痛快!! 少年まさし 二部 第三話 投稿者:仮面慎太郎
 前回までのあらすじ・・・遠足の為森に来ていた雅史達は、バスジャックにあい捕まってしまう。
                ジロエモ仮面に助けられた雅史は再び少年まさしとなり、みんなを
                助けに行く。途中、自称ロボットのマルチに会い、共に救出に向かう
                為に、森を二人で行くのであった。


   痛快!!
      少年まさし 二部
          <髑髏(どくろ)博士と機械人形>
    第三話 「機械仕掛けの心と涙」

 「少年まさし! 気を付けろ!」
 森の中から聞き覚えのある声がする。
 「この声は・・・ ジロエモ仮面?」
 「前を見ろ、敵だ!」
 少年まさしは、走るのを止めて前を向いて身構えた。一瞬後、ザッという木葉の擦れる音と共に五人の
男達が木の上から姿を表した。例によって真ん中の男は黒いマスクに白いラインが入っている。
 「おっと・・・ 俺達が一番乗りだな」
 ラインの男はそう言うと腰を落として戦闘態勢に入った。と、同時に残りの四人もそれと同時に一足飛び
で少年まさし達をグルリと囲む様に広がった。
 「感情型とガキが相手だ・・・ 手前ェ等、しくじるんじゃねえぞ!」
 ダッと真横にいた二人が挟み撃ちをしかける。しかし、モーションが大きすぎた。

  バババババッ・・・ バババババッ・・・

 呆気なくレーザー銃の餌食になる。気絶した男達には目もくれず、少年まさしはまだ前を向いたままだ。
 「なるほど・・・」
 ラインの男は呟くと、三人一緒に突っ込んできた! 速い! 走りながら三人が縦に並ぶ。
 「うらぁぁぁあああ!!!」
 前の男がスライディングで先制攻撃をした。
 「くっ」
 少年まさしはマルチを後ろに弾き飛ばし、下に向けて銃を撃つ。男はそのままの体制で動かなくなった。
すかさず、
 「もらったぁ!」
 次の、真ん中の男が両手を組んで、振り下ろしてきた。
 
 ブォン!

 信じられない音を立てながら、バックステップでかわした少年まさしの目の前を岩の様な拳が通過する。
身体を後ろに倒しながら、少年まさしは銃を撃つ!

  バババババ・・・

 男はそのまま、最初の男の上に崩れ落ちた。見ると、最初の攻撃で地面がえぐれている。少年まさしは、
すぐに銃を前に向ける。しかし、
  (!? いない!)
 黄色い仮面の向こうで苦い顔をし、後ろを振り向く。案の定、そこにはマルチを押え込んだラインがいる。
 「くっくっくっ・・・ まだまだ青いな。所詮は・・・ ぁ・・・」
 
  ドサッ!
  
 「ジロエモ仮面!」
 そこには、マルチの肩を抱きラインに一撃を加えた鬼の面をした男がいた。
 「少年まさし、この先の洞窟で子供達がお前の助けを必要としているぞ」
 「ありがとう、ジロエモ仮面。道はこのマルチさんから聞いてしってます。僕は今から皆を助けてきます」
 「少年まさし、俺はこの近くにある髑髏(どくろ)博士の研究所の方を当たってみる。それでは、また会
  おう、少年まさし」
 ジロエモ仮面は少年まさしの視界から、フッと消えてしまった。そして、マルチを連れて少年まさしは、
また洞窟向けて走り始めた。一方そのころ、遥か後方の木の枝の上では、手の甲に<B>と掘られた黒ずく
めが少年まさし達の方をじっと見ていた。

 (少年まさしとジロエモ仮面か・・・ ふんっ、ジェントルに報告しておくか・・・)

 
 
  シンデシマッタワタシノココロ
    ヒトニヨッテコロサレタ
 
  ナノニヒトガコイシイ
       ヒトガコイシイ
 
  コンナニニクイノニ
    コンナニユルセナイノニ

  コロシタイノニ・・・ コロタクナイ


 「はぁ・・・ はぁ・・・ あ、あそこです」
 マルチの指差す方向には高い崖があり、そこに小さく洞窟らしき物が見えていた。が、何よりもまず気にな
る物があった。それは、少年まさし達が走ってきた道に対して垂直に走っている<跡>だった。
 「マルチ・・・ この跡は?」
 少年まさしは下を向いたまま尋ねた。
 「これは髑髏(どくろ)博士の移動住居・・・えーと、<せせらぎ荘>の跡です」
 少年まさしは、移動住居とは何かを聞きたかったが、きっと(移動する住居ですぅ)と答えられると思い
黙って前をむいた。目の前には洞窟。跡もそれに続いている。少年まさしは歩きだした。少しずつ景色が変
わってゆく。洞窟に近づくにつれ、表情が固まる。不意にマルチが立ち止まった。
 「あそこに・・・ 」 
 
  ギャワギャワギャワ・・・

 鳥達が一斉に木々から飛び立つ。再び歩き始める。少年まさしには、そこに何がいるのか理解出来ていた。
洞窟がはっきり見える。森の終わりだ。赤茶けた土が広がる。そして、美女。
 「セリオ・・・さん」
 美女の目に何かが走る。
 「感情型・・・ 少年まさし・・・ 」
 瞬間、美女は大地を蹴って少年まさしに突っ込んできた。
                           つづく


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次回予告・・・洞窟の前に謎の美女。森で出会った不思議な少女。
       全てを壊され、狂った歯車。緑の妖精。黄色の仮面
       凍った思い出。溶けない温もり。終らない胸の痛み
       次回、少年まさし「月の森、月の氷」
       がんばれ僕らの少年まさし
       負けるな僕らの少年まさ