登校風景 投稿者:沢村奈唯美


 なだらかな坂をあがりながら私は訊いてみる。
「ね、浩之ちゃん」
 春だから、桜が咲いてて、花びらは『くるくる』どこかから落ちてくる。
 落ちてくるピンクの粒が私の目にぶつかって、それで私は瞼を閉じて、
 もう、花びらは落ちちゃってるのに、指で閉じた瞼の上を『ちょんちょん』さすった。
「あん?」って浩之ちゃんが応えた。
 目を開けたら、浩之ちゃんは私の方なんか見ないで、澄んだ水色の空の霞んでる白い雲の端の方を見て、
でも実は、私からワザと目を背けてるんだって、私は分かってる。
 『ふふふぅ』
 こういう笑い方をすると、浩之ちゃん、ちょっと怒るよね? 
 私がお姉さんぶるというか、何でも知ってるんだ、って感じの態度をすると、不機嫌になる。
 それは分かってる。だから、してみるんだ。そうしたら、私の事、気にしてくれるもん。
 昔から、そういう事を繰り返して、繰り返すそのうちに、私は志保曰くの所の
『浩之ちゃん』の犬になっていった。すごく自主性ないのは他の人に嫌われるかもしんない。
そんな事も思うけれど、私は私、浩之ちゃんの側に居る事が私なんだって決めたんだから、
これでいいと思う。
 坂をあがると学校があって、学校についたら別のクラスだから・・・並んで歩くのは今。
 話しをするのも、今。最悪でも明日の朝には会えるハズたの、しばしのお別れが本当は
とても不安だから、やれる事はやっとこうって根性が、ああ、でもみ、そういうの、
 浩之ちゃんにしてみたらうざったいのかな・・・・・・
  ねぇ?
「ねぇ、ちゃんとご飯食べてる?」私は訊いた。
 歩くのはやめない。並んで歩いて、左の浩之ちゃんを見上げて、ちょっと目を反らして
訊いてみる。
「インスタントとか、そういうのばっかじゃダメだよ?」
 浩之ちゃんは多分、『食ってるよ』とか、そういう事を言うと思う。
「食ってるよ。ちゃんと」
 ホラ。
 私は、
『ふぅ』
 ためいき。
 ためいきの後に俯いて、微笑んでみせて、そして
「今度また、作りに行ってあげようか?」って言った。
 言った後では暫く、ふたりとも黙ってしまって、私はやっぱり少し不安になって、
髪の毛を『くるくる』指でいじった。
 桜の花びらが落ちてくる。きりもみしながら、どっか、知らない場所から降ってきた。
風が拭いた。私は思う。
 また、風、暖かくなったね。
 そんな事を私は思う。
 4歩進んで、それからまた進んで、浩之ちゃんは照れたみたいに私と反対の方向へ
顔を向けて、そして、言った。
 
「オレはカロPーメイトでええねん」


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現実逃避第2段!!!!!
    だからオチつき!!!(笑)
・・・・・今、芹香さんが車でマルチ送ってます・・・・
 
 今日中に終わらせねば。
 表紙は出来ちゃってるんだし(笑)
http://www4.big.or.jp/~ikoi/ここのトップに貼ってもらってます(笑)

ではでは〜