ある教室に集められたヒロインたち九人。 これからここで何が始まるというのか……。 「これからどうするの、雅史ちゃん?」 「今日はみんなのために浩之を増やしてあげようと思ってね」 「……どうやって?」 雅史は一つの大きな袋を取り出した。そう、人ひとりくらい楽に入りそうな。 「ここに浩之を入れて……」 「や、やめろこら雅史〜〜っ!!」 「袋の口を縛る……と」 雅史は歌を歌い始めた。ポケットを叩くとビスケットが増える歌の替え歌らしい。 ♪ふっくっろ〜のなっかに〜は ひろゆっき〜がひっとっり〜 ♪ふっくっろ〜をたったっけ〜ば ひろゆっき〜はふったっり〜 ♪もっひっとつ〜たったっけ〜ば ひろゆっき〜はよっにっん〜 ♪おっまっけに〜たったっけ〜ば ひろゆっき〜ははっちっにん〜 ……中の浩之はボコボコにされたんじゃなかろうか。 「……と言うわけで、みんなに一人ずつこの浩之を配ろうと」 「オウ、オレヒロユキ!! ヨロシクナ!!」 ミニ浩之だった。三歳児。 一年生あたりは「わあ、かわいい〜〜」なんて言っている。 「なあ、佐藤くん。ウチら、九人おるんやけど?」 「それは大丈夫。一人分おまけするから」 「……でもな、アレ、なんや?」 雅史の後ろでもぞもぞと動く袋。 「ちっ、ばれたか」 低い声でつぶやく雅史。そう、今日の雅史は薔薇なのだ。 「雅史ちゃん。滅殺……だよ」 結局浩之は助け出され、ミニ浩之はそれぞれの家に引き取られていったのだった。 終わり。 **************************************** くま「ども。これは確かクリスマス用に考えて没にした奴だと……」 川崎「文章に起こすのが面倒でほっぽってたらいつの間にか過ぎてた奴な」 くま「パーティー中にサンタの格好した雅史が乱入するって構想だったな」 川崎「……ミニ浩之、特注HMか?」 くま「それでは、また」