スパリフ大戦 第13話 投稿者:ジン・ジャザム
 3人の姿が変貌していく。
 何故だ?
 何故、この3人から鬼の力が感じられる?
 柏木以外にも鬼の血を引く者が、この地球に存在するのか?
 しかし、彼女たちが鬼の血を引いているとしても、この肉体的な変化は説明できない。
 肉体的な変化が認められるのは男だけ。
 来栖川のコンピューターをハッキングして調べた資料にはそう記されていた。
 それに、だいいち彼女たちは皆、月島さんの下僕じゃないか!
 あいつは彼女たちに何かをしたのだ。
 人間を鬼に変貌させるための何かを!
 ……祐介の額から汗が流れ落ちる。
 やがて3人の変化が終わった。
 その姿は、今までの鬼と大きく異なっていた。
 異形。
 そう呼ぶのに相応しい存在。
 まず由紀。
 全身から無数の筒が生えている。
 それは銃口。
 肉で造られた銃口だ。
 特に2本の腕が、ひとぎわ巨大な銃口と化している。
 その姿はまさに、生きる砲台だった。
 次に美和子。
 翼。
 両の腕が翼と化している。
 純白の翼と。
 ……だが天使の姿には、ほど遠い。
 それは、殺意に……いや、狩猟の喜びに歪んだその顔のため。
 そして何より、その翼の羽根ひとつひとつが硬質化しているため。
 まるで刃を重ねたような翼だった。
 はたして、こんな翼で空を飛べるのか?
 しかし、美和子は飛ぶ。
 獲物を狩りに行くハゲワシのように。
 最後に香奈子。
 まず包帯がまるで触手のように蠢いていた。
 ……いや、あるいは本当に触手なのかも知れない。
 包帯に擬態した、獲物を捕らえ、握り潰すための触手。
 口には無数の牙が生えている。
 口を閉じてもはみ出るほどの、獲物を喰らい、肉をえぐるための牙。
 ……もはや3人は、正しき生命の在るべき姿を失っていた。
 祐介の瞳に映るのは魂も躰も狂える者だけだ。
 祐介の狂気に劫火が宿る。
 憎しみという名の劫火が。
「月島さん……貴方はどこまで他人を弄べば気がすむんだ!」
 祐介の叫びに呼応して3人……いや3匹の鬼が動き出した。
 戦いの始まりだ。


スーパーLEAF大戦 第13話『鬼ノ血ニ狂フ者』


う゛おおるん! う゛あるるん! べるおおん!

 由紀の無数の銃口から、闘気の弾丸が放たれた。
 祐介に弾丸の雨が降り注ぐ。
「祐くん!」
 近くの物陰に隠れた沙織が叫ぶ。
「ちぃぃぃぃ!」
 身動き取れない祐介に、今度は香奈子の包帯が襲いかかる。
(速い!)
 祐介はとっさに電波を集めた。
 攻撃のための電波ではない。
 その電波は祐介の中で弾けた。
 刹那、祐介は驚異的なスピードで弾雨をかいくぐり、香奈子の包帯から逃れた。
 そこに襲いかかってきた美和子の鉤爪もかわす。
 ……祐介はお世辞にも運動神経が良いとは言えない。
 その祐介が今、人間離れした動きを見せていた。
 自らの脳を電波でコントロールしているからだ。
 リミッターを解除し、人間の限界まで力を引きずり出す。
 五感を最大まで増幅させ、膨大な情報を一瞬のうちに処理して行動に移す。
 脳内の分泌物を操り、理性と闘争本能を融合させる。
 思考が疾走する。
 自分以外の全てがまるで静止したように見える。
 そして……駆ける!
 由紀の弾丸が自分を追いかける。
 無駄だ。
 この静止した世界では自分が支配者なのだ。
 祐介は香奈子の真正面まで駆けると、そこで消えた、ように見えた。
 寸前で直角に跳躍したためだ。
 はたして由紀の弾丸は香奈子に命中した。
 勝機!
 祐介は再び電波を集める。
 今度こそ攻撃の電波だ。膨大な量の電波が収束し……
「おとなしく……寝ていろぉぉぉぉぉぉ!」
 放たれた! 
 電波は香奈子に襲いかかる。
 さすがに元が人間なので手加減はしてある。だが防御手段を持たない香奈子を行動不能
にするには充分なほどの電波量だ。
(よし……あと2人!)
 祐介が勝利を確信し、残る2人にも電波を放とうとしたとき。

ぱしゅぅぅぅぅ!

「……なっ!」
 祐介の電波は香奈子に届くことなく霧散した。
「こ、これは……ぐああああああ!」
「きゃああああ! 祐くぅぅぅぅぅん!」
 祐介が唖然とした、その隙をついて美和子の翼から放たれた刃の羽根が祐介に突き刺さ
った。祐介の身体から血が迸る。
「く……くそっ!」
 祐介は血管を収縮することで流血を止めた。
 3匹の鬼は動かない。まるで何かを待つように。
「……僕の電波が散らされた……こんなことができるのは一人しかいない……!」
 祐介が苦しそうに呻いた。
 しかし心の奥ではマグマが燃えたぎっていた。
 憎悪という名の怪物が祐介の心臓を食い破り、狂気の世界から具現化しようとしている。
 祐介は力の限り叫んだ。
「いるんだろ、月島さん! こそこそと隠れてないで出てきたらどうだぁぁぁぁ!」
 その叫びに答えて、奥の闇から1人の男が姿を現した。
 その姿はまぎれもない、祐介が追い続けた総ての狂気の元凶……

「やれやれ……長瀬祐介君、君は乱暴だな……僕の玩具なんだ。もう少し丁重に扱ってく
れるかい?」

 月島拓也。
 もう一人の『雷帝』。

                                    つづく

………………………………………………………………………………………………………………

 『鬼』の定義っていったい何?
 てな感じの、ジン・ジャザムです。
 いや〜、香奈子たち見事に化け物と化してますなぁ(爆)
 ……どこら辺が鬼だよ、おひ。
 元ネタは、私の敬愛する熱血ロボットアニメ『某武闘伝G』より某四天王。
 つまり由紀はチャップ○ンで美和子が○ケロ、香奈子はア○ンピーかウォ○か……じゃあ
何かい? 月島先輩は東方○敗かい?(笑)
 とりあえず香奈子のファンの皆様はごめんなさい。
 由紀と美和子のファンは……いたらごめんなさい(笑)


 次回予告!!!!

「わぁぁぁぁん、さおりん! 月島さんがいぢめるんだよぉぉぉぉ!」
「もう、しょうがないなぁ祐くんは……こんなときはコレ!」
 じゃじゃじゃ〜んっ!
 ポケットから道具を出すさおりん。
「『破壊爆弾』!」
「………………。」
「……みんな滅ぼしちまえよ……まとめてな。」
「……わかったよ、さおりん……(にたり)」

 次回・第14話『愛ト狂気ト悲シミ、ノ』

「のび犬くん……実は僕、未来を変えるために君を……殺しにきたのさ。」
「ええええええええっ!」

(ロボットもの……だな、一応。)