裏・鬼伝説 その一 血のように紅い夕陽 投稿者: くま
この話は、「真・鬼伝説」がシリアスだった頃に書いたものです。
本当は消そうと思ったんですが、もったいないんで出します。

と、その前に。
「第一章 海辺の惨劇」はよけいなギャグをカットして再構成した
物なんであのままでもいいんですが、「第二章 キノコの山」は完
成してなかったせいで全然違う物になってます。
サブタイトルも違ってたし。
本来は、耕一達はそれぞれ笠置山の東西南北にある結界を解きに行
き、川崎達だけが椎名武男の所に行くはずでした。
そして、ラストあたりは次のようになるはずでした。

鬼と化した柳川さんの腕が椎名博士の首を締め上げる。
「一つだけ聞いておくことがある。なぜ鬼を増やした?」
「復讐のためだ・・・」
「何だと?」
「私は鬼に妻と娘を殺された・・・。奴らを殺すためには奴らと同
じ力を手に入れるしかなかったんだ!!」
この人は、同じなんだ・・・。
「愚かな・・・貴様のわがままが悲しみを増やすだけだと気づかな
かったのか?・・・死ね」
「ダメだ柳川さん!!」
考えるよりも先に体が動いていた。
柳川さんの爪が左肩に食い込む。
「なぜ邪魔をする!!」
「この人は俺達と同じなんだ!!大切な人を失って、それしか見え
なくなっていただけなんだ!!」
「・・・・・・」
「それに、ずっとキノコの研究を続けてきたこの人なら、鬼を人間
に戻す方法を見つけられるかも知れない・・・」
「・・・いいだろう。命は預けて置いてやる」
「ありがとうございます」
「礼を言われることじゃない」

と、まあこんな感じに、柳川は鬼であることや鬼そのものをかなり
嫌悪してる感じになってます。
このころの設定はかなり無視されてます。
と言うか、作中で語る機会がないですね。
ギャグに忙しくて。
それで、「血のように紅い夕陽」につながるわけですね。

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どうしてそんな風に笑えるんだ?
もう、お前は人間じゃないのに。

俺は、あの男がわからない。
川崎涼。
訳の分からんキノコを食って鬼になった男。
俺は、自分の中の鬼が目覚めてからずっと、地獄のような日々を送
ってきた。
だが奴は違う。
鬼の力に振り回されるどころか、鬼の意識さえほとんど無いと言う。
なぜだ・・・なぜだ!!
俺はこの力と引き換えに、何もかも失ったと言うのに!!
残されたものなど、何一つないと言うのに!!
なぜ、あの男だけが、のうのうと暮らしていられるのだ!!

・・・それは、違うよ。
・・・それは、違う。

懐かしい声がする・・・。人間だった頃の、俺?

・・・あの人だって何かを失っているんだ。
・・・ただそれが、今じゃなくて、もっと昔に起こっただけで・・
・。

なんだと?

・・・あの人からは、僕たちと同じ匂いがするよ。
・・・悲しみの匂いが。
 
同じ・・・匂い・・・?

・・・そう、同じ匂い。
・・・大切なものを失った匂い。
・・・後悔に身を焦がす匂い。
・・・僕たちと同じなんだ。

だからといって、俺達が奴のように生きられる訳じゃない。
俺達はもう、あの頃には戻れないんだ。
あの頃のようには、笑えないんだ。

・・・確かに、戻れない。
・・・でもそれは、誰だって同じこと。
・・・引き返すことは、誰にも出来ない。
・・・振り返ることしか、出来ない。

それなら、どうすればいい?
どうすれば、罪を拭えるんだ?

・・・変わること。
・・・変わることを恐れずに、前に進むこと。
・・・きっと笑える日がくるから・・・。

変わる、か・・・。
不思議と、信じてみたくなるな。
変われる日を。


・・・・・・。
少し、眠ってしまったようだ。
日が暮れようという時間だ。
夕陽を見ると、悲しくなる。
血の色を思い出してしまうから。
いつから、夕陽の色が血のように見え出したのだろう。
昔は、あんなに暖かく、優しい色をしていたのに。
窓を開けてみる。
夕陽は、今日も血のように紅い。

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くま「ども。・・・やめときゃよかったか?」
川崎「なにぶん、次の話ができてないもんで」
くま「かなり浮いてるよな」
川崎「普通ギャグのほうが『裏』じゃないのか?」
くま「・・・・・・」
川崎「ある意味すごいよ、お前」
くま「それじゃ感想とレス」
sphereさん。
 <Half and Half>
 やはり、セリオの笑顔は「ニヤリ」なんでしょうか。
 浩之がどうやってセリオを破壊したかも気になります。
 もしや素手?すごいぞ、浩之。
 ギャグからシリアスになることや、その逆って俺はないですねぇ。
  と書いたところで以前あったことを思い出した。
 「闇に吠えるモノ」だけは予定外でギャグになりましたね。
 プロット作らずに書き始めたのが悪いんですが。
 「シリヤス」はわざとなのでこの例には当てはまらないですね。
 ダーク相手でもこういうボケた感想書くんで、いやな人は拒否し
 て下さい。
 実は、いつも感想もらうのに一度もsphereさんに感想書い
 てなかったから「次は書こう」って思ってたらこれでしょ?
 ギャグ作家にまともな感想求めちゃいけません。
ROSSOさん。
 <鬼騎士(エルクゥナイト)ジローエモン 第七話>
 包丁が無くなるまで研ぎそうだな、千鶴さん。
 「きょうはだ〜れだ?」が無いと寂しいなぁ。
 余談ですが、先日古本屋でCCさくらの単行本を見つけ、保護し
 ました。一冊280円(1〜5巻)でしたがかなり状態がよく、
 クロウ・カード型しおりもちゃんとついてました。・・・芸がこ
 まけぇ。もちろん6巻は新品でゲット。
 本当に余談だなぁ。嬉しかったの、かなり。
vladさん。
 実は、「真・鬼伝説」は次回の第三章で一段落です。
 第三章は前・後編で、ようやくキルシュが出てきます。
 続くような終わり方にしましたが、まだその先考えてないです。
いちさん。
 出番が少ない割に個性が出てる英二さんてすごい。
 出番のない人たちに、合掌。
くま「それでは、また」

タイトル:裏・鬼伝説 その一 血のように紅い夕陽
コメント:昔は、シリアスだった。(マジで)
ジャンル:シリアス/痕/柳川