スーパーLEAF大戦・第10話 投稿者:ジン・ジャザム
 瀕死の浩之は朦朧とする意識の中で、マルチの悲鳴を聞いた。
 心に直接響く、悲痛な慟哭。
 それが浩之をわずかにだが現実に連れ戻した。
 目を開く。
 ……鬼だ。
 鬼がいる。
 鬼は地面に倒れる『何か』にその爪を突き刺す。
 何度も、何度も。
 その光景は、獲物を啄(ついば)む猛禽類を連想させた。
 もしくは雌を陵辱する雄を。
 そしてその『何か』が
 『マルチ』
 であると気付いたとき

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
 
 浩之の身体を爆炎が包み込んだ。


スーパーLEAF大戦 第10話『ELCTRIC LORD』


 爆炎を纏(まと)い、鬼に襲いかかる浩之。
 その姿はいずれ、不死鳥と化した。
 死してもなお、炎の中から甦る伝説の鳥。
 破壊と再生の象徴。
 しかし浩之が与えたいのは『破壊』だけだ。
 鬼の骨の髄までを焼き尽くすがためにその翼を広げる。
 浩之と、鬼が咄嗟に張った闘気の壁とがぶつかり合った。
 爆音が轟く。
 浩之も鬼も一歩も引かない。
 全力対全力の戦いであった。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「ぐるわあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 二つの声に呼応して、炎と闘気がさらに激しく燃え上がった。


「こ、これは……まさか……。」
 絶望に打ち拉がれていた長瀬が、浩之の姿を見て驚愕の表情を浮かべた。
「会長のお孫さんが言っていた、祖霊(トーテム)の力……まさか、藤田君の中に眠っていたとは……!」
 柳川と千鶴も真剣な表情でモニターを見つめている。
「……まったく、驚くようなことばかりね……。」
 千鶴が小さく呟いた。


 しかし、この戦いも長くは続かなかった。
 浩之は瀕死の重傷を負っている。
 こうしている間にも、えぐれた脇腹からは血が流れ続けていた。
 そしてついに、
「く……そ……っ」
 力尽き、地面に伏した。
「……機械ノ身体ニ宿ル生命ノ炎ニ、闘気ニ呼応シ具現化スル生命ノ炎……。コノ星ノ生物
ハ、ナカナカニ興味深イナ……」
 浩之を見下ろす鬼。
 そして
 
「ダガ……モウ飽キタ。」

 残酷な宣言。
 鬼の爪が振り下ろされた。
 これで今度こそ、全ての希望が打ち砕かれる……はずだった。
「……!」
 鬼の爪が、浩之の頭の上でピタリと止まった。
 その格好のまま動かない。
 よく見れば、鬼の身体は細かく震えている。
 まるで金縛りにでもあったかのように。

「そこの鬼……君に聞きたいことがある……。」

 鬼の背後から突然、声が聞こえた。
 鬼は首だけを何とか、そちらの方に向ける。
 ……そこに立っていたのは少年。
 浩之の学校のものとは微妙に違うデザインの学生服。
 お世辞にも屈強とは言えない体躯。
 まだ幼さを残す顔つき。
 特に目立つところのない、ごく普通の少年だった。
 ……だが
 瞳。
 瞳だけが違った。
 絶対に違った。
 普通の少年が、こんな瞳をしているわけがない。
 怒りと
 憎しみと
 悲しみと
 狂気
 それらがどろりと混じり合い、ぎらぎらと輝く瞳。
 見る者を吸い込む、暗黒の瞳。

「……答えろ……この男に見覚えはないか……?」

 長瀬祐介。
 それが少年の名。
 運命を知り、しかし抗う術を知らぬ者。
 復讐と狂気にその身を委ねる者。

 『雷帝』の降臨である。

                                    つづく    

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 はろはろ
 ジン・ジャザムです。

 さて東鳩編も一区切り。そろそろ雫編に突入する予定です。(痕編が1〜5話、東鳩編
は6〜10話……うみゅ、区切りがいいじゃないか。)
 しかし、10話にして話がパターン化してきましたな。今回の東鳩編なんて、セリオが
来て、マルチが戦って、浩之が目覚める……詰め込みすぎかも(汗)
 もともと、浩之の復活は話のプロットに組み込まれていなかったのですが、よくよく考
えると「こいつ……主役の一人のくせに、まるっきり目立ってねぇ(爆)」状態だったの
で、急遽ストーリー変更。今後の浩之への伏線を張っておきました。
 現段階では、浩之が何のロボットのパロかは分からなくなっています。
 分かったらはっきり言って異常(笑)
 ちなみに祖霊(トーテム)の設定はまったく関係ありません。元ネタとこじつけるため
の設定です。ちなみにトーテムは『シャドウ・○ン』から借用したアイデア。ロボットも
のじゃないです……『シャドウ・○ン』を知っている人は、俺と同じ趣味を持っている人
か、スーファミorメガドラCDのゲームを知っている人(笑)
 ……ホントに関係ねぇや(爆)
 まあ今、悩まなくても、次に浩之が登場したときに一発で分かります(笑)
 最悪でも、スパロボをプレイしたことのある人なら絶対です(俺も原作は見たことないし)

 一方、祐介の方。
 台詞で気付く人は気付きますね。俺の魂の作品、ついに登場。
 しばらく、この作品のパロが続きます。
 雫に熱血系ロボットパロ……すんげぇミスキャスト(爆)

 さぁて、そろそろ試験勉強、レポート、課題をやらないとな(爆)
 今回、まぢでヤバイかもな、俺。
 ミクロと商法と経済学史とマルクス辺りが特にな、俺。
 ……よく考えりゃ全部ぢゃねぇか、俺!(←書いてて気付いた)

 学生の本分は勉強です。もっと頑張りましょう>俺


 感想のようなものとかレスのようなもの

>久々野 彰さま
 『Solitude』シリーズ、良さげです。
 俺も何だか、シリアス系書きたくなってきました。でもネタないし(爆)
 さて、スパリフ最終回クイズ。答えは

 7.雅史「僕が浩之だ!」
   浩之「雅史ぃぃぃぃぃぃ!」
   交差する2人の身体、そして剣。
   ……宙を舞う雅史の首。
   その首を抱きかかえながら、浩之は泣く。
   浩之「お前は雅史だよな……雅史だよな!」
   結界は守られ、世界は救われる。だが……
   最後に浩之、あかり、雅史の3人が映った、古い写真が現れる。
   雅史「……浩之。君が僕たちを守ってくれるなら、僕は君を守ってやるよ……。」
   (ED曲 X−JAPANの『FOREVER LOVE』)

 でした。……全然ロボットじゃないうえに、ネタが風化してますね(爆)
 見てない人多そうだな、この映画……ごめんなさい(自爆)

>ゆきさま
 『欲望の続き』読ませてもらいました。
 こういう作風も持ってらっしゃるのですね(感嘆)
 かなり魂、震えました……って、何でダークな話ばかりに惹かれる、俺?(爆)
 俺は正義を信じる熱血漢なんだ! ダークなんて……ダークなんて!
 「無駄なんだよ……本能には逆らえないんだよ。」
 ああ! もう一人の俺(ダーク)!
 「今日が明日、明日が明後日になるだけだ。なら耐えるだけ損じゃないか。さあ、
 俺を解き放て! 自由にしろ!」
 OK!
 「……おい。弱すぎるぞ、もう一人の俺(理性)」
 ……というわけで、あっさりダークに飲み込まれました(爆)
 ダークに徹しれませんか?……分かります、その気持ち。
 でも、俺なら「──涙を流した」で終わらせるんだろうな。
 俺(ダーク)だし(爆)
 こんな外道な人間になってはいけませんよ、ゆきさま(笑)

>岩下  信さま
  やった、久々のKOFだっ!
  決勝戦の行方がどうなるか、楽しみに読ませてもらってます。
  あかりの超必殺技は『風神』の力を利用した『地獄極楽落とし』で決まりだ!(無茶
言うな、俺)

>アルルさま
  最高に熱いぜ!アルルさま!
  最近の、作品に対する情熱、しかと伝わってきます。
  『いのりたまへ  かなえたまへ』にしかり。
  今後の作品を楽しみにしています。

>鈴木R静さま
  みんな、モテ○テ王国が好きですな(笑)
  爆笑しました。
  しかし、何故みんな橋本と矢島をセットにする!?
  ジオンの陰謀でしょうか?(笑)


  ……さて当分、先の話になりますが、最終回のテーマが固まりつつあります。

  『残酷な天使のアンチテーゼ』

  これでいこうかな、と(爆)
  まあ、テーマってほど立派なモノじゃないですが(こんな作品だし)、俺の愚直な、
熱い魂をぶつけてみたいと思っております。
  今後も、スパリフとジン・ジャザムをよろしくお願いします。
  かしこ。