KAKAの奇妙な冒険第1話  投稿者:熊本不仁


KAKAの奇妙な冒険
    第1話   悪霊にとりつかれた少女

 楓ちゃん・・・。
可愛いよ、楓ちゃん。

 楓ちゃん、明日の試験頑張ってね。
うん。

 楓ちゃん、何か食べる?
帰って梓姉さんの料理が食べたいです。

  楓ちゃん・・・。
ねえ、楓ちゃん・・・。

「耕一さん、静かにしてくれませんか?」
少し時を孕んだ視線。彼女のおかっぱの髪が揺れる。
「わ、わかったよ・・・」
さしもの最強のエルクゥ、耕一も、そのすごみのある表情に、一歩退いてしまった。
「皆さん、本当は優しい子なんですよ。そんなことができる子じゃないんですよ。また性格反転ダケでも食べたのかなぁ・・・?」
ドオォーン!

  柏木楓・・・16歳。
  身長は見た感じ高くもない。
 父親はエルクゥで、すでに母親と自殺をしている。
 彼女の従兄弟に当たる柏木耕一は、彼女の姉、柏木千鶴に頼まれ、はるばる高山まで帰郷していた。早速に鶴来屋まで出向き、今ある部屋へと向かっている。廊下には、耕一他2名の靴音が響いていた。
「耕一さん、お久しぶりですね。いつ以来ですか?」
千鶴の経営する旅館「鶴来屋」の職員は、耕一に微笑んでそう問いた。耕一は、少し黙考し、
「親父の49日以来だから・・・1年ぶりですね」
と、淡々とした口調で答える。しかし、すぐにハッとした表情に変化し、
「それで、楓ちゃんは何をやらかしたんです?」
聞いて置いて、急いで耳をふさぐ耕一。
「あぁ、聞きたくない、聞きたくない」
「あのですね、特に大したことをやったワケじゃないんですが・・・」
2人の職員も、さすがに呆れ顔だ。
「ただ、何故だかこの鶴来屋の一室に籠もってしまって・・・」
「耕一さん、なんとか説得して出して下さいよ」
「はい」
そして、足音が止まった。
「ここです」
1人の職員が、木のドアをノックする。
「楓さん、耕一さんが来ましたよ。楓さん、出てきて下さい」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
かちり、と鍵が開く音がした。ゆっくりと扉は開き、楓の愛くるしい顔が耕一の目に飛び込んだ。
ズオオオオオオオ!
「耕一さん・・・」
「か、楓ちゃん」
「明日、帰って下さい。私は暫くここから出るつもりはありません」
「・・・?」
「私には『悪霊』がとりついているんです。『彼女』は私に何をさせるかわかりません。この前も、お塩と砂糖を間違って入れてしまって、千鶴姉さんよりも凄い料理を作ってしまったんです」
唖然とする耕一。
「だから私を、この部屋から出さないで下さい」
「楓ちゃん・・・」
プシーュッ
楓の手には、いつの間にかファ○タの缶が握られており、彼女はそれを開け、ちびりちびりと飲み始めていた。
「ジュ、ジュースだ」
「部屋の中でジュースを飲んでいる・・・。楓さん、それをいつの間に!?」
すると、楓はその間を棚に置き、
「『悪霊』ですよ。『悪霊』が持って来るんですよ」
カチリ
今度は楓の耳にいつの間にかイアホンがはめられており、そして手には一冊の雑誌が握られていた。
「うぉぉぉぉん!げ、月刊コン○ティークを読みながらMDウォークマンを聞いているッ!ど、どうやって!?」
「な、何が起きているんだ、これは!?」
口々に騒ぐ職員達。その時、楓はキッと決意の眼差しをした。
「間って下さい。この程度のことでは無理矢理部屋から出されるかもしれません。『悪霊』の恐ろしさを披露します。私を外に出したら、どれだけまずいかを教えるためには」
ドン!
耕一は何とも不思議な光景を目にした。鬼化するならともかく、楓の伸ばした右腕から、もう一本の右腕が生えてきたのだ。その腕が伸び、職員の一人に迫る。その腕は、職員のズボンの右ポケットに入り込み、そこにあったタバコの箱とライターを取り出す。だが、彼が気がついた様子は微塵もない。
  彼は彼女の手にあるものを見て、ようやくそれに気がついたようだ。
「ああああー!わ、私のタバコが!」
「と、とらてしまった。な、何故!?」
狼狽える二人には、落ち着きがない。どうやら二人にはあのもう一本の右腕は見えていなかったようだ。
「貴方達、見えなかったんですか?今の私の『悪霊』が!」
彼女は、タバコを一本だけ取り出し、火をつけ、その火のついた部分を自分の頭に向ける。「見えないのなら、これでどうです?」
楓は、それを自分の頭に近づけていく。
「か、楓ちゃんーッ!」
耕一が手を伸ばすが、届くタイミングではない。だが・・・
ピン・・・
赤々としていた箇所はまたももう一本の手によってはじき飛ばされ、廊下へと静かに落下した。
「私の後ろに誰かがいます。最近とりつかれたようなんです。エルクゥとは、また別物のようで」
耕一は、ただただ彼女の言葉に耳を傾けることしかできなかった。
「柏木家は代々不思議な力があるけど・・・楓ちゃんの身に、い、一体何が・・・?」

                      to be continued・・・


 どうも、皆様初めまして。熊本不仁と申します。いや、こういうことをするのは初めてなんですが、まぁ、やっていて楽しいこと楽しいこと。病みつきになりそうです。あ、わかるとは思いますが、JOJO×Leafのお話です。ストーリーはJOJOで、キャラはLeaf。私にとっては、夢のような組み合わせで御座います。尚、配役については作者が一番愛を注ぐ楓ちゃんが主役、条太郎。耕一がホリィ。千鶴がジョセフ。さおりんがアヴドゥルとなっています。これから後も、原作からはとても考えられない掛け合わせでキャラが登場します。作者が楓ちゃんほどではないにしろ愛を注ぐ神岸あかりや芹香お嬢様なんか、あんな役で・・・。もう、溜息ものです。ま、自分で考えたことは考えたんですがね・・・。ともかく、末永く続けていきたいです。それでは。

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