芹香と免許  投稿者:ギャラ


 誕生日がきて、ようやく私も十八歳になりました。
 だから、免許をとろうと思います。

「へぇ……姉さんが免許ねえ。ま、いいんじゃない?」

 綾香は、そう言って励ましてくれました。
 ありがとう、綾香。

「お嬢様! わたくしの運転ではご不満だとおっしゃるのですかっ!!?」

 セバスチャンは、そう言って泣きました。
 だけど、私の決心は固いのです。
 錬金術で造られる黄金くらい。

「……お嬢様。それはかなり柔らこうございます」

 ……。
 ……そうかもしれません。




 ……色々ありましたが、最後まで反対していたセバスチャンが急に心不全で入院したので
私の教習所通いが決まりました。
 ありがとう、呪いの精霊。
 そんなわけで、今日は入所説明会です。
 適性検査、という試験があるのです。
 聞けば、この適正検査で落ちる人はほとんどいないのだそうですが。
 それに、質問に○か×で答えるだけですから、簡単です。


『何もない所から声が聞こえることがある』

 ……よくあることです。○。

『自分の周りにはスパイが大勢いる』

 ……先日も、メイドさんの一人が産業スパイだったことが分かったばかりです。○。

『他の人には見えない妖精が、自分には見える』

 ……藤田さんにも見えたみたいですが……○、でしょうか。

『自分は常に見張られている』

 ……セバスチャンの監視の目は厳しいです。○。

『神や悪魔を見たことがある』

 ……「ガディム」という破壊神に会いました。○。

『人形などに話しかける癖がある』

 ……藤田さんのトウモロコシ人形には、よくお話しします。○。

『自分は選ばれた人間である』

 ……藤田さんは、他の人ではなくわたしを選んでくれました。
 嬉しいです……○。






 結果発表。

『あなたは性格的に多大な問題があるようです。免許を取得される前に、医師の診断を受ける
 ことを強くお勧めします』

 ……免許って、難しいものなんですね。