鬼神異伝 投稿者:神風 投稿日:6月28日(月)00時17分 削除

鬼神異伝 投稿者神風

1.業(ゴウ)
……真っ暗だ、どこだよ……ここ?
浩之は光すら届かぬ暗闇の中、一人佇んでいた。誰もいる気配すらない、自分ですら見えない程の、完全なる漆黒。
「俺、なんでこんな所にいるんだ? 」
記憶を掘り返してみる。
確か今日は、あかりと一緒にガッコに行って、雅史と暇潰しにダベって、志保を適当にからかって……。いかん、思い出せん!とりあえず、だれかいないか、呼んでみるか。
「おーい! 誰かいないのかあ〜? あかりー? まさしー? ついでに、しほー? 」
すると、目の前がスポットライトに照らされ、そこに人が一人いた。俺が一番よく知っている肉親以外の他人。すなわち、
「あかり! よかった、誰もいねーかと思ったぜ……あかり? 」
あかりはずっと俺に背をむけて、うつむいたまま何もしゃべらない。
「おい、……あかり? 」
俺は制服姿のあかりの肩に手をおいた。すると、あかりは、
「ひどいよ……浩之ちゃん」
「はあっ? 何言ってんだよ、あかり。 俺、何かしたか? 」
クルリと、あかりは俺に向き直り、
「だって……わたしを殺したじゃない」
よく見ると、セーラー服の白地の部分が朱に染まっており、右胸……つまり心臓に当たる部分には空洞が空いていた。そのまま、あかりは倒れ込む。
「あかり! 」
あかりを抱き起こそうとした瞬間、俺は自分の手を見て驚愕した。
異形の手。すべてを切り裂けそうな爪と、いつもの三倍は太い腕。その掌はあかりの頭を包み込めるほど大きい。その腕からは、禍禍しさしか感じられなかった。
「なんだよ……これ? 」
「浩之……」 
暗闇から、また声が聞こえる。それは、かけがえの無い親友の声。
「雅史、あかりが……」
「ずっと騙してたんだね、僕らを……」
「何言ってんだよ、雅史? 俺がいつ……?」
真っ暗でどこにいるかさえわからないが、雅史はその時確かに俺を嘲るように、笑った。そんな気がした。
「よく見てごらんよ、自分の身体」
そういうと、雅史の声も気配さえも消えてしまい、あかりさえも消えてしまう。そして、まるでその替わりとでもいうように、俺の正面に巨大な鏡が出現した。
そして、俺は見た。返り血をあびた異形の存在を。額には二本の角。真紅の瞳。そして、その巨躯を包む黒い炎……。そんな存在を、鏡の中に。
「うわあああああああーーーーー!!! 」
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……2.日常(ニチジョウ)に続く 

ども。神風と申します。ここまで見てくれた方(大感謝!)はわかると思いますが、一応続物です。これ。このSSはTo Heartと痕のクロスオーバー作品なのですが、一応、浩之が主役のためジャンルはTo Heartとなっております。2章では「あの二人」が出演するはずですが、神風があのソフトを購入していないため、どこまで活躍するかは未定になります。(leafファンからすれば滅殺もの。殺されても文句はいえません)SSを書くのは2回目で、何かと読みにくい作品かもしれませんが、楽しんでいただければ光栄です。では、また!
タイトル 鬼神異伝
コメント 夜毎に浩之を襲う悪夢。それが何を意味するか、浩之はまだ知らない……。

ジャンル シリアス/TH/浩之