鬼神異伝 投稿者神風 1.業(ゴウ) ……真っ暗だ、どこだよ……ここ? 浩之は光すら届かぬ暗闇の中、一人佇んでいた。誰もいる気配すらない、自分ですら見えない程の、完全なる漆黒。 「俺、なんでこんな所にいるんだ? 」 記憶を掘り返してみる。 確か今日は、あかりと一緒にガッコに行って、雅史と暇潰しにダベって、志保を適当にからかって……。いかん、思い出せん!とりあえず、だれかいないか、呼んでみるか。 「おーい! 誰かいないのかあ〜? あかりー? まさしー? ついでに、しほー? 」 すると、目の前がスポットライトに照らされ、そこに人が一人いた。俺が一番よく知っている肉親以外の他人。すなわち、 「あかり! よかった、誰もいねーかと思ったぜ……あかり? 」 あかりはずっと俺に背をむけて、うつむいたまま何もしゃべらない。 「おい、……あかり? 」 俺は制服姿のあかりの肩に手をおいた。すると、あかりは、 「ひどいよ……浩之ちゃん」 「はあっ? 何言ってんだよ、あかり。 俺、何かしたか? 」 クルリと、あかりは俺に向き直り、 「だって……わたしを殺したじゃない」 よく見ると、セーラー服の白地の部分が朱に染まっており、右胸……つまり心臓に当たる部分には空洞が空いていた。そのまま、あかりは倒れ込む。 「あかり! 」 あかりを抱き起こそうとした瞬間、俺は自分の手を見て驚愕した。 異形の手。すべてを切り裂けそうな爪と、いつもの三倍は太い腕。その掌はあかりの頭を包み込めるほど大きい。その腕からは、禍禍しさしか感じられなかった。 「なんだよ……これ? 」 「浩之……」 暗闇から、また声が聞こえる。それは、かけがえの無い親友の声。 「雅史、あかりが……」 「ずっと騙してたんだね、僕らを……」 「何言ってんだよ、雅史? 俺がいつ……?」 真っ暗でどこにいるかさえわからないが、雅史はその時確かに俺を嘲るように、笑った。そんな気がした。 「よく見てごらんよ、自分の身体」 そういうと、雅史の声も気配さえも消えてしまい、あかりさえも消えてしまう。そして、まるでその替わりとでもいうように、俺の正面に巨大な鏡が出現した。 そして、俺は見た。返り血をあびた異形の存在を。額には二本の角。真紅の瞳。そして、その巨躯を包む黒い炎……。そんな存在を、鏡の中に。 「うわあああああああーーーーー!!! 」 ・ ・ ・ ……2.日常(ニチジョウ)に続く ども。神風と申します。ここまで見てくれた方(大感謝!)はわかると思いますが、一応続物です。これ。このSSはTo Heartと痕のクロスオーバー作品なのですが、一応、浩之が主役のためジャンルはTo Heartとなっております。2章では「あの二人」が出演するはずですが、神風があのソフトを購入していないため、どこまで活躍するかは未定になります。(leafファンからすれば滅殺もの。殺されても文句はいえません)SSを書くのは2回目で、何かと読みにくい作品かもしれませんが、楽しんでいただければ光栄です。では、また! タイトル 鬼神異伝 コメント 夜毎に浩之を襲う悪夢。それが何を意味するか、浩之はまだ知らない……。 ジャンル シリアス/TH/浩之