後悔 投稿者: くま
 耕一さんは今日も、柳川さんの知り合いを回っている。

 私はこの部屋で何をしているのだろう。
 形だけの会長の椅子に座って。

 耕一さんが彼を殺してしまった原因は私にあるというのに。

 諦めていた。
 何もかも。

 両親と叔父を鬼のせいで亡くしていたからかもしれない。
 あんな思いを繰り返すのが嫌だったのかもしれない。
 ・・・理由なんて無かったのかもしれない。

 一番大切な人の命すら簡単に見限っていた。
 私は冷たい女なんだ。
 そんな私が、あなたとどう生きていけばいいの?
 そんな資格があるの?

 梓のようにおいしい料理を作ることもできない。
 楓のように深い絆があるわけでもない。
 初音のような笑顔を見せることもできない。

 いつの間にか、私は家の玄関の前にいた。
 重苦しい気持ちのままで。
 重苦しい気持ちを抱えたまま、時間だけがいつの間にか過ぎ去っていく。
 少しだけ躊躇して、でも思い切って戸を開ける。
「おかえり」
 私は飛び込んでいた。
 ずっと求めていた、その暖かい胸の中に。
「・・・ただいま」
 明日、何かを始めよう。

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くま「ども。『墓参り』『贖罪』の設定を引っ張って、悩み続ける耕一を見つめる千鶴で
   す」
川崎「・・・相変わらず、台詞がないねぇ」
くま「なんか、お互いに言い出せないまま悩み続けてるって感じですか」
川崎「『ですか』じゃないって」
くま「それでは、また」

タイトル:後悔
コメント:自分の過ちが、大切な人を今も苛(さいな)んでいる。
ジャンル:シリアス/痕/千鶴