スパリフ大戦 第12話 投稿者:ジン・ジャザム
 闇。
 そう、そこは闇。
 瑠璃子と二人、身を寄せあって震えていたときと同じ闇。
 冷たい闇。
 ここは……寒い。
 でも、かまわない。
 瑠璃子が側に居てくれるから。
 瑠璃子だけが僕の総てだから。
 瑠璃子さえ居ればいい。
 世界なんていらない。
 僕と瑠璃子を否定する世界なんていらない。
 僕から瑠璃子を奪う世界なんていらない。
 壊してやる。
 ぜんぶぜんぶ壊してやる。
 僕はヒトではない。
 あのような、生まれたから生きるだけの、くだらない、つまらない、愚かしい、醜い、
生物とは違う。
 僕は……使徒だ。
 罪人たちから瑠璃子を救済するため、遣わされた使徒だ。
 ……神の怒りを代行せねばなるまい。
 狂った世界を壊し、正しき世界を取り戻すのだ。
 僕と瑠璃子が生きるための世界を創造するのだ。
 ……僕と瑠璃子に福音を。
 ……罪人たちに裁きを。
 酒を血に。
 金を砂に。
 死を。
 そして、再生を。
 審判の刻は近い。
 ……もうすぐだ。
 もうすぐだよ、瑠璃子。
 瑠璃子を苦しめる世界を打ち砕いて、すべての悲しみから救ってあげる……。
 ……瑠璃子。
 僕たちはついに解放されるんだ。
 ……なのに。

「……なのに……どうして泣く? 瑠璃子……。」

 雫。
 涙の雫がこぼれ落ちた。
 これは……瑠璃子の涙?
 それとも……泣いているのは……僕……なのか?


スーパーLEAF大戦 第12話『壊レタ瞳ニ宿ル色』


「……くだらない真似を。」
 祐介は、さも不愉快そうに呟いた。
 ……見捨てられた街。
 もう住む者もいないゴーストタウン。
 そこで祐介は、今、3人の女に囲まれていた。
 ショートヘアの女に、おさげの女、顔を包帯で包んだ女。
 3人が3人とも、沼の底の鯰みたいな瞳をしている。
 精神が『壊れた』者の瞳だ。
「でも……」
 今度はにやりと笑う祐介。
「君たちが出てきたってことは、月島さんが近くにいるってことだよね?」
 祐介はこの3人を知っていた。
 吉田由紀。桂木美和子。そして……太田香奈子。
 皆、月島に精神を破壊され、彼の意のままに操られている、いわば人形だ。
 特に香奈子は、祐介にとって、総ての始まりでもある。
 祐介は自分の身体に、何か熱いものがこみ上げてくるのが分かった。
 どす黒い歓喜が心を支配する。
「もうすぐだ……もうすぐ、貴方を壊してやることができるよ……月島さん。」
 視界の向こうでは、3人が戦闘態勢に入っているのが見て取れた。
「……沙織ちゃん、下がっていて。すぐ終わるから。」
「……う、うん。」
 祐介は電波を集める。
(……こんな奴ら、僕の電波で一撃だってことが分からないのか、月島さん!)
 3人は月島の電波によって、人間の本来持つリミッターを解除されている。
 自分の身体が壊れることも厭わずに、怪力を振るうことができるのだ。
 しかし、そんなものは電波の前には関係ない。
 祐介は電波の塊を3人にぶつけようとした。
 だが、その時!

ひゅるおおうるるる!

「!」
 本能が祐介の身体を動かした。
 身をひるったすぐ横を、白い何かが通り過ぎていく。
 それは近くのビルの壁にぶつかり、コンクリートを粉微塵に吹き飛ばした。
「な、なんだ!?」
 祐介がそちらに目を向ける。
 それは包帯。
 香奈子からまっすぐに伸びた包帯であった。
 その長さ、およそ数十メートル。
「!」
 祐介と香奈子の視線が合う。
 香奈子の瞳は金色に輝いていた。
 いや、香奈子だけではない。
 由紀、美和子も同様だった。
 そして、3人の身体が徐々に変化していく。
 ヒト、在らざるものへと。
「ま、まさか……祐くん、これは!」
 沙織が震える声で叫ぶ。
 祐介もまた驚愕の表情を浮かべている。

「お……鬼!?」

                                    つづく

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 またダークかい!?
 な感じの、ジン・ジャザムです。
 ヤバイ。
 雰囲気がだんだん違う方に流れていく(爆)
 これ……低俗パロディ小説なのに(爆)
 この後の展開……マズイな(汗)
 いや、もう、もっとダークになるとかそーゆーのじゃなくて、雰囲気が一変するって
言うか、その……色々と裏切るかも(水爆)

 さて、悩みに悩んだ12話。
「何でもいいから書くんだ! 書けば活路も開く! 0と1との間には無限の隔たりが
あるんだよぉ!」
 と頑張った結果。
 13話の前半部分と融合を果たしました(爆)
 う〜ん、『一つのシリーズ、5話』の法則が崩れそう。
 13話でああなって……14話がこうで……15話があんな感じだから……ギリギリ
大丈夫かな? 幸い、1話の長さには法則ないし(爆)
 ええい、ままよ!
 第1部完までもう少し!
 このまま突っ走るぜ!(……と連載始めたときも同様に突っ走って、今、大変な思い
をしています。←重要な部分くらい決めとけよ。)


 さて、次回のスパリフはぁ!?

 鬼と化した3人相手に苦戦する祐介!
 なぜ、3人は鬼と化したのか?
 月島は彼女たちにいったい何をしたのだろうか!?
 ……電波VS鬼の死闘が始まる!

 次回・13話『鬼ノ血ニ狂フ者』

 次回もこのチャンネルに、マジィィィン・ゴォォォォォォ!