髭。 髭を見ている。 黒々とした、立派なカイゼル髭だ。 しかし、おかしい。 なにが、というと・・・。 「どうしたんですか、耕一さん?」 ・・・カイゼル髭の持ち主が、千鶴さんということだ。 「そんなに見つめちゃ、嫌ですう」 どうにもわからない。 なぜだ。 なぜなんだ。 一晩であんなに髭が伸びるものなのか? 俺は、朝っぱらから頭を抱える羽目になった。 「お〜い、耕一〜」 ドスドスドス、と言う軽快な音を立てて梓がやってくる。 「いい加減にご飯食べてくれないと後かたづけできないじゃないか」 「おお、すまん」 そういって梓の方を向いた俺は、卒倒しそうになった。 髭。 ちょび髭だ。 もう、何がなんだかわからない。 が、とりあえず世の中はそういうもんだと無理矢理自分を納得させて居間に向かった。 ・・・この分だと、楓ちゃんと初音ちゃんも髭があるんだろうなぁ。 居間には、楓ちゃんで黒ヒゲ危機一髪をする初音ちゃんがいた。 ・・・向こうでやってくれ、じゃまだから。 **************************************** くま「ども。楓ちゃんと初音ちゃんて、仲いいよね」 川崎「そういう問題なのか?」 くま「楓ちゃんが黒ヒゲの髭で、初音ちゃんが聖徳太子の髭です」 川崎「そういう下らないことばかりきちんと決めるのは止めろ」 くま「それでは、また」 タイトル:危機一髭 コメント:何かが違う。世界が変わったのか、俺が変わったのか。 ジャンル:ギャグ/痕/柏木家の人々