石を投げる。 ぽちゃん、という音と共に、水面には波紋が広がる。 波が、水を乱していった。 まるで・・・私の心みたい・・・。 水門に腰掛けたまま、ぼうっとしている。 ここで・・・耕一さんを・・・・殺した・・・。 ここで・・・愛する人を・・・・殺した・・・。 無機質な私の声が頭の中に渦巻いていた。 私は、あれからひどい虚無感に苛まれながら毎日を過ごしていた。 「・・・・こんな所で待ってたって・・・耕一さんは帰ってこないのに・・・」 私は自分に問い掛けるように、声に出していった。 ただ哀しみに打ち砕かれたような声。 「馬鹿な・・・私・・・」 耕一さんを失って生きていけるとでも思っていたのだろうか? 私の頬を、涙が伝った。 「耕一さん・・・耕一さん・・・・・・」 一度流れ出した涙は止まらなかった。 せきをきったように流れ出す、涙。 両手に顔を埋めて鳴咽をもらす。 耕一さんが生きていた頃の思い出が、頭を駆け巡った。 ───千鶴さん。 微笑みかけてくれた、耕一さん。 ───千鶴さん、なんだか可哀想だ・・・。 気付いてくれた。私の心。 ───千鶴さん・・・俺を殺してよ・・・。 あの場面・・・ひどく胸が痛む・・・。 愛する人を失った瞬間。 愛する人をこの手で失った瞬間。 まだ、涙は止まらない。 もう、なにも見えなかった。 ・・・・・モウ、ナニモ・・・・・・・・・ ************************** 堕説・痕シリーズ第3弾です。 読んでくれてる人が少しでもいるらしいんでとても嬉しいッス。 千鶴さん一人称、耕一を殺した後。 いきなり書いたからまだまだ改良の余地があるなぁ・・・。 ここに書き込んだからには抗議の声が殺到・・・しそう。 セリスさんが堕説・痕の選択肢@の続きをずっと書いて下さってます。 感謝!! あと、でんぱくんという方が僕の書いたSSとかをHPに置いて下さってます。 来て下さいね〜 http://www1.odn.ne.jp/~caa83050/