裏LF97〜慟哭〜 投稿者:ギャラ
 「!!」
 敵が襲ってきた!

 「セバスチャン・コピーが一人か。まあ、楽勝だな」
 と耕一。
 「そうですね。僕が電波で倒しましょうか?」
 と祐介。
 「・・・」
 これは芹香。
 「コーイチさん、どうせなら俺にやらせてよ。俺まだレベル19だし」
 と浩之。

 彼ら4人は、ガディムとの戦いにそなえて、レベルアップに勤しんでいるところで
あった。
 圧倒的な攻撃力・防御力を誇る耕一。ケタ外れの特殊を誇る祐介。多彩な属性攻撃を
得意とする芹香。そして、全キャラ有数のすばやさとものまねを駆使する浩之。
 既に3人までがレベル20になった彼らは、最強パーティとしてラルヴァを倒し
まくっていた。

 「よしっ、じゃあ・・・浩之、たのんだぞ!」
 「・・・ったく、しょーがねーなぁ」
 気楽に出ていく浩之。その姿には、微塵の緊張も見られなかった。
 「やれやれ、油断しまくってるな」
 「まあ、セバスチャン・コピーですから。これが柳川さんのコピーなんかだったら、
  そうも言っていられないでしょうけど」
 苦笑を交わす耕一と祐介。彼らもまた、セバスチャン・コピーを侮っていた。この後に
起こる悲劇を、予感すらしていなかった。
 「・・・」
 唯一、不安そうな芹香の表情だけが、悲劇の開幕を彩っていた・・・

 「さて、さっさと片づけてやるぜ、じじいコピー!」
 「まいりますぞ!」
セバス・コピーと向かいあいながら、浩之の頭の中では戦術が練られていた。
 (・・・じじいは防御力はそれなりにある。とすると、先手でものまねをぶちかます
のが一番だな。うまくすりゃ、毒電波あたりが出て1発でケリがつく)
 「いくぜっ!」
 浩之は、ルミラのものまねをした。
 (ちっ、ルミラか・・・まあいい、闇の波動もそれほど悪くは・・・なっ!)
 浩之は、自分の動きに驚愕した。この動きは・・・この技は・・・
 「いっ、嫌だぁぁぁっ!!」
 浩之は必死の抵抗を試みた。だが、身体は浩之自身の意志とは無関係に動いていく。
 じりじりとセバス・コピーに近づいていく浩之。
 「うわぁぁぁっ! た、助けてくれ、コーイチさん、祐介、先パイ!」
 「・・・すまん、浩之・・・」
 耕一は唇を噛みしめ、うつむいて言った。
 「・・・僕たちも、ゲームシステムには逆らえないんだ・・・」
 祐介は浩之を直視できず、目をそらしている。
 「・・・」
 芹香の、同情と悲しみをたたえた視線が辛かった。

 「うっ、うわぁぁぁっ! 顔を赤らめるな、じじいっっ!!」
 浩之の必死の叫びが虚しく響く。
 そして・・・
 「あなたの生命、私にちょうだい・・・」
 浩之の艶やかな唇が、セバスチャンの首筋に・・・



                         ぶちゅう。



 ・・・・・・
 かくして、一つの戦いは終わった。
 「・・・」
 何を言わずにうずくまっている浩之に、声をかけようとする芹香。だが、その腕を
掴んで引きとめる者がいた。
 「・・・?」
 「・・・そっと・・・しておいてやるんだ。男には・・・一人で泣きたい時があるものさ」
 耕一は、目の端に浮かぶ光るものを拭おうともせずに、呟くように語った。
 「・・・」(こくん)
 「じゃあ・・・」
 そっとそこから立ち去る芹香、耕一、祐介。
 後には、うずくまったままの浩之が一人残された。
 やがて、その丸められた背中から嗚咽が聞こえてきた・・・

 藤田浩之、16歳。彼の心の傷が癒える日は遠い・・・

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 えーと、色々と感想とかレスとか返したいのですが、今だテスト期間中で
時間がなかったりします(^^;

 次の日曜までには何とか・・・できるといいなぁ(^^;;

 それから、感想をくださった皆さま、本当にありがとうございました。
ガラにもなく舞い上がるくらいに嬉しかったです。

 それでは。