ある晴れた朝、それは起こった。 「いってきま〜す」 がちゃっ。ゴン。 「なに?」 おそるおそるドアの陰をのぞいてみると、段ボール箱がおかれていた。 中に入っているのは・・・かおり。 「梓せんぱ〜〜〜〜〜い!!(はぁと)」 体育座りをして箱の中に収まっていたかおりは、あたしに飛びついてそういった。 「おい梓。だめだぞ、粗大ゴミはちゃんと清掃局に連絡しないと」 「違うよ!! あたしじゃない!!」 「私、捨てられるんですか?」 「違うって〜!!」 とりあえずあたしは、耕一に事情を説明した。 「なんだ、そうだったのか」 「梓せんぱ〜〜〜い(はぁと)」 かおり、くっつくな。 というか、箱に詰め直して送り返したいんだけど。 「どうしよう・・・」 「とりあえず学校に行け。遅刻するぞ」 「うん」 ・・・・・・。 「かおり」 「なんですか、先輩?」 「どうしてアンタがここにいるの?」 「もう、先輩ったら〜、愛し合う二人が一緒にいるのは当然ですよ」 「まあ、それはいいとして。何でアンタがあたしの膝の上に乗ってるわけ!?」 「先輩、いやなんですか?(うるうる)」 いやだよ。それが面と向かって言えないから苦労してるわけで・・・。 あ〜あ、何がどう間違っちゃったんだろ。 ・・・・・・。 痛い。かおりの視線が、痛いっ!! 昼休み。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「かおり」 「なんですか、先輩?」 「お昼食べたいから・・・」 「先輩、私のことがキライなんですねっ!!」 ・・・疲れる。 「いいですいいです! 私、前の席で先輩のこと見てますからっ!!」 パクパク。 じ〜〜〜〜〜〜〜〜っ。 モグモグ。 じ〜〜〜〜〜〜〜〜っ。 「ねえ、じっと見るの止めてくれない?」 「先輩に見捨てられたら、私はどこへ行ったらいいんですか!?」 そんなこと聞かれても。 結局あたしは、かおりに見つめられたまま人生で一番のどを通りにくい食事を終えた。 午後十時頃。 かおりのせいで身動きがとれないまま、あたしはまだ教室にいた。 遠くから、見回りの警備員の靴音が聞こえる。 でも、かおりが膝に乗っているので逃げることもできない。 「・・・・・・」 あたしたちの姿を見た警備員は、無言で扉を閉めた。 鍵も閉めた。 「ま、待ってよ〜〜〜〜〜〜っ!!」 あたしはその晩、全く眠れなかった。 かおりはそんなあたしを観察していた。 獲物を狙う目で。 次の日の朝。 「柏木梓さん、ですね? 初めまして」 昨日かおりが居たところに座っていたのは、篠塚弥生という女性だった。 **************************************** くま「ども。なんかこうしてシリーズを重ねていると、箱セリの偉大さを思い知りますね」 川崎「パターンに沿っても、パターンを外してもそれなりのものが書けるし」 くま「それでは、また」 タイトル:箱入りかおり コメント:かおりで何か書いてみたかった。 ジャンル:コメディ/痕/かおり