滅殺! 国旗を背負った異人さん 投稿者:ギャラ

「さてと。あかり、帰ろうぜ」
 放課後。
 いつもどおりの退屈な授業が終わって、オレはあかりに声をかけた。
「あ、うん。ちょっと待ってね」
 ごそごそと鞄の準備をし、こっちに駆けよってくるあかり。
「お待たせ。じゃ、帰ろっか」
「おう」
 オレはあかりをつれて教室を出る。
 そこまでは、いつもどおりの光景だった。
 そう。そこまでは……



「レップーケン!」
 ……え?
 ずがぁん、と轟音をたてて、オレの目の前の壁が吹っ飛んだ。
「Shit! 外れたネ!」
 英語交じりの声が聞こえる。
 オレの知り合いで、こんなしゃべり方をするやつは一人しかいない。
「レミィ! 何やってんだ、おめーは!?」
「Huntingヨ!」
 そう答えるレミィの目は完全にイッてしまっていた。
 やべぇ。
 オレは、慌ててあかりの手を引いて逃げ出そうと……
 ……して、気になることに気がついた。
「レミィ。その弓道着の背中についてるのは何だ?」
 オレが指さすと、レミィは
「My countryの国旗ヨ」
 ……やっぱり、星条旗ってやつだよな。
 着物と袴。そのうえに背中に星条旗というと……
「ギース様かぁぁぁ!?」
 オレは悲鳴をあげた。
「くそっ、しょうがねぇ。やれ、あかり!」
「うんっ!」
 オレの声にこたえて、あかりが一歩前に出た。
「レミィ……滅殺だよ」
「アタシのHuntingの邪魔はさせないネ!」
 あかりの周りに殺意の波動が、レミィの周りに闘気が渦を巻く。
 ……こりゃ、タダじゃすまねーな。
 オレは身震いした。
 あかりとレミィは互いに距離をとったまま、警戒をつづけている。どっちも接近戦が得意な
タイプだから、距離をつめる機会をうかがってるんだろう。
 だが、あかりには瞬獄殺が、レミィには当て身投げがある。
 下手に突っ込んだら命とりだ。
「レップーケン!」
「波動拳!」
 お互いの飛び道具が同時に放たれ、二人の間で相殺しあった。
 あかりがジャンプし、レミィとの距離をつめる。
 ……ダメだ、あかり!
 レミィが身をかがめ……
「Raising storm!」
 レミィの超必殺技が炸裂した!
 地面から噴き上がった『気』に迎撃され、あかりが叩き落とされる。
「あかりぃ!」
「だ……大丈夫。まだ……」
 あかりがダウンから回復し、再び距離をとった。
「けど、あかり。お前、体力ゲージがもう……」
「アカリ! Getシテあげる!」
 チャンスと見たか、レミィがジャンプで飛び込んできた。
 ……その瞬間、オレは見た。
 あかりの目が、きらりと輝くのを。
 画面がホワイトアウトする!

 どかかかかかかかかかかかっ!

 打撃音が響いた。
 ……馬鹿なっ!
 瞬獄殺で対空しただと!?

 『犬』

 自分の目を疑っているオレの目の前で、文字が浮かんでいた。
 ……夢じゃなかったのか。
 ・
 ・
 ・
「しっかし、まさか、瞬獄殺で対空するとはなー」
「うん、タイミングが難しいけどね、できないわけじゃないんだよ」
「普通なら昇竜拳使うだろうからなー。まさかできるとは思わなかったぜ」
「ところでさ、あかりちゃん」
 オレとあかりが勝利の余韻にひたって(オレはギャラリってただけだが)話してると、
雅史が声をかけてきた。
「レミィ、どうするの?」
 そう言って足下を指さした。
 レミィは気絶して、そこに倒れている。さすがに瞬獄殺の直撃(それも対空迎撃)は
痛かったらしい。
 あかりはしばらく考えてから、こう言った。
「うーん……やっぱり、屋上から落とそうか?」
 ……ムゴいぞ、あかり。



「さすがね、神岸あかり……」
 物陰から、あかりを見つめる視線があった。
 だが、その視線は一つしかない。
「だけど、エクストリームチャンピオンの名にかけて、私は負けない……」
 綾香の手に力が籠もる。
 ざらり。
 その手の中で、握られていた壁が崩れ去った。
「吸って、あげるわよ……」
 そう呟いて綾香は、眼帯を付けたまま、あかりを強く睨みつけた。



 次回予告!

 強敵レミィ=ハワード=宮内を打ち破った滅殺あかりの前に、次なる敵・来栖川綾香が
立ちはだかる!
 ブラジル仕込みの軍隊格闘術を使いこなす綾香のストームブリンガーに、あかりは苦戦
する。そして、ムーンスラッシャーを空振りした綾香が放った技とは……!?

 滅殺あかり「そんな……! KOF95バージョンだったなんて……!」

 次回、『恐怖! 超ブリンガー来襲!!』

 滅殺あかり「浩之ちゃん……滅殺だよ」

===

ギ「というわけで、『知人が対空で瞬獄殺きめたぜ記念』にこんなものを書いてしまい
  ました」
碧「……どうしようもなく自己満足な記念ですわね」
ギ「否定はしません(笑)」
碧「ちなみに、本当に対空瞬獄殺って可能なんですの?」
ギ「できるみたいですよ。一回しか成功しなかったらしいですが。……私は豪鬼使いじゃ
  ないんで、どれくらい難しいのかよく分からないですけどね」
碧「はあ。……それにしても、連載物ほうっておいてこんなものを書いて……しかも、綾香を
  ハイデルンにするなんて、綾香ファンに刺されますわよ?」
ギ「……ベガの方がよかったですかね?」
碧「…………」
ギ「ちなみに、坂下はMr.カラテがハマり役だと個人的には思うですが」
碧「……好きにしてくださいまし」


ギ「……ちなみに、次回予告は大嘘ですので信用すると不幸になれます(笑)」


タイトル:滅殺! 国旗を背負った異人さん
コメント:滅殺あかりにライバル登場!?
ジャンル:ギャグ/TH/滅殺あかり