朝起きると、そこは誰もいない世界。 なぜ誰もいないのか。 その訳を僕は知っているが、もうどうでもよくなった。 「・・・・・・」 テレビは、昼のバラエティ番組のセットを映し続けている。 誰もいなくても、放送は続いていくんだ。 内容はないけどね。 ・・・いや。 元々内容なんて無かったじゃないか。 バラエティ番組なんて、作っている人間の頭の中を覗いてみたくなるような内容だった。 面白かった番組も、余計な手を加えて堕落していく。 そんなことはどうでもいい。 どうせ暇だし、どこかへ出掛けようか。 駅に着いて気付いた。 僕以外の人間がいないんだから電車が動いてるはずが無いじゃないか。 高校生の僕に許された移動手段は自転車だけだ。 駐輪場に戻って自転車に乗る。 さて、どこに行こうか。 なんだか、どこに行っても面白くない。 そりゃそうだ。 一人でする遊びなんてたかがしれてる。 ぐぅ・・・。 おなかすいたな。 そう思った僕は、近くのコンビニに入った。 これと、これと・・・あ、これも。 お金払った方がいいのかな? みんながいないままだとは限らないわけだし。 でも、レジの打ち方がわからない。 まあいいや。 コンビニから持ってきたパンをかじりながらふと思う。 永遠に食料が保つ訳じゃない。 いつかは自分で食料をなんとかしなきゃいけなくなる。 これまで多くの人に支えられて生きてきたのだと思うと、涙があふれてきた。 ――この世界は、本当に太田さんが望んだものだったのだろうか。 もしかしたら、現実と向き合うのがいやだった僕の生み出した幻想だったんじゃないか? 自分の作り出した幻想の世界に閉じこもってもがいているだけなんじゃないか? 帰ろう。 これは現実だ。 出口なんて無いのさ。 何か聞こえた気がした。 そのとき、僕は自分の姿が透き通り始めたのに気付いた。 僕も消えるのか・・・。 いっそ、その方がいいのかもしれない。 そして、世界は止まった。 **************************************** くま「ども。なんか適当に書いてみた話が鬱な感じだったので、今ならこういうのも書け るかと思って書いてみました」 川崎「止まった世界が本当に現実とは限らない、とだけ言っておこうか。そこは各人の判 断に委ねたい」 くま「それでは、また」 タイトル:そして誰もいなくなった コメント:消えたのは誰だ? ジャンル:シリアス/雫/祐介