ある晴れた朝、それは起こった。 「いってきま〜す」 がちゃっ。ゴン。 「なんだ?」 おそるおそるドアの陰をのぞいてみると、段ボール箱がおかれていた。 中に入っているのは・・・弥生さん。 「おはようございます、藤井さん」 体育座りをして箱の中に収まっている弥生さんは、俺を見上げてそういった。 「冬弥だめだよ、粗大ゴミはちゃんと清掃局に連絡しないと・・・ってあれ?」 「どうした、彰?」 「ねえ、もしかしてそれ来栖川の最新メイドロボじゃないの?」 「え? 由綺のマネージャーだぞ、この人」 とりあえず俺は、彰に事情を説明した。 「う〜ん、それはもしかしたら実働テストかもしれないね」 「そうなんですか」 弥生さん、自分のことでしょうが。 というか、自分がメイドロボだってわかってないのか? 「どうしよう・・・」 「とりあえず学校に行くか。遅刻しそうだしな」 「うん」 ・・・・・・。 「弥生さん」 「なんでしょう」 「どうしてあなたがここに居るんです?」 「その方が楽しいと思いまして」 「まあ、それはいいとします。でも、何であなたは俺の膝の上に乗ってるんです!?」 「席がないからです」 そうなんだよ。こういう日に限っていつもがらがらのこの講義が満員なんだ。 おかげでみんなの注目の的じゃないか。彰や美咲さんは目を合わせないようにしてるし。 ・・・・・・。 痛い。由綺の視線が、痛いっ!! 昼休み。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「あの・・・」 「なんでしょう」 「昼食を取りたいなぁ、なんて・・・」 「仕方がありませんね」 ・・・座っていたいのか? 弥生さんは俺の膝の上から降りて一つ前の席に座った。 パクパク。 じ〜〜〜〜〜〜〜〜っ。 モグモグ。 じ〜〜〜〜〜〜〜〜っ。 「あのさ、じっと見るの止めてくれないか?」 「嫌、です」 そんなに強調して言わなくても・・・。 結局俺は、弥生さんに見つめられたまま人生で一番のどを通りにくい食事を終えた。 放課後。 「冬弥・・・」 彰がやってきた。 しかし、弥生さんが膝に乗っているのでよく見えない。 「ほら、これ来栖川のカタログ。セリオの後継機種だってさ」 俺にカタログを渡した彰は、そそくさと帰っていった。。 「それじゃ、また明日」 やけにさわやかな笑顔を残して。 俺はその晩、眠れなかった。 マルチの後継機が誰なのか気になった。 ものすごく。 次の日の朝。 「おはよう、冬弥」 昨日弥生さんが居たところに座っていたのは、はるかだった。 **************************************** くま「ども。こんなに内容が違うのに、箱セリの改稿版とほとんど同じ行数です」 川崎「台詞が短くなって改行が無くなったところだけか」 くま「久しぶりに弥生さんメイドロボ説をネタにしたなぁ・・・」 川崎「ちなみに、はるかは『量産マルチの』後継機です。試作段階ではどちらかというと 由綺に近かったとか・・・」 くま「それでは、また」 タイトル:箱入り弥生(メイドロボ。多分) コメント:箱(以下略)。 ジャンル:コメディ/WA/弥生