゃなくてケチャップ!!
シロップとケチャップとどう間違えたってのよ!!合ってるのは末尾の「ップ」だけ
じゃんか!!!」
バン!
「それがトラウマになっちゃってさ。私たちホットケーキと聞くと、いまだに体が拒否反応
をおこすんだよ。パブロフの犬みたいに!!!」
バン!!!
血の涙を流しながらトラウマを告白する梓。梓の手元をふと見ると、白菜は愚か、まな板
まで真っ二つに砕いている。

「それだけじゃない。あれは同じく小学4年の夏休みだった」
少し落ち着いたのか、息をはあはあ言わせ再び告白タイムが始まる。
「同じクラスの仲良しだった子で千晶ちゃんて友達がいたんだ。この子が家に遊びに来る
ことになってさ」
たん。
どこから用意したのか、梓は新しいまな板を取り出し、再び白菜を切り出す。
「すると千鶴姉がアイスクリーム作ったから二人で食べなさいってすすめてくれたんだ」
たん。
「で、冷凍庫からその千鶴姉が作ったアイスクリームを取り出して、見てみると・・・」
たん!
「製氷機の中に牛乳入れただけの氷の固まりがすこんと入っているだけ!」
たん!!
「それを取り出して氷取るようにバラバラっと皿に入れて食べたんだ。そしてその味は・・・・」
カン!
「悲しい味がした」
「それを食べてから千晶ちゃん、3日間ぐらいお腹こわして寝込んじゃってさ。
体直ってからも、夏休み終わって学校始まってからも、千晶ちゃんは話もしてくれなくなった」
カン・・・・・。
「千鶴姉のために、私は大切な友を一人失ったんだ」
聞きようによっては大層な風に聞こえる梓の言葉。しかし千鶴さんの料理もなかなか罪作り
なことをすると俺は素直に思う。そんな出来事に幼い頃出くわしていたら、
嫌でもトラウマになるには違いないが。

梓は続ける。白菜を切りながら。
「あのずん胴で!」
たん!
「へちゃむくれで!」
たん!!
「天然ボケで!!」
タン!
「年増で!!」
タン!!
「人のことを人とも思わず!!」
タン!!!
「前後のことを何も考えずに発言するあの言葉!!」
バン!
「そのくせ全てお見通しよと言いたげな、あのそぶり!!!」
バキ!!
「ひ弱そうに見えて馬鹿力!!」
ガン!!
「チチは小さいくせに、いつもいつも男にモテて!!」
どげし!!
「人気投票すりゃいつもトップ!!」
めきょ!!
「私が千鶴姉に勝てる事といえば、料理とチチのでかさだけなんだ!!!!」
ここぞとばかりに爆裂する梓。聞いてると千鶴さんがかわいそうになってくるような
ことばかりわめいているが、梓は梓なりに千鶴さんに対して、目にみえないコンプレック
スをいつも感じていたのかもしれない。しかしだからと言って、わめきながら白菜を切る
もとへ、叩き割るのはやめろ。
「いつもいつもそうなんだ。実は全て見通してるくせに・・・・・・」

「あの、偽善者わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

梓の魂のシャウトが炸裂する。
18年間溜まりに溜まった鬱憤が、マグマが爆発するかのように。
「梓、何か言った?」
そこへ千鶴さんが再び登場する。確かに見通してるとしか思えないタイミングで。
「ひっ!」千鶴さんの突然の言葉に引きつり、驚きの声を上げる梓。
ざっくり。
ざっくり?

「あ、梓お姉ちゃん・・・・・」横で呆然とする初音ちゃん。
「・・・・・梓姉さん・・・・」無表情だが明らかに驚愕の表情だとわかる楓ちゃん。
「お、お前指が・・・・」青ざめる俺。
「え、どうしたの?」ボケてる千鶴さん。
「え?え?」状況がよく分かっていない梓。
みなが凝視する一点。そこには弾みで指をエンコした梓の姿。
当の本人の梓は何が起こったのか、分かっていない様子。
大体指を切ったとか大怪我したとかで慌てふためき、血を見て青くなるというのは、
側で見ていた第三者の方であって、傷を受けた当の本人は大抵他人事のように
やあ切れた切れたと思うか、場合によってはわあい切れた切れたとはしゃぎまくるということが多い。
いや、はしゃぎまくるというのはもう既に頭の方がキレテいるのだろうが。
ちなみにマイクDは後者の方でした。その時側にいた友人に後でたずねてみると、
薄ら笑いをして、「フーッ!」とか言いながら腰を振って踊っていたというので
外科医より脳病院の方へ連絡すべきだろうかと真剣に思っていたそうです、
なんてそんな話はどうでもよろしい。

どくどくどくどく。流れる血。止まらない。
「指、切れてる・・・・・」
「あはは・・・・」
「お、お姉ちゃん・・・」
「・・・・・」
「いひひ・・・・」
「あ、梓・・・・・・」
そして、 
「^()#!+{[]*&$}@#!()」)&)?"(*%@)!$%*(?//,.,)[i9S4W%43@(^)*%!*#$%_O+)4 !!!!!」
言葉にもならない梓の悲鳴が柏木邸をこだました。しかも月に向かって。

・・・・・・・・・・・・・・ACT6へ続く
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梓 「おい、マイクD」
  (ビ、ビクゥ!)は、はひ・・・・・・
梓 「あんた何よ、このラスト?私が指をエンコしたあ?」
  あ、あの・・・・・
梓 「あんたこの私になにか恨みでも?」
  (大ありだよ)
梓 「は?聞こえなかった。もっと大きな声で!!」
  い、いえ、足元に大蟻がいるって・・・・
梓 「タマついてんだったらもっとでかい声で言いなよね。んで、どうすんのよこの後」
  ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ・・・・・・・・・
梓 「寝るなっちゅうとるやろーがあああ!!!」
                  
・・・・after 10 minutes・・・・

梓 「はあはあ、同じ事2回もやるなっちゅうの。マイクDは向こうであおむけになって
      虫の息と化しておりますが、どうやら皆さんに伝言があるようです。
   何々?一応続き物と化した為、これまでの話が判らないという
   読者の方もおられるでしょうから、よろしければACT 1から今回までの話を読みたい方は、
   遠慮なくメールで連絡してくださいって?是非送らせていただきます・・・って?
   そんな物好き・・・いやいや、奇特な人がいるのかねえ。
   どうやら中一回を挟んで、いよいよクライマックスに入るそうです。
   まあどうケリつけるのか私も判んないけど、私もケガしたままこれで終わりってのはヤだし、
   一応待っといてやってください。期待しないで。マイクD、何か最後に言う言葉は?」
   ・・・・・・・・・(虫の息)。
梓 「え?ではACT 6でお会いいたしましょうって? 
   よろしい。ではまた次回・・・・ん?まだ言いたいことあんの?早く言いな」
   ・・・・金髪さいこー・・・・
梓 「死ね」