その時  投稿者:霞タカシ


1.東鳩

 電車の踏切。ちっちゃい頃はなんだかとても不思議な感じのするところで、けっこう好きだった。
 今日は浩之ちゃんと新しく開店したスーパーへお買い物、踏切を渡る私達。

「あ、やべぇ」
「急ごう、浩之ちゃん」

 ちょうど電車が来るみたいで、警報機が鳴る。浩之ちゃんは遮断機の下へササッと駆け寄った。
わたしも慌てて浩之ちゃんのところへ。
 浩之ちゃんは下りかけた遮断機を支えて待っていてくれた。

 でも、わたしが無事通った後も、浩之ちゃんはその恰好のまま。

「……なにしてんの?」
「早くしろ! 女子供が先だ!」

 ――浩之ちゃん、楽しそう。



2.電波

「祐くん、祐くん!」
「どうしたの新城さん、突然」

 電波は出してないし、変な電波も飛んでないはずだけど。悪い物食べた?

「踏切!」
「は?」
「だから、踏切なんだよ!」

 うん、あるよ、目の前に私鉄の踏切。あ、鳴り始めた。

「いけない!」
「新城さん?!」

 新城さんは下がり掛かった遮断機をガッシと受け止めて叫ぶ!

 ちりちりちりちりちりちりちりちりちりちりちりちりちりちりちりちりちりちりちり

 そんなさおりん、みたくない。



3.隆山方面

 耕一が初音を連れて散歩してると思いねぇ。

「おっ、踏み切りかぁ。これみると呑み会思いだしちゃうんだよな」
「なんで呑み会なの? ぜんぜんわかんないよ」
「いやね、酔って前後不覚になった奴が下りかけた遮断機で……」
「……実演しないでね、お兄ちゃん」
「ううう、これだからエルクゥって奴はぁ」

 耕一男泣き。大体おんなじ時間に包丁を研ぐ人×2とかいたりして。



4.電車で1時間くらい行ったあたり

「これだ! これだよマイぶらざぁ! 次のネタはこれで……う」

 端希、消火器はまずいと思うぞ。せめて変身ステッキくらいにしとけ。南さん来ちゃうだろ。


おわれ。



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