<約束> 12月24日クリスマスイブ。 俺は3年前の約束を守るためにこの地に来ている。 3年前の約束・・・そう忘れてはならない 忘れられない約束。 ・・・3年前・・・ 3年前のクリスマスイブの夜。 俺は柏木家の4姉妹と楽しくクリスマスイブの夜を 過ごしていた時のこと。 クリスマスパーティーも終わろうとしていた時 俺の隣に座っていた楓ちゃんが不意に話しかけてきた。 楓 「・・・あのー・・・耕一さん。」 耕一「はい?」 楓 「・・・ちょっと・・・良いですか?」 耕一「ん?良いよ。で、どうしたの?」 楓 「・・・あのー・・・この後・・家の裏にある 神社に・・・来てもらえます。」 耕一「良いけどどうしたの?」 楓 「・・・訳は・・・来てもらえれば解ります。」 その言葉を残して楓ちゃんは席を離れた。 俺はしばらくして楓ちゃんの言っていた神社に向かう事にした。 耕一「ふー。寒いなぁー。いったい楓ちゃん何のようだろう?」 そんな事を考えながら俺は神社へと行く。 耕一「お!ここだな。」 もう夜も遅くあたりは静まり返っていた。 ただ神社だけが黒々としたシルエットをかもし出していた。 耕一「えーと楓ちゃんは・・・っと。」 あたりを見回したがそれらしい人物はいない。 耕一「おっかしいなー。楓ちゃんは何処にいるんだろう?」 そんな事を考えながら俺は神社を一周してみる事にした。 しばらく歩き神社の裏側へ来た時の事だった。 耕一「あれ?あそこにいるのは・・・楓ちゃん・・・では?」 それは間違いなく楓ちゃんであった。 耕一「しかしあんな所でいったい何をやってるんだろう?」 俺は楓ちゃんの姿を確認すると近ずいていった。 俺がちかずいて来るのに気付いたのか楓ちゃんはこっちを見ている。 耕一「楓ちゃん。いったい何の用だい?ここで何をしてたの?」 楓 「・・・このお墓・・・何だか解ります。」 楓ちゃんに言われて見てみるとそこには小さな5本の石がたっていた。 暗くて良く解らないが形からするとどうやら石碑らしい。 耕一「このお墓は?」 楓 「・・・このお墓は・・・昔この地にいた鬼の一族の娘4人と ・・・その娘たちを愛した・・・男の墓です。」 耕一「・・・・・・・・・・」 楓 「・・・しかしこの恋は・・・実りませんでした。・・・ 鬼の一族の・・・この呪われた血のせいで・・・。」 耕一「・・・・・・・・・・」 楓 「・・・だからせめて・・・お墓だけでも・・・ そう思い・・・ここに立てられたんだそうです。 遠い未来・・・輪廻天象の末・・・またいつか 出会えるようにと・・・。」 耕一「・・・・・・・・・・」 楓 「・・・耕一さん。」 耕一「はい?」 楓 「耕一さんは・・・人は生まれ変わり・・・また会えると 信じてますか?」 かすかだが楓ちゃんの声が震えてるのが解る。寒さのせいではない。 その証拠に目が少し涙ぐんでいる。 柏木家に来てしばらく過ごすうちに4姉妹と俺との間に 何かあるとはうすうすは感じてはいたが・・・まさか・・・。 耕一「・・・楓ちゃん。・・・」 俺がその言葉を発したと同時だった。 楓 「もう・・・もう別れるのはイヤ!」 そう言って楓ちゃんが俺に抱き着いてくる。 耕一「ちょ、ちょっと楓ちゃん。」 楓 「・・・私・・・耕一さん事が・・・大好きです。 前世の私が耕一さんの事を好きだったからではなく 今現在に生きる・・・柏木 楓として・・・耕一さんの事を・・・ 愛してます。」 耕一「・・・楓ちゃん。」 楓 「・・・耕一さんは・・・もうすぐしたら・・・東京へ 返ってしまう・・・もう会えなくなるんですよね。」 耕一「・・・・・・・・・・」 そうなのだ。 俺は年が明けるとこの家を・・・楓ちゃんと別れなくてはならない。 愛している楓ちゃんと・・・。 楓 「・・・私・・・イヤです。・・・もうはなれたくない・・・」 耕一「楓ちゃん・・・」 楓 「・・・・・・・・・・・耕一さん。・・・・・・・・」 「・・・私を・・・抱いて・・・下さい。・・・」 突然の言葉に俺はびっくりした。 まさか楓ちゃんの口からこんな言葉が出てくるとは・・・ 楓 「・・・私の事を・・・愛してくれるなら・・・今夜一晩でいい・・・ 私を・・・抱いて下さい。」 耕一「楓ちゃん・・・」 俺は返答に困った。 俺も楓ちゃんの事は愛している・・・だが・・・ 楓 「・・・やっぱり・・・こんな私では・・イヤ・・・ですか?」 耕一「そんな事はない。俺も楓ちゃんの事は愛している。 正直、楓ちゃんとはもう離れたくない。・・・でも・・・」 楓 「でも?」 耕一「でも、もし今ここで俺が楓ちゃんを抱いたとしても、それが本当に 愛なのか俺には解らない。だから・・・約束して欲しい。」 楓 「・・・約束?・・・」 耕一「そう。3年後のクリスマスイブの夜。俺はまたここに帰って来る。 二十歳になった楓ちゃんをむかえに帰って来る。俺の思いを告げに。」 楓 「・・・・・・・・」 耕一「だからそれまで待っていて欲しい。そして3年後のクリスマスイブの夜 またこの場所で待っていて欲しい。」 楓 「耕一さん。・・・」 耕一「・・・約束・・・だよ。」 楓 「・・・はい(笑)」 ・・・そう俺は約束した。 楓ちゃんを迎えに来ると・・・思いをうちあけるために。 耕一「あっ!寒いと思っていたら雪が・・・。」 どうやら今年はホワイトクリスマスになるようだ。 そんな事を考えていると、遠くから誰かが走ってくる足音が聞こえてくる。 俺は手に持った小さな箱を握り締めちかずいて来る足音に声をかける・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・終 ども〜。静耶ですぅ。 ふ〜。やっとこさ第2作目が完成しました。 時節ネタで攻めてみました。 って言うか静耶はこんなのしか書けません。 俺って行き当たりばったりな小説。本当に良いのか? もし話がかぶる人がいましたらごめんなさい。 前の後書きの通り楓ちゃんメインの話にしてみました。 いかがでしたでしょうか? <れすです。> >久々野 彰さん >「梓は千鶴に何を手伝わせたのだろう?」 あう。あの時点では朝ご飯を手伝わすつもりでしたけど、どうやら千鶴さんは 料理が苦手だとか。って事で茶碗や食器などを並べるのを手伝った事にします。(笑 でわ静耶でした。