STEDY 投稿者: 鈴木 夕美
 四月。
 新しい生活の始まり。
 出会いの季節。
 人も、街も、なんだか新鮮に感じる。そんな季節。
 すれ違う人々も、楽しそうにみえて―――。
 でも、そうじゃない人だっている。
 少なくとも、私はそうだった。

何故かって言うと―――。
 私は、他の人とは違うから。
 もっとわかりやすくいうと。
 私は、超能力者だから。
 とはいっても、別に、瞬間移動や、人の心が読めるんじゃない。
 私は、予知が出来るんだ。
 そのせいで、友達もいないし、これからも出来ないと思う。
 じゃあ、家族は?って言われるかもしれない。
 実は、家族も同じような事かも。
 別に、この世にいないんじゃない。
 けど―――私のせいで、すっかり冷めている。
 何故って?
 私には、遺伝子が半分しかないの。
 ママからのXXしかないんだって。
 そのせいか、私は小さいころから、研究所や大学病院をたらいまわしにされてたの。
 で、異常はないっていう事でやっとおうちにかえってきたら。
 パパとママの仲は最悪になっていた。
 私の体には、ママの子どもだっていう証拠があっても、パパのはない。
 それが理由。
 学校では無視されるか、興味本位の目で見られて。
 おうちでは心も休まらない。
 そんな私は、いつしか動物に関心を寄せた。
 だって、動物は、裏切ったり、差別しないもの。
 ということで、学校の行きや帰りに、野良犬や捨て猫とたわむれるのが、一番の楽しみになりつつあった。


 けれど、この頃、楽しみが増えた。
 いつものように、学校に行った日。
 また、いつものように『予知』が起きた。
 その人は、多分、一こか二こ上の先輩だろうな、と思った。
 だって、入学式で私が予知した後、その日のうちに見物に来た物好きな人や、やっぱりその日のうちにひそひそと噂話してた人の中にはいなかったもの。
 あと、うわばきもうちの学年の色じゃないし。
 男の先輩の、二人組だった。 
 仲良さそうにしゃべっていた。
 世の中には、ああいう人もいるのに。
 何で、私は違うんだろう?―――神様って、すごく不公平だ。
 そう思った瞬間、また、『いつもの予知』が起こった。

 そのすぐ後・・・予知は見事に的中した。

 それから、その先輩は、私によく話し掛けてきてくれた。
 最初は、いつもの“何で判ったの?”とか“気味悪い奴だ”、“もっとやってみろよ”、“いい気になってんじゃねーよ”って言われると思ったんだ。 
 実際、いつも、言われてきたもの。
 けど、その先輩は違っていた。
 一生懸命、私に近づいて気を使ってくれた。
 最初は戸惑ってたし、はっきり言って迷惑だった。 
 けど、今は楽しみになっている。
 ―――でも、また、私には不安がつきまとってきた。
  

 私は、いつものように学食に行った。
 昼食を食べるためだ。
 あいかわらず、混んでて、席が見つからない。
 いつもだと、中庭が見える方のカウンター席に座るんだけど。
 この分だと、相席になっちゃう・・・。
 うろうろしていると、とりあえずあいてる席を見つけた。
 その席には、いかにも快活そうな女の子が座っていた。
 そして、その子の前には今日のセットメニューがトレイにのっていた。
 この子なら、私を見て、気味悪そうに立ち去らないかな?
 そう思いながら、座る。
 ・・・よかった。どうやら平気みたい。
 そう思い、割りばしを割る。あ。奇麗に割れた。
 『割る時に、好きな人の事を思って割る。奇麗に割れると、両思い』
 そんな事が前に読んだ雑誌に載ってたっけ。
 もし本当なら、うれしい・・・って、誰の事を思ってるんだろう?
 なぁんて、本当はわかってるんだけど。 
 いただきます。
 つるつる・・・。
 うん。おいしい。
 やっぱり、おうどんはきつねにかぎる。
 そう思った時。
「琴音ちゃん。」
 後ろで誰かに呼ばれた。
「あ・・・先輩。」
 両手を見ると、トレイに、今日のセットメニューがのっていた。どっちのセットだろう・・・?
「ここ、あいてる?」
「あ。・・・は、はい。」
 私の返事を聞く間もなく、先輩は座った。
「なんだ。昼メシたったそれだけなの?」
 私のトレイにはきつねうどんと、お茶(ほうじ茶)が入ってる湯飲みが一つ。
 先輩のには、お茶碗にいっぱいのご飯やお味噌汁、お皿からはみ出しそうなたくさんのおかずに、お茶。
 先輩から見れば、私は確かに小食かも。
 けど、私から見たら、よく入るなぁ、って感じだと思う。
「先輩…よく入りますね。
 あ、でも、男の人だし、当たり前ですよね。」  
 あれ?まてよ。
 確か先輩のと、この、目の前にいる女の子のって―――。
「ははは・・・。」
 一緒じゃない。
 どうしよう、なんて言ってフォローしよう。
 そんな事を思ってたら。
「…失礼します。」
 ガタッ・・・。
 その女の子は、行ってしまった。
 ・・・でも、怒って、とかじゃないのがわかる。
 もしかしたら、この子も先輩を―――?
「あ。葵ちゃん。」
 そして、先輩もこの子を―――?

 その日の午後の授業は、身に入らなかった。
 どうしよう。
 先輩が、私に近づいたのって、、興味本位や同情なのかなぁ。
 もしそうなら。
 私はなんて馬鹿だったんだろう?
 先輩が優しいからって、舞い上がっちゃったりして。
 そのうえ、もしかしたら…って。
 サイテー。
 馬鹿みたい・・・。
 

 そんな事があってから、先輩が話しかけてくれても、すっかり気が気じゃなかった。
 ごはんも、喉を通らない。
 でも、先輩が、私の事を何とも思ってないなら。
 ・・・こんなに、優しくしないでください。お願いだから・・・。

 しばらくして、その事を聞こうと思って、先輩のクラスをたずねる。
 こうやって、一人で考えてると、どんどん暗い考えになってくるから。
 でも、先輩に『別に好きな子いる。』なんて言われたら・・・?
 こわい。
 でも、こうしてる方がもっと辛いよね。
 いいや。
 思い切って・・・・。
 そう思った時だった。
 先輩が、他の女の人と親しげに話していた。

 うそ。
 どうしよう。
 ・・・そう思った時だった。
「あ。琴音ちゃん。
 一緒にジュース買いに行かない?」 
 先輩が、話しかけてくれた。
「あ…はい。」
 そう言いながら、一階に降りる。
 先輩の後ろを歩く。
 ・・・他に好きな人がいるっていったら、こうやって先輩の後ろを歩けないんだなぁ。
 ふぅ。

「で、化学の実験でうちのクラスの委員長がさぁ・・・」
 先輩が、ジュース(どうやら、カフェ・オ・レみたい)を飲みながら、楽しそうな話をしている。
 昨日の出来事を話しているみたい。
「・・・って、ゴメン。」
 え・・・?やっぱり・・・?
「こんな内輪話、あんまり楽しくないよな。
 ごめん。」
 あ。
「・・・別に、そういう訳じゃ・・・。」
「そう?
 ならいいんだけど…あ、もしかしたら、何か、悩みがあるの?
 あるなら、言ってみなよ。
 少しは楽になるかも、だぜ?」
 にこにこしながら、そう言ってくれる。
 でも、先輩に言っていいのかなぁ。
 けど、先輩が聞いてきたわけだし。
「あの…先輩に聞きたいことがあって・・・。」
 おずおずと、切り出す。
「ん?何?」
 こっちに、体ごと向けてくれる。
「あの・・・さっき話していた人って誰ですか?」
「あ。
 さっきのは、俺のおさななじみ。
 何?もしかして、そんな事を気にしてたの?」
 気が抜けた様な顔で私を見る。
 『よくおせっかい焼いてくんだよ。あいつ。やっぱ、小さいころの事知ってるやつってアレだよな』
 とかいってるのが聞こえる。
 良かった。
 ・・・本当に、良かった。

 そう思った瞬間。
 私は倒れてしまったみたい・・・。


 先輩が、私を抱き止めてくれる。
 このまま、世界中の時間が止まってしまえばいいのに。 
 そして、見つめあえたらいいな、って。
 そのまま、誰にも連れ戻せない所に二人で行きたいなぁ。
 でも、良かった。
 先輩をあきらめなくってもいいんだ。
 このまま、自分の気持ちを信じ続けていけば。
 どんなに辛くってもきっと思いは届くよね?
 そうだよね?
 
 私にとっての先輩は、すごく大事で、かけがえのない人だから。
 先輩にとってのすごく大事で、かけがえのない人になりたいな。
 そうすれば、どんなに辛くて長い夜でも、きっと平気になれる私になるよ。
 どんどんと私の中で先輩への気持ちがおっきくなるんだ。
 こみあげてくる、そんな気持ち。
 時には泣いてしまうかもしれない。
 でも。
 先輩がいてくれたら、きっと平気になるよ。

 私のなかの、ありったけの気持ちを、先輩に捧げたい。
 そして、いつかきっと―――。

 WANNA BE YOUR STEDY!! 

                                                    <fin>

 というわけで、あとがきです。
 小説を書いてみました。感想をお待ちしてます。
 (と、いいつつ、実は“中書き”だったりする。最近多いな、こういうパタ
ーン…)

 この話は、琴音ちゃんver.以外にも色々あるんですよ。
 (最近多いな、こういうパターン…)
 考えてるのが、
『あかりちゃんが他の子に嫉妬』
『委員長が他の子に嫉妬』
『葵ちゃんが他の子に嫉妬』
『芹香先輩が他の子に嫉妬』
『綾香ちゃんが他の子に嫉妬』
『レミィが他の子に嫉妬』
『千鶴さんが他の子に嫉妬』
『梓ちゃんが他の子に嫉妬』
『楓ちゃんが他の子に嫉妬』
『初音ちゃんが他の子に嫉妬』
『香奈子ちゃんがが他の子(特に瑠璃子さん)に嫉妬』。
全部で十二種類…。
 なぜ、琴音ちゃんにしたかというと、一番めずらしそうだから。
 あと、琴音&葵イベントがちょっと心に残ってまして。
 綾香以外の東鳩ガールズは、みんな重複イベントありの子です。
 (マルチは…エンディング後の話として、他で書く予定があるので。)
 葵ちゃん・委員長・綾香ちゃんの三人も、直前まで競ってたんですが。
 四姉妹でしたら・・・。
 一応、色んな事を思うに、梓ちゃんか、初音ちゃんが有力かもぅ(笑)。
 香奈子ちゃんも、もっとふさわしいのがありそうだけど。
 もし、この十二種類のなかで、読みたいのがありましたら、リクエストして
くださいね。
  少なければ、リクエストくださった人限定で、多ければここに書き込み用
に書き直してみようかなと、思います。
 ただし、期限はこれが載ってから一ヶ月。
 一ヶ月後から書き込みや、リクエストくださった人に配送しますね。
 けど、私はここに頻繁に来れない事情がありますので、メールにてお願い
いたします(m(_ _)m)ペコリ。
 (ただ、リクエストがなくっても、自分で楽しむ用に密かに書いてそう。)  

 で、今書きおわりました。
 あー、なんか、琴音ちゃんってかわいいなぁ、と。
 (え?当たり前だって・・・すみません。再確認しただけです。)
 本当は、最後で『抱きしめる』とか、『キスする』みたいな事をやろうかな
って思ったんですが。
 そうすると、ゲームと内容が大幅に違っちゃうのでやめました。
 まぁ、『抱き止める』なら、OKかな、と。
 たとえば、東鳩キャラなら、葵ちゃんでも、一緒かな。
 委員長や芹香先輩、レミィなら、『抱きしめる』だし、綾香ちゃんなら『キ
スする』でしょう(笑)。
 ようは、『恋愛の場数を踏んでるか否か』ですね。

 恋愛って無理にするものじゃないけど、したほうがきっといいと思います。
 ようは、人間関係が凝縮された様なものでしょう?
 
 そういう意味では、この話の琴音ちゃんは人間関係のスタート地点を走り出
した所ですね。
 これから、彼女も、変わっていく事でしょう。
 良い意味でも、悪い意味でも。
 けど、それはそれでがんばって欲しいです。
 ・・・って、(私の書く)彼女の運命は、私のものだけどね。

どうでもいい話。
 作中で、琴音ちゃんが『昼食中に、ほうじ茶を飲んでいる』事について。
 何故ほうじ茶か、というと。
 食事中に、カフェインの入っている(多い)ものを摂ると、鉄分を摂っても
意味がなくなっちゃうんですよ。
 だから、なるべく、食前30分〜食後30分は、カフェインの入っている(多い)
ものは摂らないように…ということです。
 この系統の事は色々ありますが、それはここに書く事じゃないと思うので、
終わりにしましょう。  
 では今日はこの辺で。

           by.鈴木『お昼ご飯、何食べようかな…』夕美