Oedipus 後編 投稿者: ジン・ジャザム
 リアルじゃない。

「どっち向いてるんだよ、おらっ!」

 殴られた痛みも、口の中に広がる血の味も、リアルじゃない。

「ネンネするには、まだ早いんじゃないの〜、耕一君?」

 俺のリアルは母さんの側だけ。

「ほら……立てっつってんだよ……。」

 だから、こんなのは現実じゃないんだ。

「何だよ。もう終わりかよ。つまんねぇな、オイ。」

 現実でないなら、耐えられる。

「……なあ、知っているか?」

 耐えられる……

「こいつの母親のこと。」

 …………。

「ああ。アレだろ? 連続殺人事件だか、何かに巻き込まれたってヤツ。」

 ………………。

「それで、こいつの母親……」

 ……………………。

「頭おかしくなったんだろ?」

 ……ッ!!!?

べぎおぐぅっ!

 奴らの話の内容を理解したときだ。
 そんな音が聞こえたのは。


「うっ……がっ……」
 気付けば、俺の足元に連中が、呻き声を上げながら倒れていた。
 なんか腹を押さえて、血を吐いている奴がいる。
 向こうに倒れている奴の、右腕の関節は一つ多い……折れてるのか。
 あいつなんか鼻が折れているし、口から流れる血が止まらない。顎でも割れたか?
 ……なんで、こいつら怪我してるんだ?
 そう思って、自分の右手をふと見てみる。
 血に、汚れていた。
 ……何で?
 …………俺が……やったのか? 
 呆然としながら、俺は連中を見下ろしていた。
 そのとき、ふと、とてつもなく甘美な妄想がよぎる。
 ……いや、妄想なんかじゃない。
 今の俺にはそれが出来る。
 俺は倒れている男の一人に近付いて、その首の上に足を置いた。
 そいつが、俺のやろうとしていることに気付いて、青くなる。
「や……やめてくれ……頼む……」
 怯えた眼差しで、命乞いまでしてきやがった。
 ……下らない奴。
 俺はこんな下らない奴に、いままでやられていたのか。
 そう考えると何だか腹が立った。
 ……こんな下等な生き物に、狩猟者たる、この俺が。
 ……獲物の分際で、この俺に。
 あと少し足に力を入れれば、こいつの首は折れる。
 ぽっきり、と。
 呆気なく。
 そして、死ぬ。
 生命の炎を散らしながら。
 生命の炎。
 そうだ、炎だ。
 こいつが死ねば、炎を散らす。
 美しく、儚く燃える生命の炎を。
 そうだ。見せてみろ。
 お前の炎を。
 俺の渇きを癒してくれ。
 俺は足に力を込めた。
 そのとき。

「きゃあああああああああ!」

 誰かが俺に気付いたらしい。
 この状況を見て、悲鳴を上げる。
 それと同時に、俺の意識もはっきりしてきた。
 狩猟者?
 生命の炎?
 何を考えているんだ、俺は?
 そして足元を見る。
 男は失禁していた。
 俺の殺気に当てられて。
 殺気?
 殺、気?
 殺す?
 俺が、殺す?
 俺が、人間を、殺……
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
 俺は駆け出した。
 さっき、自分の中に確かに感じた、獰猛な獣から逃れるために。


「はあ……はあ……はあ……」
 息切れがして、俺は立ち止まった。
 ここは公園の奥。
 一番、人気の少ないところだ。
 日はもうほとんど沈んでいて、はるか西の空にわずかな朱を残すのみである。
 俺は息を整えて、心を落ち着かせようとした。
 だけど、さっき感じた戦慄は未だに拭えなかった。

「なっ……言ったとおりだったろう?」

「!!?」
 声に驚き、俺は慌てて振り返った。
 そこには、この間の中年男が立っていた。
 俺は震えて、何の言葉も出てこない。
 そんな俺にはかまわず、彼は続けた。
「お前は、あんな下等な連中をどうとでもできるほど、優れた存在なのだよ。耕一。」
 耕一。
 俺の名前を何でこの人は知っている?
「貴方は……」
「俺は柳川祐也。お前のことはよく知っているよ……本当にな。どうだ? 俺に付き合わ
ないか? 自分について、そしてお前の母親について、詳しく知りたいだろう?」
 そう言って、男は、柳川は笑った。
 俺はしばらく動けなかった。
 狩猟者。
 生命の炎。
 柳川祐也。
 柏木耕一。
 母さん。
 何が何だか、よく分からない。
 貴方は誰だ?
 何故、そんなことを知っているんだ?
 貴方は、いったい?
 母さんは、いったい?
 俺は、いったい?


「何か飲むか?」
 自販機の前で、柳川は俺に尋ねてきた。
「いえ、別に……」
「そうか。なら、適当に選ぶぞ。」
 俺の拒否の言葉を無視して、柳川は勝手にジュースを選び、俺に投げてよこした。
 諦めて俺は、ジュースのプルタブを開けるが、口はつけない。
 しばしの沈黙。
 やがて、柳川は缶コーヒーを飲みながら、まるで独り言のように、ゆっくりと、静かに
語り始めた。
「十五年前だ……聞いたことぐらいはあるだろう? 連続殺人事件。」
「ええ……。」
「お前の家……柏木家の人間も犠牲になった事件。たった一人の男が、多くの人間を殺し
た……。」
「麻薬中毒の大学生……でしたっけ?」
 俺がそう答えると、柳川がこっちを向いて、嘲るように笑った。
「違うよ……。」
「えっ?」
「犯人はそいつじゃない。事件の犠牲者が、どういう風に殺されたのか知らないのか? 
まるで大型肉食動物にやられたかのようだったのさ。頭を爪で潰されたりしてな。そんな
力を、たかが人間に出せると思うか?」
「じゃあ、みんな、熊か何かに襲われたとでも言うんですか?」
 俺がそう尋ねると、また柳川は笑った。
 ただし、今度は嘲るようにではない。
 暗い悦びを見いだしたかのように、冷たくて、残忍な笑みだ。
 俺は戦(おのの)いた。
「それも違う。……鬼だよ。鬼が殺したのさ。」
「鬼?」
 突拍子のない台詞だった。
「鬼って……雨月山のお伽噺でもあるまいし……。」
「お伽噺じゃないさ……本当に鬼はいる。この地上で最強の生き物としてな。」
 そう言いながら、柳川は電灯の側まで近付いた。
 刹那。

きぃぃんっ! どがらぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!

 電灯が、倒れた。
 真っ二つに切られて。
 電灯を切ったのは、柳川の爪。
 まるで、それこそ鬼が生やしていそうな、強靱な鉤爪だ。
 俺はまるで凍りついたように動けなかった。
「現に……ここにいるじゃないか。」
 柳川は冷たい笑みを張り付かせたままだ。
「俺たち鬼は、生物の持つ生命の炎を散らさずにはいられない。殺さずに入られない。狩
らずにはいられない。何故なら、俺たちは狩猟者だから。」
 ……生命の炎。
 ……狩猟者。
「だから狩った。だから殺した。お前の叔母たちも、みんな、みんな。」
 もう完全に理解した。
 柳川の台詞ではなく、本能で。
 ……一五年前の連続殺人犯は、こいつだ。
 間違いない。
 でも……
「生命の炎を散らした。美しい、真紅の炎を。」
 何故、俺もそれを感じる?
 生命の炎。
 狩りへの欲求。
 分かる。
 何もかも理解できる。
 この男の渇きも、この男が見るものも全て。
「だが、狩れば狩るほど、俺は渇く。さらなる炎を、美しい炎を求めて。一五年間、求め
続けた。何より美しい炎を。闇に潜んで、人を狩って、……それでも満たされなかった。
渇いていった。それもようやく、満たされる……。」
 柳川の表情は、もはや恍惚へと変わっていた。
 俺はやはり動けない。
 怯えているのだ……目の前の男、柳川と、自分の中に眠る、得体の知れない獣に。
「待っていたよ、この日が来るのをずっと。」
 恐怖。
 貴方は……貴方はいったい何を言うつもりなんだ?
 やめろ……何も言うな。
 それ以上語るな。
 やめ……

「初めまして、耕一。俺が……父さんだよ。」


 嘘だ。
 嘘だ、嘘だ、嘘だ。
「嘘じゃない……感じるだろ?」
 俺は……
 俺は柏木耕一だ。
 俺の父さんは、柏木耕一だ。
 母さんが、そう呼ぶから。
 俺は柏木耕一だから。
 だから、父さんも……
「不思議に思わなかったか? あの一五年前の惨劇の中で、どうしてお前の母親……柏木
千鶴だけが生き延びたかを……。」
 知らない。
 考えたくない。
 知らなくていい。
「柏木家もまた、鬼の血を引く一族だ。お前の母親も、叔母も鬼なのさ。俺と同じくな。」
 だからどうした?
 それが何だって言うんだ?
「お前の母親は、俺を殺そうとしたよ。殺戮の衝動に支配され、無差別に人を狩る俺を止
めようとして。」
 聞いていない。
 そんなことは、聞いていない。
「柏木千鶴は、強かった。そして美しかった。高貴なる同族が散らす、生命の炎……俺は
どうしてもそれが見たくなった。だが……」
 柳川はそこで溜め息をついた。
 なんとなく、何かに疲れ果てたような溜め息にも聞こえた。
「奴は腑抜けた。生命の炎の輝きを失った。そんな奴を狩っても、一層、渇くだけだ。意
味がない。だから……」
 再び、柳川が笑う。
 酷く、酷く、嬉しそうに。
 言うな。
 それ以上、言うな。
 俺を追い詰めるな!

「血を残そうとしたんだよ、俺の……気高い狩猟者の血を。だから……犯したのさ。お前
の、母親を。」

「がああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!!」

 俺の中で、何かが崩れ落ちた。


ぶぉぉんっっっ!

 気付けば、俺の手も鬼の爪と化していた。
 俺はその爪を柳川の頭を目がけ、振り下ろす。

きぃぃぃんっ!

 柳川の爪が、俺の爪を防ぐ。
 だが、俺はかまわず力を込めた。
 じりじりと柳川の爪を押していく。
「そうだ! それでいい! 一五年! 一五年経った! お前が生まれたことを知ったと
き、俺は悟ったよ! 俺の渇きを癒してくれるはお前だけだとなっっっっ!!」
 柳川の蹴りが、俺の腹に決まった。
 吹き飛ばされる、俺。
 だがコンクリートも砕けるであろう、その蹴りも俺の身体には大して通じなかった。
 通じなくなっていた。
「違う! 俺はあんたの息子じゃない! 俺は柏木耕一だ! 柏木耕一の息子だ! 俺は
あんたじゃないっっっっ!」
 駆ける。
 柳川に向かって、何も考えずに、まっすぐに、駆ける。
「違わないな! 俺の渇きを満たせるのは、俺の血を引く者だけだ! 地上で最強の生物
の血を継ぐ者だけだ!」
「ぬかせぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
 飛翔。
 満月を背景に俺は、ゆうに自分の身長の三倍に達する高さを跳ぶ。
 自分の全重量をかけて、渾身の蹴りを放とうとする。
 だが。
「無駄なことを!」
 柳川は落ちてくる俺に、カウンターで痛烈な拳を俺の顔面に決めた。
 たまらず吹き飛び、地面を転がる。
「その程度ではないはずだ! さあ、己の獣を呼び覚ませ! 原初の本能で自分を全て塗
り潰せ! 生命の炎を極限にまで高めろ! ギリギリの一線で行う狩猟! その果てに散
る生命! それが俺の一五年間求めたものだ!!!!」
 はあ……はあ……はあ……
 許さない。
 殺してやる。
 俺が、母さんの側に入れる理由を奪う奴はみんな殺してやる。
 俺の「柏木耕一」を否定する奴、全員を殺してやる。
「あんたは! 父さんを! 『柏木耕一』を殺し! 今、俺を! 『柏木耕一』を殺そう
としている! 父さんを! 俺を! 『柏木耕一』を奪う奴は許せない! 俺から、母さ
んから、『柏木耕一』を奪う奴は! 決して!」
 裂けた額から流れる血を拭いながら、俺は叫んだ。
 身体が熱い。
 血がマグマのようだ。
 心臓が、張り裂ける。
「……待てよ。『お前が父親だと信じている』柏木耕一を殺したのは俺じゃない。奴を殺
したのは、きっと柏木千鶴本人さ。」
「嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 血の熱さに応えるように、俺の身体が変貌していく。
 筋肉が膨張し、皮膚が硬質化する。
 人間の器を捨て、俺の獣が具現化する。
「おおかた、俺を柏木耕一と勘違いしたのさ。狩猟者の本能を抑えられぬ者なら、たとえ
愛する者だって始末する。そういう女なんだよ、奴は! だから、お前も殺されるよ! 
鬼を制御できないお前を、あの女は殺すだろうさ! 『柏木耕一』を奪うのは俺じゃない
……柏木千鶴、お前の母親だ!!」

「がるあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 俺は、鬼になった。
 渇く。
 渇く。
 血に渇く。
 この渇きは、あんたの血でしか潤せない!

「うがあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 そして、柳川も鬼になる。
 渇く。
 渇く。
 それは一五年に及ぶ、血の渇き。
 その渇きは、俺の血でしか潤せない!

「あがああああああああああっっっっっっっっ!」
「ぐるるるるるるおおおおおおおおおおおおお!」

 同時に、駆け出す。
 同時に、拳を放つ。
 そして

ざぶるぐわぁぁっ!!

 鮮血が、飛び散り
 生命の炎が、ぱっと燃え
 血と、炎は
 満月の夜を
 紅く
 染めた。


「……これで……いい……。」
 そんな呟きが聞こえた。
 柳川は。
 俺の拳に身体を貫かれた柳川は。
 既に人間の姿に戻っていた。
「……これで……いい……。」
 もう一度、呟く。
 弱々しい、でも無垢ですらある笑みを浮かべて。
「自分の……息子の……手にかかって逝ける……俺には過ぎた……死に様だ……。」
 柳川の手が、俺の頬を優しく撫でる。
 そして、その手は力を失って
 柳川は、逝った。

 ………………父さん?

 自然に、そんな呼び方が、俺の口からこぼれた。
 本当は違う。
 鬼になった俺の口からは、獣の呻きが洩れただけだ。
 だが、そんなことは関係なかった。
 俺は鬼の声のまま、呼びかけ続ける。

 ……本当に……父さんなの?

 柳川は応えない。
 誰も俺の呼びかけには応えてくれない。

 父さん……? ……父さんが、父さんだったら……俺は……何なの?

 冷たい。
 頬が冷たい。
 俺の頬が濡れるのは、
 何も……父さん……の返り血のせいだけではない。


「耕ちゃん……?」

 いつもの、水門。
 俺の気配に気付いた母さんは、俺の方を振り返った。

「耕ちゃん、どうしたの? 何か辛いの?」

 心配そうに尋ねてくる母さん。

 …………分かるの? 俺だって?

 俺の姿は鬼のままだった。
 返り血を浴びた、狩猟者のままだった。
 それなのに……
 母さんは、俺が分かるの?

「耕ちゃん……?」

 母さんが心配そうに、俺の名前を呼ぶ。
 ……違うんだ。
 違うんだよ、母さん。

「耕ちゃん、大丈夫? 耕ちゃん?」

 俺は……「耕ちゃん」じゃないんだ。
 「柏木耕一」じゃないんだよ、俺は。

「耕ちゃん……耕ちゃん……」

 俺は、母さんの側にいられないんだよ。
 母さんの求めている、人間じゃないんだよ。

「耕ちゃん……」

 違うんだ。

「耕ちゃん。」

 違うんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 俺は絶叫して、母さんに爪を振り下ろした。
 駄目なんだ。
 もう駄目なんだよ、俺。
 もう……帰る場所もないんだ。
 爪は母さんの脳天を打ち砕き、母さんは生命の炎を散らして、俺は帰る場所を本当に失
って、それで終わり。
 何もかも。
 そして俺の爪が、今、全てを断ち切……

がくっ……

「えっ……?」
 そのとき、俺の全身から力が抜けた。
 必要の無くなった体の組織が、老廃物となって、身体から崩れ落ちる。
 俺は……俺は人間に戻っていた。
 俺の爪は、母さんを殺すことはなかった。
「……何で?」
 何で、殺せなかった?
 俺は「柏木耕一」じゃないのに。
 「柏木耕一」でなかったら、殺せるはずなのに。
 なのに、何故?
「俺は………………誰なの?」
 悲しかった。
 気の狂いそうなくらいに悲しかった。
 父さん……
 父さん……
 教えて……
 本当の俺は、何なの?
 本当の俺は、誰なの?
 俺は「柏木耕一」?
 それとも……

ふわっ……

 そのときまた、いつものように、母さんが、静かに、優しく、俺の頭を抱いた。
 そしてまた、いつものように、そのまま俺を自分の胸に抱き締める。
「耕ちゃん……甘えてもいいんだよ?」
 母さんの声はあくまで優しい。
 俺はついに、大声で泣きじゃくった。
 分かった。
 分かっていた。
 俺が「柏木耕一」であろうと、なかろうと、永遠に母さんの側にいれるはずがないって。
 俺が母さんと同じ景色を見れるはずがないって。
 分かっていたんだ。
 分かっていたから、悲しかったんだ。
 こんなに満たされているのに。
「耕ちゃん……」
 母さんが、俺の頭を優しく撫でる。
 そうだ。
 この安らぎもいつかは終わる。
 俺はここにいられなくなる。
 俺はここから旅立たなくちゃいけない。
 壊れた、母さんを置いて。
 叔母と同じように。
 だって、俺は、流れる時間の中でしか生きられないから。
 母さんと同じ景色の中には留まっていられないから。
 だから、いつの日か。
 でも……
 今の俺には、母さんの元を飛び立つ翼はない。
 母さんを一人残していく、残酷さもない。
 俺は……まだまだ、弱い。
 だから
 今は、今だけは、そのときが来る、それまでは
 俺は、母さんの側にいてもいいよね?
 それくらいの甘えは許されるよね?
 ねぇ……
 母さん。
 父さん。

 母さんは、やっぱり呼びかけには応えてくれなかった。
 あくまで優しく、俺を包み込むだけだ。
 それだけが自分に許された、唯一の愛し方だとでも言うように。


 髪を撫でる、母さんの手。
 それは野をそよぐ風のように優しく、
 朝の陽射しのように暖かだった。


                                     完

…………………………………………………………………………………………………………

 もしかしたら、『ほわいと・くりすます』以来!?(知らん、知らん)
 ……の真面目(?)なリーフSS『Odeipus』お届けしました。
 皆様、へろぅ。
 ジン・ジャザムです。
 スパリフFは待ってくれ(爆)
 つーワケで、見ての通り、ちょっとダークなSSです。
 ……ネタは昔からあったけど、何か苦労のワリには俺的にいまいちです(汗)
 俺らしくない作品を、無理矢理、俺らしくした歪みか、これは?(爆)
 タイトル、恥ずかしいくらいそのままのくせに、そのテーマで書き切ることが出来ませ
んでした。(Odeipus=エディプス。エディプス・コンプレックスってこと。)
 父親が重要な役目を果たすSSを書きたかったんですが……勉強不足だ(泣)
 なんで、いきなりこんなモン書いたかというと、これ、大学のサークルの会誌の原稿で
す(爆) 会誌にダーク載せるな、俺。
 で、せっかくだから、本家の方にも載せました。
 どーせ、会誌の方は極々々少数の目にしか通らないし(爆)
 しかし……28.5Kか……ここまで、でかくなるかね、この程度の話で(汗)

 スパリフのレスくれた人、どうもありがとうです〜(多謝っ!)
 なんか不定期すぎる連載のせいで(爆)ちゃんとしたレスを書いてませんが、もう、ホ
ントありがとうございますぅ。
 これでレザムはあと10年戦える(謎)

 次のまともなSS書くときは……なんかこう、心暖まる話がいいな……絶対、俺らしく
ないって言われるけど(爆)

 というわけで、今回はこの辺で。
 では、また〜