スーパーLEAF大戦F・第1話 投稿者: ジン・ジャザム
 月下の夜。
 少女は敵と対峙していた。
 儚げな印象を人に与える少女。
 どこか寂しげな瞳。
 だが、その瞳は今、冷たい光を宿らせている。
 少女は敵に話しかけた。
「まさか、こんな近くにエルクゥがいたなんて……気配を消していたんですか? それと
も今まで自分の正体にも気付いていなかったのか……。」
 そこで一旦、言葉を区切る。
「どちらにしても……エルクゥは滅ぼすだけ。この惑星(ほし)を、お母さんの故郷のよ
うにはさせない!」

う゛ぉぉぉおおん……

 見えない力が、少女の周りに集まった。
 それを感じ取り、敵――どうやらエルクゥらしい――は宙に舞った。
 エルクゥの姿が月と重なる。
 そしてそこから、幾本もの光の矢が放たれた。

ブォォンッ! ブォォンッ! ブォォンッ!

 高速で少女の眼前に迫りくる、光の矢。
 だがしかし、

ばしゅゅゅゅゅゅゅゅゅっっっ!

 光の矢は、少女が張り巡らせた見えない壁に弾かれ、消滅した。
 少女がエルクゥの着地点を指差す。
 危険を感じたエルクゥは、着地と同時にその場から飛び退いた。

 轟ッ!

 刹那。
 その地面が大きく、えぐれた。
 これも少女の力か。
 大きくバランスを崩したエルクゥ。
 このチャンスを少女は待っていた。
 エルクゥ相手に長期戦は不利。ならば……一瞬でケリを着ける!

「PSY−MAX発動っっっっっっ!!!!!!!!!!!!」

 叫びと同時に、少女の身体が激しく輝き始めた。
 蒼いオーラが、少女の身体を包み込む。
 そして彼女の身体が宙に浮いたかと思うとエルクゥめがけ、一直線に飛んでいった!
 目にも止まらないほどの超神速の飛行。
 それは一筋の、蒼い流星を連想させる。
 瞬く間に流星はエルクゥの目の前まで接近した。
 命中すれば、エルクゥいえども一溜まりもない。
 そして、

ふおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおん!

 蒼い光が弾けた。


 ――近未来。
 地球はエルクゥという、伝説上の鬼に酷似した侵略者に狙われていた。
 とてつもない戦闘力を持つエルクゥを相手に、人類は最大の危機に陥る。
 そんなエルクゥに対抗すべく結成されたのが『LEAF』。来栖川グループ傘下の独立
部隊である。
 主要な戦闘員のほとんどが10代の若者で構成されているこの部隊は、1人1人が特別な
力を秘めており、敵に対し互角に渡り合うことができた。
 何故、ここまでの特別な力を持った戦士たちが偶然にも集ったのか?
 ……あるいは、それは偶然ではないのかもしれない。
 それは必然。
 人が自らの親を選べないように、運命は確かに存在する。
 人の身では逆らえない運命が。
 そして、我々はその上で踊らされているだけなのかもしれない。
 どれだけ足掻こうと逃れることのできない、メビウスの輪。
 ならば戦うこと、それ自体が滑稽で意味のない行為なのか?
 それは誰にも分からない。
 その答えはこの時代に生きる者が、自らの手で探すしかない。
 それがたとえ、絶望への第一歩だったとしても……
 躊躇っていては、人は前に進めないのだから。

 そう。
 これは戦う者に捧げられた、『大戦』の物語である。


スーパーLEAF大戦F 第1話『貴女も……独りで戦っちゃうんだね……。』


「はあ……はあ……はあ……」 
 少女は傷ついていた。
 エルクゥの姿はもう見えない。
 取り逃がしてしまった。
 エルクゥは少女渾身の一撃を喰らいながらもそれに耐え、無防備になった少女に鉤爪の
洗礼を与えた。
 重傷を負う少女。
 ただ幸いだったのは、エルクゥもPSY−MAXの一撃で大きなダメージを受けていた
ということだ。
 それ故にエルクゥは彼女にトドメを刺すことなく、逃亡したのだから。
 だが……
「くっ……」
 少女の意識が遠のく。
 ……PSY−MAXは、少女の体力と精神力を著しく消耗する。
 それに加えて、この出血。
 非常に危険な状態だった。
 少女は必死に意識を現実に繋ぎ止めようと足掻いた。
 しかし、無情にも闇は彼女の意識に舞い降りてくる。
「こんなところで……死ぬわけには……」

ばたっ……

 ついに少女は地面に倒れた。
 意識が急速に闇に飲まれていく。
 少女は死を覚悟した。
「嫌だな……これで……終わりなの……?」
 諦めたように呟く少女。
 そのとき。
 少女は自分を見下ろす気配に気付いた。
(まさか……さっきのエルクゥ……?)
 少女は何とか顔を上げた。
 少女の瞳に何かが映る。
 それは……精神の『壊れた』者の瞳。
 そのくせに優しい……綺麗な瞳。
 少女は奇妙な安心感を感じた。
 先程の死を予感させる闇ではなく、穏やかな夜のような闇に彼女の意識は堕ちていった。
 壊れた瞳の主は、そんな少女を黙って見守っている。
 ……ただ、一言だけ呟いた。

「貴女も……独りで戦っちゃうんだね……。」


 一方、少女と戦ったエルクゥもまた、迫り来る死の恐怖に怯えていた。
 PSY−MAXを受けたときに服は焼け、その下から焼き爛れたふたつの胸が覗ける。
 エルクゥは女だった。
 火傷の痛みに呵まれながら、エルクゥは苦痛の声をあげる。
「クア……!……イヤ……アタシガ望ンダワケジャナテノニ……何デ私ガ、死ナナキャナ
ラナイノ?……死ヌノハ嫌……助ケテ……誰カ……誰カ!」
 魂の懇願。
 そしてあの少女と同じように、このエルクゥにもまた救いの手が訪れた。
(怯えないで……貴女も誇り高きエルクゥでしょう?)
 心に直接響く声。
「誰……?」
 エルクゥは尋ねた。
 声は答える。
(貴女と同じよ。)
「同ジ……?」
(貴女と同じ狩猟者……同族の声に引かれ、星の海を越えてきた者。)
 やがてエルクゥの目の前に、その声の主が現れた。
 長い黒髪を持つ、異星の装束に身を包んだエルクゥ。
 声の主もまた、女のエルクゥだった。
(この惑星に生きるエルクゥよ、答えなさい。我々を呼んだ者……貴女たちの王ダリエリ
はどこ? そしてヨークは……?)
 手負いのエルクゥはその質問に答えない。
 分からないことだらけだったからだ。
 だから彼女は質問に、質問で返した。
「……貴女ハ誰? 私ノ知ラナイ私ヲ知ッテイルノ? 貴女ハ一体……?」
 黒髪のエルクゥは答えた。

(私の名はリズエル。エルクゥに宇宙の意志を伝える巫女。)

                                    つづく

………………………………………………………………………………………………………………

 お久しぶり!
 スパリフ第2部こと『スーパーLEAF大戦F』堂々の開幕で御座います。
 皆様、どもども。
 ジン・ジャザムです。
 ……堂々の開幕?
 どこがじゃ、俺っ!(爆)
 はあ……どうも、第1話は苦手のようです、俺。
 こんだけの量を書くのに、四苦八苦。
 第1話というよりは……第零話っぽい(^^;)
 ……やっぱりプロットないのはヤバイでしょうか?(←おひっ!)

 とにかくいきなり新キャラです。
 LEAF出てきません(核爆)
 どうやってLEAFと絡めるか……それが問題だ(水爆)

 今回の元ネタ……PSY−MAXは、言わずと知れたレイ○ナーの『V−MAX』です。
 なかなか強引にパロりました。
 もうそろそろパロのネタが無くなる(N2爆)
 助けて(懇願)

 感想くれた皆様、ありがとうございます。
 実を言いますと、俺、ここ1ヶ月、投稿小説コーナーをチェックしていなくて(超新星爆)
……ごめんなさい。これからはちゃんと読みます……許して(懇願)


 で、次回予告ですが……

 何もできてねぇ!!!!(人類補完的爆っ)

 この台詞言うの何度目だ、俺!
 ホントに終わるのか、俺!
 最終回だけ考えていてどうするんだ、俺!

 ……やっぱり名前が不吉なのか?……『F』ってところ(爆)
 でも『新スーパーLEAF大戦』よりはマシだと思うし(汗)
 いっそのこと『第2次スーパーLEAF大戦』にすりゃよかったか?

 って、名前のせいにするな>俺(爆)

……………………………………………………………………………………………………………………
 とにかく無理矢理、次回予告!


 『シズク・ドライブ』
 5人の科学者によって開発された、無公害、完全リサイクルの究極エネルギー。
 これにより地上より全ての公害は失われ、原子炉も解体の一路を辿った。
 しかし『シズク・ドライブ』による、かつてない栄華に溺れる人々は気付かない。
 その栄華の、闇を駆逐した美しい夜の犠牲となった1人の科学者、月島博士のことを。

長瀬源五郎「止めるんだ、月島君! そんなことしたら……!」
柏木賢治「駄目だ、彼は暴走している!」
長瀬源五郎「くっ……我々はこの場より離脱する!」
月島「いいだろう! お前たちに新たなる夜の創造者になる資格はない!」

 ぎょろんっ!

 月島の背後で、巨大な瞳が世界を見下ろしていた。

月島「さあ……美しい夜を……美しい夜を、私は今度こそ手に入れるのだ!」

 ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっ!

 ……全ては、爆発の中に消えた。
 そして現代。
 月島博士の息子、月島拓也が人類に復讐する。

拓也「全ての罪を博士1人に押しつけ、自分たちは栄華に溺れる人間たちよ……思い知る
がいい!……『バシュタールの惨劇』を再び!」

 目覚めた謎の大怪球。
 地球上の全ての『シズク・ドライブ』が停止する。
 『シズク・ドライブ』に全てを頼り切っていた人類に為す術はなかった。
 そう。
 地球は停止したのである。
 だが……

長瀬「藤田君……マルチは……マルチは……」
浩之「はい……博士。マルチの動力は……『原子力』です!」

 次回スパリフF『ジャイアント・マルチ〜地球が停止した日〜』
 ……勝利の鐘、未だ鳴らず。

智子「……っていうか、そしたら『アクアシャワー』って……冷却水?(爆)」

 ……ヤバイだろう。
 色々な意味で(爆)

 でわでわ〜(汗)


注意・スパリフF第2話は、次回予告と内容が変わる可能性が100%の確率で生じます。