『あなたがおいしいと言ってくれたから、今日はSS記念日』 投稿者: くま
 青空の下……今日も、一つの箱が届く。
「久しぶりだな、耕一」
「親父!! 死んだはずじゃ……って幽霊?」


「くっ……さすがに死者を呼び戻すのはキツイな……」
「兄さん……いつまでこんなことを続けるの?」
「決まってるさ。死ぬまでだよ」
 男は不敵に笑った。
 それは覚悟なのかも知れない。
 挑戦なのかも知れない。
 運命と、罪への。


「ダリエリさん、無理を言ってすみません」
「たまにはいいさ。長い間すれ違った親子の再会ってのも。……それより、死神の仕事は
いいのか?」
「あ、いっけない!! 今日から一人新しく配属されるんだった!! それじゃ、また明
日!!」
 少女は駆けてゆく。
「そして、もう一つの再会……か」
 男の少女を見つめる目は優しかった。
 そして、祈った。
 二つの再会を。


「どうして諦めちまったんだよ!? 自殺なんかして……残された奴のこと少しでも考え
たのか!?」
「すまん……怖かったんだ。自分が自分でなくなるのも、誰かを傷付けるのも、誰かに私
の命を背負わせるのも……」
「耕一さん、もう……もう、終わったことなんです」
「千鶴さんまで……」
「もう、終わってしまったから!!」
 千鶴はそう叫ぶとさめざめと泣き始めた。
「耕一、どんなに叔父さんを責めても元には戻れないよ」
「梓……」
「そんな顔するなって。今日は腕によりをかけてごちそう作ってやるからさ」
「……ごめん」
「謝るなんて耕一らしくないぜ」
「ああ……そうだな」




「――綾香様」
「どうしたの、セリオ?」
「――今日からこの屋敷で働くことになったメイドロボたちです」
「――ヤヨイです」
「どうして俺までっ!? っていうか、弥生さんはなんでこの状況を受け入れてるんだ〜
〜〜〜〜〜〜〜っ!?」
「――このうるさいのがトウヤです」
「ふ〜ん……製品化は難しいんじゃない? もうちょっと落ち着いてくれないと」
「落ち着けるか〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
「はいはい」
 ……耳カバー付けた冬弥は、ちょっと気色悪かった。
 弥生には似合っていた。




「次はあかりさんの番だよ!!」
「え〜と……ここにしようかな?」
 樽に空けられた穴に、剣を差し込んでゆく。
 ……どうやらセーフのようだ。
「じゃ、次は俺か」
 差し込んだ剣が穴の奥に届く寸前、カチッと言う音がしてバネが解放される。
「あっちゃ〜、また俺の負けか〜」
「今度の罰ゲームは……何にしようか、初音ちゃん?」
「え〜と……」
「……髭スペシャル」
「楓ちゃん、そりゃないよ〜」
 そう、このゲームの名は楓ちゃん危機一髪。樽の中に入った楓ちゃんを飛ばさないよう
に注意しながら樽に剣を差していくゲームだ。もちろん髭完備。
 今回は浩之の負け。
 ちなみに部屋の隅にはあかりの身代わりになった矢島が転がってたりするが、気にしな
いことにしよう。
 うん、そうしよう。




「はぁい、ボロネーゼ・志保でーす」
「……カルボナーラ・琴音です」
「二人合わせて……」
「あの……『冷やしデンパ始めました』です」
「違う!! っていうかその前に他人のネタじゃないの!!」
「それを言うなら漫才ネタも他の方のですけど……」
「ぬぬぬ……小技に堕したわね、馬鹿作者!!」
 ……すんません。


「……アカン。こんなん漫才ちゃうわ」
 智子はテレビの前で頭を抱えていた。


「くそう!! 勝手に名前語られてるぞ祐介くん!!」
「なんかムカつきますね月島さん!!」
「……UFO」
「あ〜、そうだな瑠璃子、UFO呼ぶ方が楽しいよな!」
「やっぱり時代は今UFOですよ瑠璃子さん!」
 なんか似たもの同士だなこの二人。




「……綺麗だな」
「……ええ、本当に」
 次郎衛門とエディフェルは星を見ていた。


「……うらやましいわね」
「……ああ、本当に」
 リズエルとアズエルは次郎衛門とエディフェルを見ていた。




「……ほれ、飲め」
「……頂きます」
 居酒屋の片隅で。
 二人の刑事が酒を酌み交わしている。
 片方はなんだかくたびれた背広を着た中年。
 もう片方は、まだ若い真面目そうな男。
「……ふう。今年も色々あったなあ……」
「……ふふ。長瀬さんは毎年そう言うんですから」
「そうだったか? いかんね、年を取ると愚痴っぽくなって……」

 ガシャーン。
「喧嘩だ喧嘩だ!!」
「おい、誰かこいつら止めろ!!」

 店の外から怒号が聞こえてくる。
「……全く、酒くらいゆっくり飲ませて欲しいもんだ」
「そんなこと言ってないでほら、行きますよ」
 刑事たちは店を後にする。
 彼らに気の安まる時は来ないのだろうか。
 ……いや。
 今こそがその時なのかも知れない。
 若い方の男にとって……こんな、何気ない日常が。


 その同じ店の片隅で。
「しかし、私たちはまたこんな扱いですか、藤井さん」
「上との対比がキツイですな、藤田さん」
「…………」
「同じ兄弟でも刑事をやってるといい役が回ってくる? 本当にそうですよ! この作者
は全く……」
「あの、長瀬源一郎さん? なぜあなたがここに……」
「っていうか、長瀬さん(祐介の父)はそんな文句言ってませんでしたけど」
「ちょっと待って下さいよ! 僕なんか長瀬一族からつまみ出されたんですから」
「七瀬……彰君?」
「かける言葉もないですな、藤井さん(ヒソヒソ)」
「そうですな、藤田さん(ヒソヒソ)」
 おやじーズ+2(柏木賢治は欠席)が愚痴っていた。合掌。




「…………」
「ふむふむ。このセバスチャン、お嬢様のために必ずやその占いかなえて見せましょう
ぞ!!」
 一つだけ言わせてくれ。
 占いってのはそう言うもんじゃない。
 断じて。




「浩之……もう君を離さない……」
「梓せんぱ〜い☆」
 なんだかあまり直視したくないモノを箱詰めしている女性がいる。
「ん」
 箱には、『薔薇&百合セット』と書かれていた。
 ……誰が受け取るんだ、これ?




 




「あ〜、やっと終わった」
「くまさんも大変ですね。最後の方のネタなんか、ものすごく無理ありますよ」
「はっはっは、それを言っちゃお終いだよ八塚さん」
 都内某所。
 SS作家たちがこたつに入りながら談笑していた。
「……なんで俺までいるの?」
「オリキャラに人権はないんだよ、川崎くん」
 と言うか、とてもローカルルールな設定なので出したくなかった。
 で、何故かこたつの上には串カツが置いてある。
「間に……間にキャベツを食べるんだ……そうするとキャベツの成分が胸やけを防いでく
れる」
「この期に及んでパクリですか」
「いやあああぁぁぁぁっ!! カツはいやああああああああぁぁぁぁぁっっ!!」
「……葵ちゃん?」
「ああ、出すの忘れてたんだ」
「おいおい」

 ……フェードアウト。

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 ども。
 ついにやってしまいました。

 話の内容は、昔の作品の設定を引き継いでたりしますんでわかりにくいかと思います。
 作者自身、シリアスとギャグが混じって訳分からんので読んでる方は大混乱でしょう。
 これが分かりそうな人は……かなり少ないです、はい。

 ……しかし、話が進めば進むほど後の展開が苦しくなりますね、全員登場モノは。
 と言うか、名場面集にすれば楽だったことに今さら気付いたのです。
 もう二度とやらんぞ(笑)。

出演:

『雫』
 月島瑠璃子 (3)
 長瀬祐介  (2)
 月島拓也  (1)
 長瀬源一郎 (1)
 祐介の父  (1)

 総評:少ないね(汗)。

『痕』
 柳川裕也  (7)
 柏木耕一  (7)
 柏木千鶴  (6)
 柏木賢治  (4)
 柏木楓   (4)
 柏木初音  (3)
 柏木梓   (2)
 次郎衛門  (2)
 日吉かおり (1)
 長瀬源三郎 (1)
 エディフェル(1)
 リズエル  (1)
 アズエル  (1)
 ダリエリ  (1)

 総評:柏木家全員並ぶように配置してみました。耕一と柳川入れ替えただけですが。

『TH』
 セリオ   (7)
 来栖川芹香 (4)
 藤田浩之  (3)
 セバスチャン(3)
 矢島    (3)
 来栖川綾香 (2)
 松原葵   (2)
 神岸あかり (1)
 長岡志保  (1)
 保科智子  (1)
 姫川琴音  (1)
 佐藤雅史  (1)
 浩之の父  (1)

 総評:ヒロインたちはあまり出てないんですね。

『WA』
 緒方英二  (4)
 河島はるか (3)
 藤井冬弥  (1)
 緒方理奈  (1)
 篠塚弥生  (1)
 七瀬彰   (1)
 冬弥の父  (1)

 総評:箱入りコンビ強し。

『その他』
 川崎涼  (18)
 SS作家  (1)
 死神の少女 (1)

 総評:……ノーコメント。



 基本的に図書館の登録時に書いた主演キャラだけです。あまりにも訳が分からないもの
(セイカクハンテンタケとか土産とか)は外しました。
 括弧内は主演回数です。主演と言っても、『誰の視点か』ではなく『誰が話の中心か』
です。これはかなり作者の主観が入っているのであまり正確ではないです。
 複数を指すものはそれぞれに配分しました。(例:来栖川姉妹→芹香、綾香に各1)

 ……偏ってます。
 一位が耕一&柳川&セリオ。すでによくわからん組み合わせです。
 ああ、川崎涼は無視。オリキャラだし、『真・鬼伝説』は全部こいつ名義なので。
 二位が千鶴さん。最近はあまり出ませんが。
 三位は賢治、楓ちゃん、芹香お嬢様、英二さん。どういう顔ぶれなんでしょうか。

 それでは、また。