ある晴れた朝、それは起こった。 「いってきま〜す」 がちゃっ。ゴン。 「なんだ?」 おそるおそるドアの陰をのぞいてみると、段ボール箱がおかれていた。 中に入っているのは・・・セバスチャン。 「おはようございます、藤田様」 体育座りをして箱の中に収まっているセバスは、俺を見上げてそういった。 「ひ、浩之ちゃん!! だめだよ、粗大ゴミはちゃんと清掃局に連絡しないと」 「違うんだ!! 俺じゃない!!」 「私をお捨てになるおつもりですか?」 「違うって〜!!」 とりあえず俺は、あかりに事情を説明した。 「なんだ、そうだったの」 「そんなことがあったのですか」 セバス、お前も居ただろうが。 というか、俺が見つける前はどうしてたんだ。 「どうしよう・・・」 「とりあえず学校に行くか。遅刻しそうだしな」 「うん」 ・・・・・・。 「セバス」 「なんでございましょう」 「どうしてお前も居るんだ?」 「その方が楽しいと思いまして」 「まあ、それはいいとしよう。だが、何でお前は俺の膝の上に乗ってるんだ!?」 「席がないからでございます」 そうなんだよ。こういう日に限っていつも休んでる病弱な山本まで来やがって。 おかげでみんなの注目の的じゃないか。あかりや雅史は目を合わせないようにしてるし。 ・・・・・・。 痛い。委員長の視線が、痛いっ!! 昼休み。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「なあ」 「なんでございましょう」 「飯食いたいからどいてくれないか?」 「仕方がありませんな」 ・・・座っていたいのか? セバスは俺の膝の上から降りて一つ前の席に座った。 パクパク。 じ〜〜〜〜〜〜〜〜っ。 モグモグ。 じ〜〜〜〜〜〜〜〜っ。 「あのさ、じっと見るの止めてくれないか?」 「旦那様に『武士は食わねど高楊枝』と言われておりますので。どうぞ、お気になさらず に」 でも、気になるんだよなぁ。 結局俺は、セバスに見つめられたまま人生で一番のどを通りにくい食事を終えた。 放課後。 「ヒロいる〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」 しまった。もっとも危険な女の存在を忘れていた。 しかし、セバスが膝に乗っているので逃げることもできない。 「あっ・・・」 俺の姿を見た志保は、きびすを返して走り去っていった。 「志保ちゃんニュースよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」 という、ドップラー効果の効いた声を残して。 俺はその晩、久しぶりに涙で枕を濡らした。 セバスはそんな俺を観察していた。 なぜだか。 次の日の朝。 「おはよう、藤田君」 昨日セバスが居たところに座っていたのは、長瀬源五郎だった。 **************************************** くま「ども。つい、やってしまいました。久々野さんの『かわいそうなセバス』を見てた ら光景が頭に浮かんで・・・」 川崎「『箱入りセリオ』の時は『拾いたい』って人がかなりいたけど、今回はいないだろ」 くま「・・・断言はしないけどな」 川崎「下のコメント、なんだよ」 くま「それでは、また」 川崎「おいこら待て!!」 タイトル:箱入りセバス コメント:箱に入ってるセバスを書きたかっただけ。 ジャンル:コメディ/TH/セバスチャン