Strange Day 投稿者: くま
・・・・・・。

私は・・・。



朝起きてみると、いつもの光景が広がっていた。
「耕一、大学はどうだ?楽しいか?」
「え?う〜ん、まあまあかな」
息子の耕一。この春に大学二年になった。どうやら単位を落としたというようなことはな
いようだから、それなりにきちんとやっているのだろう。
「あっ!!」
「どうした?」
「もうこんな時間じゃないか!!早くいかないと一限に遅れちまう!!」
「何だ、そんなに出席に厳しい教授なのか?」
「ああ。いってきま〜す!!」
ばたばたと鞄をつかんで家を出ていく。この光景も今まで何度繰り返されただろう。
「あらあら。気をつけて行くのよ。特に車には気をつけてね」
「わかってる〜!!」
「もう。毎朝こんなことになるならもっと早く起きればいいのに」
「ハハハ。まあ、いいじゃないか、母さん」
「お父さんこそ、そろそろ時間なんじゃないですか?」
「あ?いけね。遅刻すると部長がうるさいんだ」
「違いますよ」
「え?」
「そろそろ、川を渡る時間じゃないですか」
「川?待てよ・・・。まさか!?」
「三途の川です」
そうだ。私は死んだのだ。自分の中にいる鬼を倒すために。他に方法は・・・。
「なかった」
そう思いたい。あれが無駄死にだったとしたら、残された者達になんと言えばいいのだろ
う。
「迎えにきてくれたのか?」
「当たり前じゃないですか」
「私はお前にどれだけのことが出来たんだろうか?いや、それ以前に、耕一に何一つ父親
らしいことをしていない」
「あの子にもきっと判る時が来ます。闘うべき時が来たなら・・・」
私のただ一つの気がかりはそれだ。あいつは、勝つことが出来るのだろうか。
「きっと大丈夫ですよ。あの子”達”なら・・・」
私たちはゆっくりと船に乗った。

「元気で、な・・・」
振り返りながらそっと呟いた。

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くま「ども。車に轢かれて一週間ばかり入院してたくまです」
川崎「あの、軽傷ですんで心配しないでください(だいたい、轢かれたと言うよりぶつか
   られたと言った方が正しい)」
くま「軽傷じゃねえよ。事故の記憶無いんだぞ?」
川崎「そういうこと言うとみんな心配するから・・・。作品の解説して」
くま「これは以前書いた『静かなる戦い』の続き的なものです」
川崎「耕一の母親について書かなかったのを少し気にしてたらしい」
くま「あと、事故った記念」
川崎「こらこら」
くま「レスとか感想とかはまたの機会になります」
川崎「期待しないで待っててね」
くま「それでは、また」

タイトル:Strange Day
コメント:違和感の漂う日常。それは・・・。
ジャンル:シリアス/痕/賢治