カポーーン
　　ジャボシャボシャボ
　　　　ザザザーーー・・・
「ふう・・・」
湯船に肩まで浸かり疲れの為か、それとも安堵の為か、どちら共取れる
溜め息をする・・・
「結局俺は、寂しさを紛らわせる為のヌイグルミでしかないんだ・・・」
ふっ・・・
苦笑
何を言っている。当たり前の事じゃないか。俺は何の為にここへきたんだ・・・
彼女達を慰める為にだろう・・・
「俺はヌイグルミであって然るべきだ・・・」
自分に言い聞かせるかの様に、声に出す。
上を向く・・・
（結構低いんだな・・・）
水滴が水面から突き出た右足の膝に落ちる・・・
冷たさは感じられない・・・
（・・・・・・・・・）
下を向く、湯船を見下ろす。肩まで浸かった為、行き場を無くした足が、
水面から顔を出している。
（狭いな・・・）
つい昨日までは結構広いと思えていたのだが・・・まぁ、そんなもんなのかな・・・
「しかし・・・」
ふふ・・・
思い出し笑い
「まさかこの歳で・・・」
あれはそう、今朝起きた時だった・・・
久しぶりに・・・ここに来て初めてかな・・・一人で起きて食卓に向かったのは。
きっと皆、まだ来ないだろうと思ってたんだな・・・俺を見て、一瞬、時が止まった。
そして、極上の作り笑い・・・ふっ・・・空しい・・・
俺は元気に挨拶をして、いつも通り、場を盛り上げようとした・・・
しかし、今日はいつにも増して、皆明るかった。無理をしている様にも見えない。
女性だから、そういう事は得意なのか・・・少なくとも、俺にはお腹の底から笑っているように、
思えた・・・軽いジョークを飛ばしてみたりもしたが、予想以上に笑ってくれた。
皆、吹っ切れたのかな・・・
そして、問題は、初音ちゃんの一言・・・
「ねぇ、耕一お兄ちゃん・・・」
「なんだい？初音ちゃん」
「それ・・・　・・・　・・・　・・・くま？」
ニガワライ
まさか、熊、とはね・・・正直、初音ちゃんに熊って言われたらちょっと
ショックだよな・・・その後、ばつの悪そうに笑ってたっけ・・・
千鶴さんも俺のデザートにって、笹を持ってくるし・・・
梓にたしなめられてたな・・・それはパンダだって・・・
・・・
・・・
「はああぁぁぁ・・・」
深い溜め息・・・
水を吸って、重くなった体を湯船から持ち上げる。
のっし、のっしと脱衣所に歩いて行き、身体を震わせる。
毛皮を器用に絞って水を切り、身体を拭く・・・
・・・
・・・
・・・
そう言えば、楓ちゃんとは今日一度も話しらしい話しは、してないな・・・
梓と俺の方を見てコソコソ何かを話していたな・・・
・・・中華料理の本を持って。俺の為に何か作ってくれる・・・・・・
わけないか・・・嫌われてそうなのに・・・
千鶴さんも今日は中華の事について話してきたな・・・
・・・流行ってるのかな・・・中華・・・
居間
今日はまだ全員そこにいた・・・
「じゃあ俺、もう寝ますんで・・・」
「あ、おやすみなさい。耕一さん」
「明日も今日ぐらい早く起きろよ」」
「おやすみ、お兄ちゃん」
「・・・おやすみ・・・なさい」
・・・
・・・
・・・
ズシン！
「ふぅ・・・さ、寝るか」
・・・
・・・
・・・
あ・・・そう言えば、楓ちゃんと話したぞ・・・
確か・・・夕食前だ・・・一言だけ・・・
「はちみつ・・・好きですか？」
「え、あぁ、嫌いじゃないよ」
「そうですか、よかった・・・あの・・・」
「ん、何」
「右手・・・」
「え？」
「いえ・・・何でもないです・・・」
それだけだったが、結構進展してるのかな・・・
はちみつ・・・
そういえば、夕食の時、皿に高いはちみつを盛ってくれたっけ・・・
右手で食べるんだって皆言ってたけど・・・
俺だけ悪かったかな・・・それでも、俺だけって事は、
「柏木耕一」として認められたって思ってもいいのかな・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
チチチチチチ・・・・
　　　　ピーチー　　　　　　　　　　チチッ
　　　　　　　　　　ピピ　　　ピピチチ　　　　　チーチー
「・・・ん・・・」
光が眩しい・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
朝起きると俺の右手がなくなっていた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　完
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スペシャル・クイイィィィィィィィィズ！！
柏木家の今日の朝ご飯はなんでしょう？
　　１梓の作ったおいしい和食（焼き魚）
　　２千鶴さんの作ったマヨネーズ納豆（危険物）
　　３皆が作った中華の極み（熊の右手）
正解者の方には全員に、これを食べたら、朝起きると何でも望んだ姿になれる、
変幻茸（漢字にするとちょっとかっこいい）を一つプレゼント。
宛先は・・・・・・適当。
4番目作るのも可。特別賞有り。初心者の戯れにどーぞ皆様、
「ったく、しょーがねーなー」っちゅう感じで付き合って下さいまし。
ちなみに、耕一の右手には「あのガンＯム」にも使われていた右手が
付けられていました。
しかし、勝手にこんな事していいのかなぁ。あっ、ブースの中で、
マネージャーさんとディレクターさんが、始末書振ってる・・・
・・・あんなにいっぱい・・・
今日の朝まで文化放送の特番、「電撃大作戦」を聞いていた、初心者でしたー。

　　　　　　　　佐藤雅史がただの薔薇色専用の
　　　　　　　　　　　　　　　キャラクターでない事を見せてやる！（仮）
　　　　　　　　　（お前がか？シンタロー）　　（しくしくしくしくしくしく・・・）