スーパーLEAF大戦・第4話 投稿者:ジン・ジャザム


「準備はいい? 耕一!」
「……ああ。」
「耕一さんを射出口へ!」
「……射出口って、千鶴さん、ただの業務員用エレベーターじゃあ……。」
「発進!」
「………………。」
 耕一はエレベーターを使って、鬼のいるロビーに辿り着いた。
 ロビーは鬼によって破壊し尽くされていた。
「くっ……奴は!?」
 周りを見回す耕一。
 ……いた。
 鬼だ。
 鬼の方も耕一の存在に気付いていた。
 金色の双眸が耕一をとらえる。
「うっ……。」
 それだけで耕一の身体は竦んでしまう。
 蛇に睨まれた蛙。
 そんな耕一を千鶴たちは鶴来屋の司令室から見守っていた。
「……がんばるんだよ、耕一!」
 梓はモニターに映る耕一に向かってそう呟いた。


 スーパーLEAF大戦 第4話『暴走』


「く、くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
 耕一は、そこらに転がっていた鉄のパイプを掴むと鬼に殴りかかった。

 がつっ!

「ぐっ! 痛ぅぅぅぅぅぅ!」
 しかし、返ってきたのは鋼鉄を殴った衝撃だった。耕一の腕が痺れる。
 無論、鬼の方はまったくの無傷だ。
 戦闘タイプのセリオが装備する、最新兵器の数々を跳ね返した身体である。
 人間がどうこうできる存在ではないのだ。
「いけない! 耕一お兄ちゃん、逃げてぇぇぇぇ!」
「!」
 出撃前に渡された小型通信装置から、初音の叫びが聞こえる。
 しかし、遅かった。
 鬼は片手で耕一を掴むと、そのまま軽々と持ち上げた。
「ぐっ!……は、離せぇぇぇぇ!」
 暴れる耕一。しかし、鬼から逃れることが出来ない。
 今度はもう一方の手で、耕一の左腕を掴む。
 そしてそのまま、軽く、力を込めた。
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 ひみしっ

 嫌な音がした。
 見れば、耕一の腕からは血が吹きだし、折れた骨が突き出ている。
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
 絶叫。
 鬼はそんな耕一を見て笑っていた。
 まるで、昆虫の脚や羽根をもいで遊ぶ子供のように。
 そしてそのまま、耕一を壁の方へと投げる。
 ……もの凄いスピードだった。
 耕一の身体は壁を突き破り、鶴来屋を出てとなりのビルを粉砕した。
「耕一ィィィィィィ!」
 梓が悲鳴をあげる。
「……生命反応なし。柏木耕一、完全に沈黙!」
 オペレーターが叫んだ。
「えっ……!?」
 梓たちの顔が青ざめる。
「生命反応なし、って……!」
「つまり……そういうことです……。」
「そ、そんな!……起きて、耕一お兄ちゃん! 起きてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


 ……耕一は闇の中にいた。
 冷たく、寒い闇。生命を否定する闇。
 それは、死。
(…………死ぬのか、俺は……。)
 朦朧とする意識。
(……これが『死』か……なんて冷たい……そして、寂しい……。)
(……やだな……こんなのは……誰も……誰も側にいないなんて……怖い……。)
(……あれ? でも、前にも確か……)
(こんなことがあったような……)
(いつのことだ……?)

 気付くとそこは水の中だった。
 暗く、冷たい水の中、自分の脚から流れる血が視界を赤く染めていた。
 水面へ浮き上がろうと、耕一は足掻く。
 だが、脚に絡まったワイヤーが、それを許さなかった。
 だんだん苦しくなる呼吸。
 気が狂いそうになるほどの、孤独。
 怯える耕一。
(……死ぬのは嫌だ…………死ぬのは嫌だ…………死ぬのは嫌だ…………死ぬのは嫌だ……
……死ぬのは嫌だ…………死ぬのは嫌だ…………死ぬのは嫌だ…………死ぬのは……)

(嫌だっっっっっっっっ!!!!!!!!!!)

 刹那、耕一の身体から何かが這い出る。
 溢れる力。
 暗転。

 ……耕一と向かい合う梓、楓、初音。
 しかし、何故か3人とも子供だ。
 いや、4人。耕一本人も子供だった。
 3人の顔には驚愕と脅えが浮かんでいる。
 そんな3人を見て……
 殺戮の衝動に駆られる耕一。
 必死に抵抗する、もう一人の自分。
 だが。

 ひゅおおおおおっ、ざしゅ。

 紅に染まる視界。

 ……3人の返り血を浴び、恍惚とする耕一。
 噎(むせ)び泣くもう一人の自分。
 ふと、自分を見つめる人影に気付く。
 振り返る耕一。

「……お父さん……。」

 酷く蔑む眼で、耕一を睨む父。
「ち、違う……違うんだよ、お父さん! これは違うんだ……!」
 必死に弁明する耕一。
 しかし、父は耕一に背を向け去っていく。
「ま、待って! 僕を捨てないでお父さん! 僕を一人にしないでお父さん!」
 叫ぶ耕一。

「お父さん……お父さん……お父さん……親父ィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」

 しかし叫んでいたのは、『今』の耕一だった。
 『子供』の耕一が、酷く蔑む眼で、『今』の耕一を睨む。

「自分から逃げたくせに。」

 暗転。

 たくさんの新聞の、ゴシップ雑誌の記事。
『鶴来屋・前会長夫妻に引き続き、会長代理、事故死。』
『呪われた柏木一族!』
『後継者は前会長の長女、美人会長!』
 たくさんの、忌々しい声。
「柏木千鶴! この女は自分の両親と、叔父を殺した疑いがある!」
「虫も殺さないような顔しているのにねぇ……おお、怖っ」
「自分の肉親を殺すなんて……この悪魔め!」
「柏木千鶴……とんだ女狐だな。」

「違う!」

 叫ぶ耕一。
「違う違う違う! 千鶴さんがやったじゃない!……親父は……親父は!!!!!!」
 世界が白く染まる。
 そして、父の姿。

「…………笑っていた…………。」


 とくん。
 耕一は、炎を見つめていた。
 とくん。
 美しい炎。
 とくん。
 命の炎。
 とくん。
 その生命の歩んだ道程を糧に
 とくん。
 燃える炎。
 赤く。
 とくん。
 赤く。赤く。
 とくん。とくん。
 赤く。赤く。赤く……
 とくん。とくん。とくん……
 赤く。赤く。赤く。赤く。赤く。赤く……
 とくん。とくん。とくん。とくん。とくん……
 赤く。赤く。赤く。赤く。赤く。赤く。赤く。赤く。赤く。赤く。赤く。赤く……!
 とくん。とくん。とくん。とくん。とくん。とくん。とくん。とくん。とくん……!

 かっ!!!!!!!!!!!!

 耕一は眼を見開いた。
 その瞳は、あの鬼と同じ、金色の双眸だった。

                                     つづく

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 前回より、さらに長くなっちまったよ。しかも、話は進んでねぇ(ToT)
 みなさん、おはこんばんにちわ、ジン・ジャザムです。第4話、完成しました。
 ……ところで『暴走』してねぇや、今回(爆)
 しかし、今回と次回でやりたいエ○ァ・ネタはほとんどやり尽くした。
 ロボット系のパロディとか言って、現段階ではただのエ○ァパロだったしな。
 あっ……もう一つあったか。……サテライト・キャノン(^^;)
 次々回からは、他のパロディも加わってきますが……うーん、使えそうなロボットネタが少
ない。よくよく考えれば、ロボットアニメってGガン、W、トップ、えば、ガガガくらいしか
まともに見てないよーな(おひ) あとはダン○インとガ○ダムを少々。パトも見てたけど、
スパロボぢゃねぇし……(次回作で出たら怖いぞ、イデ○ンVSイ○グラム)
 つーわけで、こんなスパロボネタが欲しいぜ!という意見が聞きたいな……って、ダメ?

 ちなみに今後、活躍予定のキャラたちです。

 耕一、千鶴、初音、柳川(やっぱし)、裕之、マルチ、セリオ(プロトタイプ)、レミィ、
祐介、瑠璃子、月島、長瀬

 この辺りがほぼ確定で。

 雅史、綾香、芹香、葵、セバスチャン、楓

 こいつらも何らかしらで使えないかなと。ちなみに選考基準はたまたまネタが作りやすかった
ってだけです。決して「○○?……どーでもいいや。無視無視。」とか思っとりませんので、
他のキャラのファンの方は激怒しないで下さいませ。
 もし「○○は、どーこーゆーネタで絡められるだろう! この馬鹿弟子がぁぁぁぁぁぁ!」とい
う意見があれば、遠慮なくどうぞ。実現できるかどうかは分かりませんが(逃げるな)

 さぁて、次回のスーパーLEAF大戦はぁ!?(声=神谷明)
 ついに始まる耕一の反撃! 柏木に秘められた力とは?

 次回・第5話『鬼神』

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