「好きだ」 あの馬鹿がアタシのために溺れて死にかけて そして、 それでもしっかりと落とした靴を握り締めてくれたから そのときアタシはそれに気づいた。 きっと 一緒に遊んで 一緒にイタズラして そして一緒に怒られて・・・ アハハハ・・・その時から、もう好きだったんだろうな 千鶴姉を見てるアイツを見てると胸が痛んだのも それで、ケンカをふっかけたのも 全部。 今日、久しぶりに来たアイツに 最初に優しい言葉をかければ 「馬鹿をやる幼なじみ」から変われたのかな? アイツが鼻を伸ばして 「千鶴さん、すごく奇麗になったね」 とか言わなければ ケンカを売らなくてすんだのかな? ・・・・・・ ああ、うっとおしい!! こんなのアタシらしくない 今アタシがやることは 「オマエがメシを作るのかよ」 とかほざいていた、アイツの口がグウとも言えないような 夕食を用意してやることだ 「初音、このジャガイモの皮剥いといて!」 フッ その時のアイツの唖然とした顔が、今から楽しみだ 〜耕一が家に来た日〜<了>