父と僕 投稿者: カズ【マチュア様】
 父が・・・・・・、父が病死した・・・・・・。原因は末期ガン。仕事が忙しく
倒れるまで気づかなかった。母は、8年前に父の女癖の悪さに愛想が尽き離婚、
4年前に事故死・・・。僕に残されたのは、莫大な財産と・・・・・・・・・・
・・・・愛人。父は愛人達を使用人として屋敷に住まわした。僕は一人目の父の
愛人「神岸あかり」さんに育てられた・・・。
    これから僕は一体どうすればいいのだろう・・・・・・・。

き〜んこ〜んか〜んこ〜ん
 始業5分前のチャイムが鳴る頃、僕は「志保」さんの運転する車で学校に
登校する。志保さんは、父の二人目の愛人で、今は僕のお抱え運転手である。
・・・・・・・実はいうと僕は志保さんがあまり好きではない。
「いってらっしゃい、旦那様。」
これだ・・・・、父と僕をダブらせる言動。
「旦那様はやめてくださいと言ってるでしょ、志保さん・・。」
「あはは・・、ついいつもの癖で。」
「僕は・・・父ではありませんよ・・・。」
「わかってる・・。でも、ホント似てきたよねぇ、御父様に・・・・。」
志保さんは少し寂しそうに僕に言った。
「やめてください!」
「っ!ご、ごめん・・。」
「僕は・・・・・僕ですから・・・・・。」
・・・・・・・・・二人の間に沈黙の壁が出来た・・。

き〜んこ〜んか〜んこ〜ん
タイミング良く始業のチャイムが鳴った。
「あっ、まずい!それじゃぁ志保さん行って来ます!」
僕は志保さんの別れの挨拶も聞かず、気まずい雰囲気にピリオドを
打ってくれた予鈴に感謝し、校舎に向かって走り出した。
志保さんは僕の姿が見えなくなるまで、ずっと僕を見つめていた・・・。

「おはよ、佐藤君。」
「あぁ、おはよう。」
にこやかに微笑みながら挨拶してきたこの女性は「姫川琴音」さん。最初の
出会いは同じクラスで隣同士の席になったことである。初めはぎこちない会話
しかしない仲だったが、ある事件が僕達の壁を壊していった。
「今日も車でしょう?いいわねぇ。」
「どうして解ったの?」
「だって、ほら・・。」
姫川さんは教室の窓を指さした。指された窓の向こうには志保さんが
校門でずっと校舎を見つめている。
「ま、まだ帰ってなかったのか。」
「・・・志保さんの気持ち、解るような気がする・・・。」
姫川さんは、ポツリと呟いた。
「えっ、なんかいった?」
「う、ううん、なんでもない・・。」
しばらくすると、志保さんはいなくなっていた・・・。


 昼休み。鞄の中にいつものお弁当が入っていないことに気づいた。
ふぅ・・と、ため息を一つ吐いて、たまには学食もいいかと、学食
に向かった。そして一階の階段を駆け下りようとしたとき、
「雅史様・・・。」
「はにゃ・・?」
ふと、後ろから自分の名前を呼ばれたので振り返ると、
「あっ!シンディさん」
僕の手提げを持ったシンディさんが微笑みながら歩いてきた。
「雅史様、お弁当をお忘れになったでしょう?ですからお届け
 に参りましたのよ。」
シンディ宮内さん、父の三人目の愛人。僕のお弁当を毎日作って
くれるありがたい人だ。しかしシンディさんを見る度に、父が
国際派であったことがヒシヒシと伝わってくる。
「ありがとう、シンディさん。」
「よかった・・、雅史様に会えて。」
シンディさんはホッとした顔で僕にお弁当を手渡してくれた。
「お届けに来たのはいいんですが、途中で迷ってしまって・・。
 もう、学食にでも行ってしまわれたかと思いましたわ。」
「タイミングばっちし!学食に行く途中でしたよ。」
シンディさんは、クスッと一笑した。その笑顔がなんだか
かわいい・・・。
「どうかなさいましたか?」
「えっ、な、なんでもないよ。そ、そうだ!シンディさんも
 一緒に食べない?屋上行こ、屋上!」
「で、でも・・・・。」
「いいからいいから。」
僕は半ば強引に、シンディさんを屋上に引っ張っていった。


 放課後。いつもどうり校門で志保さんが、車で待っていた。
「お疲れさま旦な・・・、じゃなかった、雅史君。」
「志保さんもごくろうさん。」
軽く会話した後、帰路に就いた・・・・。

しばらくして屋敷に到着した。家の門を開けると、そこには
あかりさんが出迎えに来ていた。
「おかえりなさい雅史さん。」
「ただいま、母さん。」
僕はあかりさんの事を「母さん」と呼んでいる。小さいときから
育ててもらっているので、自然とそういう呼び方になった。
「志保さんも、おかえりなさい。」
「・・・・・・・・・ただいま。」
志保さんと母さん、見ての通り仲があまりよくない。やはり父の
事だろうか・・・・。子供の僕には何も解らない・・・。
「おかえりなさい雅史様。」
気がつくと、シンディさんも出迎えに来てくれていた。
「ただいま、昼休みはごめんね。お弁当おいしかったよ。」
「まぁ、それでしたら御夕食はもっと美味しくいたしませんと
 いけませんわねぇ。」
「うふふ。」
「あははっ。」
僕と母さんは思わず笑ってしまった。
「さぁ、中に入りましょう。」
僕達は楽しい会話をしながら屋敷の中に入った・・・。
・・・・・その時、志保さんの姿は無かった・・・・・・。


午前2時30分。そろそろ就寝しようとベットに入った。すると
どこかで口論らしき話し声がする。また、だ。最近母さんと志保さん
の仲は悪くなる一方で、1週間前くらいから夜中に度々口論を聞くようになった。
微かに聞こえる声は、父の名前や、財産、これから、と言う様に
聞こえる・・・。僕はさほど気にせずに眠りに入っていった・・・・。
崩壊の序曲を聞きながら・・・・・・・。


朝。僕はメイドの声で目が覚めた・・。声と言っても大声・・・、悲鳴だ・・・。
僕は寝室を飛び出し、声の発生源の所へ急いだ・・・。
扉の前でメイド達が群がっている、おそらくあの部屋だ。
ある者は気を失い、ある者は泣きじゃくっている。
嫌な予感がする・・・・。
「一体どうしたんだ?」
僕は後方のメイドに話しかけた。
「あ、ぁあ、あぁあっ、・・さんが・・・・・・。」
「どうしたって!!」
僕はその部屋に入ろうとした。
「いけません!!雅史様!!」
一人のメイドが僕に飛びついてきた。しかし、そのメイドを
ふりほどき、無理矢理部屋の中に入った・・・・。
部屋の中に入ると異臭がした。今まで嗅いだことのない臭いだ。
そして僕は下を見て驚愕した。
赤!あか!赤!赤!赤一色!
床の色は鮮やかな赤・・・。
その先には・・・・・・・・、
「あ あぁ あ、か、かぁ   さ  ん・・・。」
・・・・・・・・・・・見るも無惨な姿。手足は切り取られ
額と首にはナイフが刺され、体は壁に貼り付けられている・・・・。
「あっ、ああ、わああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ
 ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
 ぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




・・・気がつくと僕は自分のベットに寝ていた。
「お気づきになられましたか?」
横にはシンディさんが心配そうな顔で僕を見ていた。
そうだ!母さんは!?あれ、なんでベッドに・・・・。
・・・・・そうか、あれは夢だったんだ・・・。はは、そうか・・・、
夢か・・・・・・・・?

シンディさんは涙を流している・・・・。
現実。認めたくない事実・・・。
・・・・僕は、気がつくと涙を流していた・・・・。
「ひっ・・くっ、うっ、うっ・・くっ・・。」
泣きたくない!涙なんか流したくない!・・・・・でも
後から後からあふれ出してくる・・・。
 するとシンディさんは
「泣いてもいいのよ・・・。悲しいときは・・・・。」
そして僕を抱きしめてくれた・・・・・。
「うっくっ・・、わぁぁぁぁぁっぁあっぁぁっぁーーーーーーー!!!!!!」

それはまだ始まりに過ぎなかった・・・・・・・・。
          
                           つづく。

コメント>
 初めてパロディ以外の作品を書きました。どうでしょうかねぇ?
あんまりおもしろいとは思えませんねぇ・・・・。