父と僕〜第二章〜 投稿者: カズ【マチュア様】
 久々にキーボードをさわりました。もうみなさん忘れてるかも知れませんので
(絶対忘れてる)前回の大まかなあらすじと続きです。

〜主な登場人物〜
 佐藤雅史:本作品の主人公。父と自分を比べられることにコンプレックス
      を持っている。
 神岸あかり:雅史の父の一人目の愛人。雅史の母親的存在。母親・使用人・愛人
       と、三つの顔を持つ女性である。が、何者かによって殺害される。
 長岡志保:雅史の父の二人目の愛人。現在は雅史の専属運転手。
シンディ宮内:父の三人目の愛人。雅史家の厨房を取り仕切る筆頭侍女。
姫川琴音:雅史の高校の同級生。雅史のことが気になっている。


〜前回のあらすじ〜
 父が残した財産と愛人・・。それと一緒に郊外の屋敷に住む雅史。
このまま何もなければよいと思ったのもつかの間、あかりさんが殺された・・・・。
・・・・・そしてゆがんだ心は壊れていった・・・。


〜第二章「堕落天使」〜

 雨・・・・・雨・・・・。あかりさんが殺されて2週間。死体検証の為
葬式すら出来なかった。そして今日、雨、ひっそりとあかりさんのお葬式が
執り行われた。・・でも・・・・・・泣かなかった。その日には、もう涙も枯れ
精神的にも落ち着いていたからだ。だが、落ち着いても落ち着いてもこみ上げて
くるモノがあった。・・・・殺意・・・・・。死体検証の結果、いや、誰が見ても
他殺。あかりさんは殺された・・・・・。誰に?一体誰が?犯人は誰?犯人・・。犯人に殺された。
殺された?・・殺す・・。殺す?誰を?あかりさんを殺した奴・・。殺した・・ころす
・・・犯人・・・・殺す・・・・・。コロス!!!殺す!!!!
・・・・・・・今日、僕は血の涙を流した・・・・・・・・。


 次の日、僕は何事もなかったように学校に登校した。しかし、いつもの
”いってらっしゃい”は無かった。昨日、突然志保さんは使用人を辞めたい、と
言ってきた。僕に引き留める権利はない。僕はニコッと微笑み「今までありがとう」
と言った。
「あっ・・・・。」
「えっ、なんですか?」
「う、ううん・・なんでもない。」
志保さんは最後に、なにか言いたげだったが、そのままその場を立ち去った。
その時の志保さんの瞳は、まるで怯えた子猫のようだった・・・。

「おはよう、佐藤君・・。」
いつもの挨拶、いつもの声、いつもどうり姫川さんが僕に微笑んできた。
「お葬式、昨日だったんでしょう?」
「うん、親族だけで行ったんだ・・。って言っても、僕とメイドさん達しか
 いないんだけど・・・。」
父と母は一人っ子。両両親は既に他界。その他の血縁もいない。僕は佐藤家最後の
一人になってしまった。
「さ、さぁ教室行こ!」
気まずい雰囲気を和まそうと姫川さんは、とっておきの笑顔を見せてくれた。
その笑顔は、僕の壊れた心を少し癒してくれた。

 だが、自分の席について五分後、僕の心は狂気の宴に酔いしれた。
「よぉ〜佐藤。」
話しかけてきた男、佳川龍介。クラスのチンピラ・・、クズだ。
「いや〜、大変だったねぇ〜。殺されたんだって?確か神岸って女だよな。
 新聞で見たぜぇ〜。」
目の前のクズが、げひな笑いを浮かべている。
「いい女だよなぁ〜、死ぬ前に一発やらしてくれりゃ良かったのに。おっ、もしかして
 佐藤、お前の女だったりしてな。夜はお盛んだったってか〜。はっはーー!!」
「っ!!」





「・・・・・・う・・。」
・・・殺す・・・
「・・とう・・・う・・・。」
・・・殺す・・・
「さとう・・佐藤!!」
「はっ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・気がつくと僕は数人の教師達に取り押さえ
られていた。僕の足下には、自らの血で波紋を描いている佳川の肢体があった・・・・。



 無期停学。僕は退学にはならなかった。父はこの学校に多額の融資を投入を
していたからだ。休みが取れていいじゃないかと自分に言い聞かせ、僕は
学校を後にした。そしてまた雨が降り始めた・・・・。
「歩いて帰ろう・・・・・。」


「おかえりなさい」
ずぶ濡れになった僕を出迎えてくれたのはシンディさんだった。
「さっき学校から電話があって・・・・」
「・・うん。そういうことなんで。」
クッ!
僕は走り出していた。一人になりたい、今は・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
僕は屋敷の裏庭にいた。雨なのか涙なのか、僕の目から熱いモノが流れている・・・・。
「んっ?」
ふと前を見ると、古びた教会がひっそりとたたずんでいた。
「ああ、ここか・・・・。」
30年前、父の趣味で建てられた教会。教会を趣味で作るとは何とも馬鹿げて
いる。小さい頃、よくあかりさん達と遊んだ憶えがある。懐かしい・・・。
あの頃に戻りたい・・・。僕は無意識の内に教会の扉を開けていた。
ギィィ・・・
年期を感じさせる音が教会中に響いた。辺りは暗くてよく見えない。

ピチョン・・・

・・・・?なんだ?なんの音だ?
ピチョン・・・・
・・まただ・・・・。
「祭壇の方か・・・?」
僕は祭壇に向かって歩き出した。一歩一歩、祭壇に近ずく度に音は鮮明に
聞こえてくる。
ピチョン・・・
僕は祭壇にたどり着き、神父様の立つ位置に立った。
ピチョン・・・
「ただの雨漏り・・・・か?」
僕は教会中が見渡せるように後ろに下がった。
ピチョン・・・っ!
「うわっ!!」
雨漏りの水が頭に落ちた。
「なんだ、やっぱり雨漏りか・・。」
ふぅ、と一息つき僕は帰ろうとした。
ピチョン・・

・・・・・・僕の目の前が朱に染まった・・・・。

なんだこれ!?なんだこれ!!!!!
僕は雨漏りしている天井を見上げた。
「っっっっっっっっっっ!!!!!!!」
そこには、かつて人だった塊が 十字架に張り付けられていた。
まるでイエス・キリストの様に・・・。
(落ち着け!落ち着くんだ!!)
僕は必死で心臓の鼓動を押さえた。どうしてこんな所に死体が!?
・・・・・・ん?なにかおかしい、この死体何かおかしいぞ・・・・・?
・・・・・・・・首がない。
この死体、首がないぞ。何故首がないんだ?
僕はその場でいろいろ考え死体をよく見てみた。

っ!!!!こ、これは!このブレスレットは!!
どこかで、どこかで見たことある!でも何処で?!
何処で見たんだ!?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・くっ!

・・・・志保さんだ・・・・

 間違いない・・。最後に会ったとき志保さんはこのブレスレットをしていた・・・
・・・。
「・・・おぇっ・・・・・・。」
知り合いだと気づいた瞬間、僕は吐き気がしてきた。
僕は教会から飛び出し、その場から逃げ出した・・・・・・・・・・・・。
                                つづく。


 どしぇ〜・・、つかれたぁ〜〜。もう当分書きません。誰も続きを期待してないと
思いますから・・・・。