☆ 場所 屋上 ☆
暴風と言ってもいい程に吹きすさぶ風。
ヒュウヒュウ、とポールや金網に風が裂かれる音も混じっている。
はためいているスカートの、バタバタという音。
溜息。(マイクに息を吹きかけるような感じで)
再び風の音。
あかり(ナレーション)「雲が流れる。風が千切れる。千切れた風に桜が散って、散った花に心が騒ぐ」
風の音。
『ギィッ…………………………』(屋上へ通じる扉が、軋みながら開いていく音)
その瞬間に、風の音も止み、無音の状態が3秒ほど続く。
あかり「浩之ちゃん…………」(寂しげに)
OP ピアノ曲。
(落ち着いた、というより侘びしげな曲。ジョージ・ウィンストンよりはサティのジムノペディの様な感じ)
タイトル。
あかり 『ラジオドラマ トゥ・ハート 第一話』
☆ 場所 音楽室 ☆
OPのピアノ曲が続いている。
そのメロディをなぞるように、僅かに遅れて、ひとつずつ鍵盤を叩く音。叩いているのは、あかり。
志保は暫く戸口で、鍵盤を叩くあかりを見ている。やがて、声を掛ける。
志保「あかり」
最後に一度、驚いたあかりが強く叩いた鍵の、大きな音(高音)がして、ピアノの音が止む。あかりがゆっくりと志保の方を振り向くだけの、少しの間を置いて、
あかり「……ん? 志保?」
志保「(フゥッ、と溜息を漏らしてから)そうそう、志っ保ちゃんで〜す」
志保がピアノの前のあかりの方へと近付いていく。
『ぱたっ ぱたっ ぱたっ ぱたっ』(音楽室に反響する、上履きが早足で床を叩いていく音)
志保「帰ろ? こんなトコいないでさ」
あかり「うん…………」
再びあかりがピアノの鍵盤を叩き始める。 暫くの間、あかりが叩くピアノの音が続く。
志保「…………あかりってさ……」
あかり「……ん?」 応えながら尚、鍵盤を叩く。
志保「ピアノなんか弾けたん?」
あかり「ん……んーーーー…………」
あかりの叩く鍵盤の音。
あかり「全然弾けない(笑)」
志保「だぁ〜〜〜〜(脱力)」
あかり「(くすくすと笑って)習おっかな、って思った事もあったんだけどさ、やめちゃった」鍵盤を叩くのを止める。
志保「辛いってゆーもんね、レッスン。知ってるぅ? まちりんもやってたんだって、ムカシ」
あかり「そうなの?」
志保「ジュンちゃ(『ジュンコちゃん』を略して『ジュンちゃ』です)が言ってた」
あかり「(ふぅ、と息をついて)……なんだぁ」
志保「あ。何、その『なんだ』は?」
あかり「いや、別に」
志保「『またこいつ法螺話してんじゃねーぞ』とか思っただろ、今」
あかり「思ってないよぉ」
志保「ホントかぁ?」
あかり「ホントホント、絶対思ってない」
志保「(ちっ、と軽く舌打ちしてから呟くように)いーけどさぁ」
あかり「んふふぅ」
志保「とにかく、帰ろーよーぅ。ガッコなんかいつまでいたってしゃーないじゃん」
あかり「うん…………でも浩之ちゃんが」
志保「ヒロ?」
何秒か間。
OPのピアノ曲がBGMとしてかかる。
あかり「……うん」
『きゅっ』と、あかりの上履きの底が、音楽室の床に擦れる音。
志保「もう帰っちゃったんじゃない? いい加減」
あかり「(低い声で)…え…………」
志保「たぶん、帰っちゃったと思うよー?」
あかり「………………(応えない)」
志保「だから、帰ろうって、私らもさ」
あかり「うん、そうだね」
『きゅっ』先刻よりも大きく、上履きが床に擦れる音。
あかり「(明るく)そうだね」
志保「そうだよ」
ピアノの音はやがて、風の音に消される。
冒頭と同じように吹きすさぶ風の音。やがて、その風の音に被さって、あかりのモノローグが入る。
あかり「ずっと一緒だった。私と、浩之ちゃんと、雅史ちゃんと、中学に入ってからは志保と。どこ遊びに行くんでも、大抵4人。4人で同じ高校受けて、受かって、気付いたら、二度目の春になっていた」
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
わー、中途半端 笑
ラジオ聴いたよん記念という事で突発的に書いてみました。
続く…………のかなぁ?
「チョイ役」
…………なんか僕的ヒットです 笑http://www.0462.ne.jp/users/nayurin/index.html