耕一さんは今日も、柳川さんの知り合いを回っている。 私はこの部屋で何をしているのだろう。 形だけの会長の椅子に座って。 耕一さんが彼を殺してしまった原因は私にあるというのに。 諦めていた。 何もかも。 両親と叔父を鬼のせいで亡くしていたからかもしれない。 あんな思いを繰り返すのが嫌だったのかもしれない。 ・・・理由なんて無かったのかもしれない。 一番大切な人の命すら簡単に見限っていた。 私は冷たい女なんだ。 そんな私が、あなたとどう生きていけばいいの? そんな資格があるの? 梓のようにおいしい料理を作ることもできない。 楓のように深い絆があるわけでもない。 初音のような笑顔を見せることもできない。 いつの間にか、私は家の玄関の前にいた。 重苦しい気持ちのままで。 重苦しい気持ちを抱えたまま、時間だけがいつの間にか過ぎ去っていく。 少しだけ躊躇して、でも思い切って戸を開ける。 「おかえり」 私は飛び込んでいた。 ずっと求めていた、その暖かい胸の中に。 「・・・ただいま」 明日、何かを始めよう。 **************************************** くま「ども。『墓参り』『贖罪』の設定を引っ張って、悩み続ける耕一を見つめる千鶴で す」 川崎「・・・相変わらず、台詞がないねぇ」 くま「なんか、お互いに言い出せないまま悩み続けてるって感じですか」 川崎「『ですか』じゃないって」 くま「それでは、また」 タイトル:後悔 コメント:自分の過ちが、大切な人を今も苛(さいな)んでいる。 ジャンル:シリアス/痕/千鶴