父と僕 投稿者: 神楽桜子【早く殺してよぉ】
 世間の風は今の僕には強すぎるほど強すぎた・・・・。
未だに犯人は見つかっていない。そうなれば当然身近な存在
の者が疑いを受ける。やっていなくても世間は解ってくれない。
無責任な推測をし、それが膨らみ、やがて「自分の推測を疑わない」
と言う行動に変わるのもそう遠くないはずだ。屋敷の周りはいつも
マスコミの包囲を受けている。そのマスコミ達によって一層話に拍車
がかかる。全く有り難いことだ・・・・。何も知らないくせに、なんにも
理解してないくせに・・ただ単に面白いから僕の事を噂するんだ。
そう・・、佐藤雅史が犯人だと。

〜第三章〜「北の大地への招待状」
 午前中は取り調べ。午後は何も無し。学校の一悶着
で無期停学を言い渡されてしまった僕には退屈だけの
毎日。・・・・・・・・・志保さん。死体検証であの死体は予想
通り志保さんだった。葬式は等分しないつもりだ。また
マスコミ達を面白くするだけだ。
 ・・・・・あかりさん、志保さん。僕の母親と姉の様な存在が消えた。
どうしてかな・・、なぜ殺されたのかな・・・・。
あんなにも優しかった人たちが何故?・・・・・その答えを知る者は
居なかった。・・・・・・いや・・居る。・・・犯人が知っている。
犯人って誰なのかなぁ。殺したんだよねぇ・・あかりさんと志保さんを。

−−−−ソウ、コロシタンダヨネ−−−−

「ふふ・・・・ははは・・・・・」
笑いがこみ上げてくる。笑わずにいられない。
「くくく・・・あははは・・・はは・・・」
僕は泣きながら笑っていた・・・・。
コンコン・・
その時、僕の部屋の扉がノックされた。
「はい・・どうぞ・・」
僕は涙を拭くと扉の方に目を向けた。
「失礼いたします」
そこには食事を運んできたシンディさんの姿があった。
「雅史様、お食事をお取りください・・。もう2日も何も
 口にしていらっしゃらないじゃないですか・・・。」
そういえば志保さんが殺されてから丸二日間何も口にしていないな・・・。
でも今は何も食べたくないんだ・・・。
「・・・・吐き気がするんだ・・・・」
「えっ?」
「吐き気がするんだよ。あの志保さんのビジョンが頭に焼き付いて・・・。
 それに周りがうるさくて食べる気にもならない・・・。」
僕の部屋ではマスコミ達の雑談がよく聞こえてくる。
[早く吐いちまえばいいのに][犯人はこの屋敷の息子だ]
様々な憶測が、聞きたくないのに聞こえてくる。
「ですが・・せめてこれだけでも。」
そう言うとシンディさんは一つだけお皿を置いてこう言った。
「うふふ、私の自信作ですよ。雅史様のお墨付きの」
そう言ってぺこりと一礼して、部屋を出ていった。
「あ・・」
パンプキンパイ。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「う、ひっく・・ふぇ〜ん・・・」
(あら、どうしたの雅史ちゃん?)
「まぁまぁ〜、まぁまぁ〜・・ひっく・・・」
(そう、ママが居ないから寂しかったのね)
「う・・、あかりしゃん・・・うわ〜〜ん・・・」
(はぁい、よしよし・・。雅史ちゃんは男の子でしょ?
 男の子は泣いちゃダメですよ)
「だって・・・ひっく・・・」
(あら、私が居るのに寂しいの?)
「う、ううん。あかりしゃんが居るからしゃびしくないの」
(いい子ね、雅史ちゃん・・・。そうだ、シンディさんに
 パイをおねだりしにいこうか?)
「うん!僕、シンディしゃんのぱぷきんぱいしゅき!」
(雅史ちゃんの大好物だもんね)
「ねぇ〜、はぁく〜はぁく行こぉ〜」
(はいはい。じゃ、手をつないで行きましょうね)
きゅ・・。
「ねぇ、あかりしゃん」
(ん、なぁに?)
「まぁまは・・・まぁまはどこに行っちゃったの?」
(・・・・・・・・・遠いところよ・・・。)
「とういところ?外国に行ったんでしゅかね」
(・・・・・そうね・・・外国かもしれないわね・・・・)
「外国でしゅかぁ・・・、とういでしゅねぇ」
(・・・・そう・・・・・遠い、遠い世界に行ってしまった
 のよ・・・遠いね・・・・・)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−




深夜。マスコミ達もウトウトし始めている頃、
僕は誰かに起こされた。
「雅史様・・・雅史様・・・」
「う、う〜ん・・・シンディさん・・・?」
僕の顔前にシンディさんの綺麗な顔があった。
「さぁ、起きて支度をしてください」
?? 僕は何が何だか解らなかった。
「支度って・・・・何処行くんです?」
「北海道ですわ」
「は・・・・・?・・・ええっ!北海道!!マジで?」
「はい、マジもマジ、大マジですわ」
突然の北海道。・・・しかしどうして急に北海道なんかに・・・。
取り敢えず僕は支度する事にした・・・。
「早く、早く!雅史様!」
「あれっ?ズボンは何処においたかなぁ・・」
「はい、雅史様。」
「おっ・・・・」
さすがに長い年月を共に過ごしているだけのことはある。
「はいっ!洗面道具に着替えに・・・・・・」
結局全部シンディさんにやってもらうハメになった。
ここまで自分の生活対応が出来ないともなると少し
問題である・・・。
 一通り支度も済み、いざ!しゅっぱつ〜って外は
マスコミだらけだぞ・・・?
「シンディさん、どうやって外に出るの?」
「はい、屋上にヘリが待機してありますわ」



フュン・・フュン・・・フュンフュンフュンフュン・・・・
「おい、なんだこの音?」
「なんだなんだ!?」
マスコミ達がヘリの音に気づいて騒ぎ出した。
「さぁ、お乗りください雅史様」
「う、うん・・・・」
ちょんちょん・・
ん?後ろから僕の肩をつつく人が居る。
「まぁさぁしぃくぅん〜」
!こ、この声は・・・・。
僕はガバッと後ろに振り返った。
「ひ、姫川さん!?」
なんとそこには姫川さんがにっこりと立っていた。
「えへへ、久しぶりだね」
姫川さんに北海道・・・・。ぜんぜん訳が解らない・・・。

 どもです。カズと言ったらみんな解るかな?やっと次の作が
出来上がりました・・・。でも全然面白くない・・・・。
前回までドロドロしてたから今回は少し明るめにいったんですが
どうでした?感想をお聞かせください。め〜る待ってま〜す。
じゃ〜ね〜。
PS:だいぶ前のことだけどSENPUUKIさん
   メ〜ルありがとうね。