スーパーLEAF大戦・第3話 投稿者:ジン・ジャザム


「久しぶりですね……耕一さん。」

 耕一の目の前には、あの黒髪の美女がいた。
 よく知っている顔だった。
 戦場の様子を映すモニターが、見つめ合う2人を照らす。
「……千鶴さん。」
 耕一が女の名を呼んだ。
 しかし千鶴はただ、冷たい瞳で答えるのみであった。


 スーパーLEAF大戦 第3話『出撃』


 ショートヘアの少女――従姉妹のひとり、梓に連れられて辿り着いたのは大きな旅館だった。
 『鶴来屋』
 耕一たちの祖父、柏木耕平が創立した、隆山最大の温泉旅館である。
 現会長は柏木千鶴。
 つまり、目の前の美女である。
「……先程、町で奴に遭遇しましたね。」
 再会の挨拶もなしに、千鶴は話し始めた。
「えっ!? ええ……でも、あれはいったい……。千鶴さん、何か知っているのですか?」
 千鶴の雰囲気に戸惑いながらも、耕一は訊ねた。
 ちょうど部屋に据え付けられたモニターでは、例の鬼が戦闘タイプのセリオを全て破壊したと
ころだった。
 爆炎が町を赤く染め上げる。
 モニターを一瞥してから、千鶴は答えた。
「あれは鬼……生命を狩る者。私たち人類共通の敵。そして……」
 ここで一旦、言葉を区切る。
 続いて、千鶴の口から出たのは、耕一にとって信じられない台詞だった。

「耕一さん。貴方が倒すべき目標です。」

  ……しばしの沈黙が流れた。
「な、……何を言っているんだよ、千鶴さん。いったい、なんの冗談……」
  笑ったつもりだった。
  しかし、実際には顔が引きつっただけだった。
「冗談ではありません、耕一さん。貴方は奴と戦い、そして勝つのです。」
「ちょっ、ちょっと、千鶴姉! いくらなんでもそりゃ……耕一はまだ『覚醒』してないんだぞ!」
 今まで、横で2人を見守っていた梓が口を挟んだ。
「梓……時間が無いのよ。今は、わずかでも奴に勝てる可能性をもった耕一さんを戦わせるしかな
いの……。」
「………………。」
  再び沈黙。
「なぜ……俺、なんですか?」
  その沈黙に耐えられず、耕一が口を開いた。
「貴方でなければ、無理だからです。」
「そ、そんな! あんな化け物と戦えなんて、勝てるわけないよ!」
「……多くは望みません。奴と戦い、勝ち……さらには鶴来屋の被害を、可能な限り最小限に食い止
めてくれれば……それ以上は何も望みません。」

(……メチャクチャ、わがまま!)

  耕一と梓の心の声がハモった。
「で、できるわけないって! 勘弁してよ、千鶴さん!」
  必死に抵抗する耕一。
「……耕一さん、戦うなら早くしてください。でなければ……帰ってください。」
「千鶴さんのほうから呼び出しておいて、その言い草はなんですかっ!」
 まったくだ。
「………………。」
 千鶴は黙って電話の受話器を取り、内線に繋げた。
「……足立さん、楓を起こしてください。」
「人のツッコミを無視しないで下さい……。」
「楓……予備が使えなくなったわ。出撃よ。」
「………………。」

  しばらくして、部屋に楓──柏木姉妹の三女が入ってきた。
  後ろには末女、初音もいる。
「………楓……ちゃん?(疑問形)」
  楓の姿を見た耕一が凍り付いた。
  無理もない。
  楓は包帯をグルグル巻きにしたミイラ姿だったのだ。
  しかも、ご丁寧にギブスつきで。
 ……ほとんど、ギャグ漫画に出てくる怪我人である。
 そうじゃなきゃ、明治政府転覆を企む人斬りか。
 そして何より一番怖いのは、その格好が似合っていることだった。
「………どうしたの?」
  当然の疑問だった。
「……仕事、ですから。」
 あくまで表情を崩さない楓。
「……耕一お兄ちゃんの人情と罪悪感につけこんだ心理作戦だって、千鶴お姉ちゃんが……。」
  そう答える初音は、なぜか恥ずかしそうに俯いている。
「…………………………………………。」
 気まずい沈黙が流れた。
 その沈黙を打ち破ったのは、千鶴の叫び声だった。
「そ、そんな!……耕一さん、こんな楓を見て何も感じないんですかっ!!!!!!」
「うわぁぁっ!……えっ?」
「この娘は、こんな大怪我を負ってまで、あの鬼と戦おうとしているんですよ! それなのに耕一
さんは、けなげなこの娘を見捨てて逃げるって言うんですかぁぁぁぁ!」
 悲痛な叫び。
「ち、千鶴さん……?」
「ひどい、ひどすぎるぅぅぅぅ! 耕一さんは私たちを捨てるのねっ! 私の肉体だけが目当てだっ
たのねぇぇぇぇぇぇ!」
 ……なんか悪いモンでも食ったんだろーか?
 耕一でなくても、そう思いたくなる。
 とにかく、千鶴が向こう側にイっちゃいそうだった、そのとき。

ごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごっ……!

 爆音が、鶴来屋を揺るがした。

「……目標、我が鶴来屋に攻撃を開始! ロビー破損!」
 スピーカーから、報告が入る。
「……奴め、ここに気付いたのね……。」
「気付くも何も、普通に建っているだけだろう、この旅館……。」
 シリアスな千鶴に、梓がツッこむ。
「………………もうダメぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! お終いよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「ち、千鶴お姉ちゃん! 落ち着いてっ!」
 情緒不安定だな、おい。
「………………。」
 でも、いきなり静かになる。
「耕一さん……。」
 そして悲しい、しかし決意のこもった声で耕一の名を呼ぶ千鶴。
「な、なに? 千鶴さん?」
 野生の本能か、身の危険を感じる耕一。
「貴方を……殺します。」
 気付けば、千鶴の手には包丁が握られていた。
「でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! どこからそんなものをっ!?……い、いや! それよりもっ!
何でそういう展開になるんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「だって私たち、もうダメなんですよ! バットエンドなんですよ! 悲惨なH・CGがアルバムモー
ドに追加されるんですよ!! そんな辱めを受けるくらいなら……ここで一緒に死にましょう! そして、
来世で幸せになりましょう、耕一さん……!」
「だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
 千鶴の目はまぢだった。
 戦慄が、耕一の全身を駆け巡る!

(……逃げたら殺される! 逃げたら殺される! 逃げたら殺される! 逃げたら殺される! 逃げたら殺
される! 逃げたら殺される! 逃げたら殺される! 逃げたら殺される! 逃げたら殺されるぅぅぅ! )

「わ、分かりました! 千鶴さん!……俺が、俺が戦いますぅぅぅぅ!!!!!!」
 そう宣言してから、耕一は千鶴にハメられたことに気付いた。
 ぎ、偽善者……。

                                           つづく

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 て、低俗なパロディ……(自爆)
 とりあえず、全国80億6千万の千鶴さんファンを敵に回したジン・ジャザムです。
 メールアドレスは……よし、抹消済み!(嘘。ホントはアドレス持っていないんです。)
 でもホントは俺、歴代リーフのキャラでは千鶴さんが一番萌え萌えなんです。だから許して(←何故だよ)
 しっかし、第3話にして完全に壊れましたな、この小説。
 第1話となんか雰囲気、全然違うやん。
 しかも一番長ぇ(爆)
 『東鳩』メイン編はかなりシリアスになる予定なのにな……。いいのか、俺。
 と、とりあえず呆れずに付き合ってくれ! 熱い話もあるから!……多分。

 さぁて、次回の『スーパーLEAF大戦』はぁ!

 ……言わねぇと分からねぇか、この小説?
 はっきり言って、モロばれやん、今後の展開!(核爆)

 次回・第4話! 『暴走』

 やっぱりかい!(超新星爆)