雪の日の約束 投稿者: ゴン106
真っ白な雪の上を、僕は一人歩く。絶え間なく降りつづける雪が木々を覆う。吹きすさぶ風に耳が引き千切られるかのように痛かったのも、もうだいぶ前のことだ。
 あの日、はるかは言った……。
「私は、ここにいるから」
 そう言った……。そして静かに微笑み、地面を指した。
 彼女の立っている足元には、『シベリアまで〇〇q』そう書かれていた。

 あれから二ヶ月。僕は極寒のマロースの中を歩き続けている。日本ではそろそろ歌謡祭の結果が出ていることだろう。由綺はどうだったのだろうか?
「ゴメンよ、由綺……。応援……行けなかったな」
 誰に聞かれるわけでもない言葉を、僕は呟いた。
「いつの間に、こんなに離れてしまったんだろう……」
 そう。由綺は何時でも微笑んでくれていた。僕にしか見せない微笑で……。
 白い雪のスクリーンに由綺の笑顔が浮かぶ。困ったような笑顔、悲しそうな笑顔、楽しそうな笑顔、そして……心からの笑顔。
 だけれど、そんな由綺の笑顔を捨ててまで、僕はここにいる。何故? 何のために? 本当は答えを知っているくせに、自分に問い掛ける。
 そうだ。はるかに逢いたいからだ。はるかの笑顔が観たいからだ。
『私はここにいるから』
 そう。彼女はここにいる。この極寒の地平の何処かに……。

「冬弥くん……結局来てくれなかったね」
 歌謡祭のあと、黒のBMWの中で由綺はそっと呟いた。
「…………」返事をすることなく、弥生は車を走らせる。ウインドーを街の明かりが流れていく。由綺はそれから一言も発しなかった。
「着きましたわ。由綺さん」車を止め、サイドブレーキを引きながら弥生が言った。由綺のマンションだ。
「あ、ありがとう弥生さん」
 慌てて礼を言うと由綺はにっこりと微笑んだ。どこか寂しげに……。
 車から降り、部屋へ向かう。その時ふと一台の自転車が眼に入った。『MERCEDES』と書かれたシルバーのフレームは、所々に激しい傷が見受けられる。
 誰のかしら? そう思いながらも足は部屋へと向かっていた。部屋の前に来た時、見知った顔に出会った。
「や」
 はるかだった。
「どうしたの? 私に用事?」
「ん」
 ちらっと由綺を見てはるかは言った。
「冬弥知らない?」
「え? 大学で逢ってないの?」由綺は驚きの表情を表わした。
「来てない」いつも通りの口調ではるかは応える。「由綺のところだと思ったんだけど」
「チョット待って。いつ頃から来てないの?」
「二ヶ月前」

 一ヶ月後、冬弥は瀕死の状態で行軍訓練中のロシア軍によって保護された。

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 って、なんかバカなもん書いちゃったなあ。
 こんなんじゃ感想もへったくれもないっすね。(反省)
 でわでわ。ゴン106でした。